image003「静岡県に公契約条例を!シンポジウム」が9月25日に静岡市内で開催され、自治体関係・契約担当職員をはじめ、国土交通省職員、建設関係労働者など100人が参加しました。

はじめに実行委員会を代表して静岡県弁護士会の丹羽弁護士から「公契約条例とは、公の事業や施設に従事する労働者へ、最低賃金を超える額の賃金を支給させ、実際に手元に届けさせる規定をつくるもの」、「ワーキングプアや公共サービスによる死亡事故などを無くすためにも条例に対する理解を深めていこう」と挨拶がありました。

記念講演では千葉県野田市、前市長の根本崇氏が「野田市における公契約条例の到達点と課題」と題して行いました。根本氏は、野田市では公共工事を行う労働者の賃金は10年間で3割減、就業者も減少して後継者難となり、工事の質が保障できなくなり、業務委託・指定管理者制度は、低価格落札が繰り返され、官製ワーキングプアや公共サービスの質の低下が招かれたなか、労働組合から公契約条例制定の要請があったと、条例制定までに至る経緯を報告しました。

また、野田市の公契約条例の特徴については、「賃金に特化したもの」とし、公共工事については、設計労務単価(公共工事に従事する労働者の最低賃金)の85%以上、業務委託・指定管理については用務員の初任給相当額(地域手当含む)としたが、業務委託についてはこの金額で“ヒット”したのは清掃業務だけだったことを述べ、そこで2016年度から保育士、看護師、介護支援専門員など職種別賃金を作成。「一本価格の賃金設定だと多くの業種で空振りとなり、何の意味も持たなくなる」と教訓を振り返りました。

さらに、「条例制定の4月1日、電話交換がまったく機能しなくなった」と語り、落札価格が毎回下げられることから業者が人件費削減を行い、職員の全員が退職し職員総入替えの結果機能ストップに至ったことから、雇用継承の必要性から公契約条例に継続雇用の努力義務を規定し、長期継続契約の締結を義務付けたことを報告しました。

最後に「自治体が条例をつくる際は、最低賃金だけを守ればいいのではなく、労働者の仕事や生活に見合った賃金を職種毎に定めていかなければならない」と、ディーセントワークの必要性を訴えました。

続いて、元日本大学商学部の永山教授をコーディネーターに、パネルディスカッションが行われました。

はじめに永山氏から「公契約条例とは、自治体が、労働組合や労働法規に変わって何かひと肌脱ぐというものでない」「労働者の働く条件、事業者の経営改善、公共事業を受け取る側のサービスなど、あらゆる課題を利害当事者との間で考えなくてはならない」「その意味では、できてからが本番」と問題提起され、各パネリストが報告を行いました。

静岡英和学院大学短期大学部の児玉准教授は、「適正な指定管理者制度を考える研究会」の「指定管理者アンケート」を使い、「指定管理者制度の下では業者が指定を取れなかった場合、正規職員の3分の1、非正規職員の半分が解雇となる」「指定管理料について多くの事業主が『適正だと思わない』と答えており、その結果人件費削減、官製ワーキングプアにつながっている」と問題点を明らかにしました。

 札幌弁護士会の渡辺弁護士は、2013年に市議会で公契約条例が一票差で否決された経緯を説明し、「条例制定については、自治体の労働組合がどこまで本気だったかという問題がある」「自治体職員から見れば仕事が増えるという思いがあるだろうが、官製ワーキングプアの問題を考えた場合、労働組合として条例制定をめざすことは必要ではないか」と激励を込め報告しました。

国土交通省労組の山田中央執行委員は、国による「公契約法」制定運動を紹介しながら「厚労省、国交省と交渉しているが最低賃金法とダブルスタンダードになることを嫌がっている。しかし、最低賃金額は高卒19歳単身者が基準となっており、これでは生活できない」として生計費原則の必要性を語り、「静岡県の特殊作業員の設計労務単価は2万700円、年収440万円にしかならない。東京オリンピックやリニア新幹線建設を考えたら建設労働者は首都圏へ流れてしまう」と人口流出問題も含め問題提起を行いました。

シンポジウムの最後に林副実行委員長から「静岡県は、最低賃金でも公契約条例でも空白地帯となっている」、「県は、総合評価方式をいち早く取り入れ評価するところもあるが、実際に適正な賃金が労働者まで届いているかが大事」、「今日のシンポジウムを生かして、一日でも早く静岡県に公契約条例をつくっていきたい」と閉会あいさつを兼ね決意を語りました。