「震災後の仕事と暮らしに関する調査」結果を公表
岩手地域総合研究所、岩手自治労連などが記者会見
 震災1年を前にした3月9日、NPO岩手地域総合研究所と岩手自治労連は県庁記者クラブで会見を行い、この間被災自治体で働く自治体労働者、医療労働者、農協労働者などを対象に昨年の11月から12月にかけて実施した「震災後の仕事と暮らしに関する調査(アンケート)」の結果について発表しました。
 この調査は、岩手自治労連の沿岸単組や県医労などの協力を得てすすめられ、約2200人から集約されました。また釜石市などでは自治体当局の協力もえられた取り組みとなりました。
 記者会見で佐藤嘉夫理事長(県立大学社会福祉学部長)が調査結果について以下のように述べました。
「3日以上家族と連絡がとれなかった」46%
 今回の「大震災」で家族、親しい友人、同僚を亡くしており、親族までいれるとその割合は7割にも達し、非常につらい経験・思いをしている状況が明らかとなりました。
 また回答をよせた職員の内、その日のうちに家族と連絡をとれたのが30%に過ぎず、「3日以降」にしか連絡が取れなかった職員が46%にも上っています。自宅の状況確認も「3日以上たって」からが36%となりました。震災の甚大さ、交通・通信手段の切断でライフラインが途絶えたということもありますが、対策本部への集中や避難所運営などで、2割の職員が震災直後からの「毎日の泊まり込み」、3割の職員が「週2~3日の泊まり込み」と、公務労働における自治体労働者などのおかれた状況を反映したものとなっています。
「労働時間を意識しなかった」80%、「自分で判断して職務遂行」45%
 また、こうした中で労働時間や拘束時間を意識して働いていたわけではなく、それは「まったく意識しなかった44%」「あまり意識しなかった36%」というように時間を忘れて働いていたこと、また上司の「命令」とかではなく、自分で判断して職務を遂行せざるをえなかった職員が45%と、自主的自覚的な頑張りも明らかとなっています。
被災後1ヶ月間「住民のためになる、公共的な仕事をしているという思いで働いた」85%
 被災直後1か月「どういう気持ちで働いていたか」の問いに対しては、「住民や仲間のために頑張らねばとの思い」が87%、「専門職としての役割を果たさなければ」75%、「自分たちが住民のためになる、公共的な仕事をしているという思いをもって働いていた」85%など、公務・公共という「仕事」に対しての仲間たちの強い思いが伝わってきます。
自らも被災しているもとでも仕事・職務への責任と誇り、住民を守らねばと必死で頑張ってきた姿が改めて浮き彫りになるとともに、自治体労働者とは何かを鋭く問うものとなっています。
「ストレス、心的疲労が増えている」43%、業務量の増大44%、職員増、適切な人員配置求める要求強く
 労働環境については、ストレス、心的疲労が増えていると回答した職員が43%、業務量が増大しているが44%となっています。心的疲労をかかえたまま増大する業務量をこなしているのが実態です。時間外労働の増加、休暇取得がなかなかできないことも背景にあります。
 また職員不足もこうした状況に拍車をかけており、それに対する要求が高くなっています。「集中改革プラン」の5年間で▲531人(▲14.28%)の人員削減が行われ、そこに「大震災」、職員の犠牲が重なりました。
応援職員(行政派遣)以外の職員の増や適切な人員配置要求・要望がそれぞれ40.7%、50.8%と上位を占めています。
公務労働のあり方が浮き彫りに、人員配置・人員増は緊急の課題
 佐藤理事長は最後に、調査結果全体を見渡しての感想と課題について述べました。「公務労働を中心とした職員も他の住民と同じように多くの困難を抱えながらも、公務というのは仕事を中断することができない、そういう中で責任や負担が増える中、私利とか自分の感情を超えて仕事に向き合ってきたことが改めて浮き彫りなった。一般住民や各種サービス部門の人たちと違って、非日常的なかかわりの中で一時的な心情にとどまらず、この間の体験や経験から次に生かされる変化を獲得しつつあることは非常に注目に値する」と述べました。同時に「職場は依然として過重労働の状態にあり、業務量・業務負担、業務責任の増加や人員不足、時間外労働が重なって休息・休養が十分にとれていない、精神的肉体的疲労やストレスは依然として大きいし、職場環境はかなり厳しいと言わざるをえない。人員配置・人員増は緊急の課題です」話されました。
 「調査結果」及び「分析結果」は近々「小冊子」にまとめられることになっています。