消防自主組織にも損害賠償を認める画期的な判決
 2005年の提訴から足掛け6年にわたり闘われてきた「東備消防職員協議会」妨害差止め等請求訴訟の控訴審判決が4月28日、広島高裁岡山支部でありました。この訴訟は、東備消防組合の消防職員が「住民の安心・安全を守れる消防署にしたい。みんなでなんでも話し合えるまともな職場をつくりたい」と「東備消防職員協議会」を結成し、その活動を嫌悪した当局に対して、自主組織の正当性の司法的確認を求めたものです。2009年10月の一審では、不当にも原告らの請求を棄却していました。

 今日の判決は、「・・・・・(略)・・・・、これらの各行為は、全体として見ると、すべて控訴人団体ないし会員に対し、上司あるいは研修派遣、勤務評定、昇任試験についての権限を有する地位を利用するなどして、控訴人らの活動を抑圧し、排除する意図で意思を相通じてなされたものであり、結社の自由を侵害し、ことがらによっては合理的な理由のない差別的な取り扱いも内容とする継続的な違法行為であると認めることができる」と控訴人らの団体の活動の正当性を認め、結社の自由の侵害を明確に述べました。そして、控訴人に対し、個人には110万円、東備消防職員協議会に対しても「相当の無形の損害を被った」として、55万円の損害の支払いを当局に求めました。この訴訟には、提訴当初から自治労連、自治労連岡山県本部、消防ネットワークが全面的に支援してきました。

 (原告団、弁護団声明)

声   明

1 本裁判の焦点
 本裁判の焦点は、消防の充実と職員の地位向上を求める表現行為・結社の自由として保障されている自主的団体活動の正当性の確認、帰結としての権利保障の実現にある。
2 協議会活動
 原告らは、消防に対する住民の切実な要望を踏まえ「職場実態の改善、消防職員の親睦と交流、消防と防災の向上発展のために活動することを目的」(会則)として、2001年10月12日、職員団体「東備消防職員協議会」を結成し、住民の方々と共に職場内外で運動してきた。これに対し被告らは、原告らの自主活動に対し「違法である」と決めつけ、話合いにすら応じず、勤務評定、昇任試験、研修派遣等の差別、抑圧等の妨害行為を執拗に継続した。
 2005年、2007年に、職員個人及び自主団体自体が原告となって提訴したが、2009年10月、原審は不当にも原告らの請求を棄却した。
3 控訴審判決
 本日、控訴審は、自主団体の活動の正当性を認め、被控訴人らによる妨害、差別・抑圧等の行為が違法であることを明確に認めたもので、画期的である。
 「違法団体」との誤った非難がなされた控訴人団体について、当事者能力を認める原審判断を維持した点でも妥当である。
4 本裁判の志向性
 控訴人らは、消防職員の団結権獲得を根本課題として志向するものである。本判決は、ILO87号条約の締約・批准国として、日本が消防職員に対し団結権を保障すべき義務を国際法上負っている事実に適合する判断と評価できる。本判決は、自主団体を,交渉権を持つ職員団体として認める方向での法律改正を促す契機となり得る。
 原告団、弁護団として、本判決に示された裁判所の見識に対して敬意を表するものである。
5 むすび
 自主団体結成よりはや10年、本判決は、東備消防の職場、地域、さらに全国の消防、働く仲間からの物心両面に渡る力強い支援の成果としての一里塚である。
  控訴人らは、関係各位に対し心からの感謝を申し上げるとともに、消防の充実と職員の地位向上・団結権獲得という根本課題の解決に向けて、引き続き職場地域、ならびに全国の仲間と連帯して奮闘する決意をここに表明する。

2011年4月28日                      
「東備消防職員協議会」妨害差止め等請求訴訟
同  原 告 団
同  弁 護 団