2月25日、国会・衆議院第2議員会館において、「地域主権改革」に反対し、憲法を生かし、くらしを守る院内集会が開催されました。菅内閣が、この3月にも第2次地域主権一括法案を国会に提案し、継続審議になっている地域主権関連3法案とともに、地域主権改革の動きを加速させようとしている中で、自治労連など5団体が呼びかけた実行委員会には20の民主団体・労働組合などが参加しました。

 地域主権関連法案は、福祉、社会保障、教育など40を超える法案の改正を、個々の法案の問題点が国民に知られないうちに、一括で成立させようとしている危惧すべき法案です。開会あいさつで、全労連公務部会・道州制・地方分権対策委員長である野村幸裕自治労連委員長は「地域主権改革は自公政権の遣り残した宿題をやっているだけ。国の責任を投げ捨て、国民の生活はどうなるのか、生活者の視点から闘いを広げよう」と呼びかけ。日本共産党の塩川鉄也衆議院議員は、菅内閣による混迷する国会情勢の中で、地域主権関連法案の今後の動向が不透明であること、多くの重要法案が積み残しであることを報告しました。

 集会の中で、「地域主権改革」に関する自由法曹団の意見書(各論)が発表されました。自由法曹団の尾林弁護士(写真)は、福祉、医療、社会保障、教育、社会基盤整備など9分野について、それぞれ問題点を指摘し、「個別政策では到底通らない政策を一括してわからないように通してしまおうとするものである。地域主権改革の全体像を見て、自分たちの関わる分野の運動を蛸壺的に取り組むのではなく、それぞれの分野の運動を結合させることが求められている」と強調しました。

 各団体からの発言では、全国生活と健康を守る会連合会の坂口さんは「公営住宅の整備基準の廃止・入居基準の変更は低所得者の入居を排除するもの」、全国保育団体連絡会の逆井さんは「保育の最低基準引き下げは、詰め込み保育、保育の事故を招くもの。子ども・子育て新システムは福祉としての保育に対する国の責任を放棄するもの」、障害者の生活と権利を守る全国連絡協議会の家平さんは「障害者の人権が守られない。少数者の権利を守るには何層ものセーフティーネットが必要」、全国保険医団体連合会の都築さんは「医療・介護の保障は国の責任、医療法の改正など、住民のいのちと健康を守る地域医療の崩壊に拍車がかかる」、全国商工団体連合会の今井さんは「国税通則法の改正、税の強制徴収が生活を脅かす問題」、国土交通省全建設労働組合の松本さんは「国の出先機関が維持してきた道路やトンネルなど、国民生活の安全・安心を支えるのは国の責任」など問題点を指摘しました。自治労連を代表して木村憲法政策局長は「構造改革・地方分権で住民の生活が困窮しているのに、市町村合併等で住民の声が届かない自治体が広がり、住民生活よりも財政再建が優先されている、住民福祉と地域経済の再生こそ必要、地方自治の後退と住民福祉の切捨てにつながる」と、問題点を指摘しました。

 集会のまとめで、永山利和先生(日本大学)は「国は何をたくらんでいるのか、憲法を『地域主権』の名の下に崩していこうとしているのではないか。それぞれの団体の運動を連携して闘いを広げ、『地域主権改革』を潰していく、それが憲法を守ることになる」と呼びかけ。菅内閣に対し、憲法を生かし国民のいのちと暮らしを守る政治へと転換することを求めるアピールを採択し、「地域主権改革」阻止に向けて、国民的な共同の運動を広げていくことを確認しあいました。

集会後直ちに議員要請行動を実施
 自治労連は集会後直ちに、衆議院総務委員40名に対する議員要請行動を実施。議員要請では、いつもより丁寧な対応が多く、ある民主党議員のところでは、政策秘書が事務所に招き入れ、お茶を出して、地域主権とナショナルミニマムの保障問題、地方自治体の財源問題などについて15分ほど懇談し、議員に説明しますとの対応であった。公明党議員のところでは「地域主権でナショナルミニマムの切り下げがあってはならないと委員会で質問している」、社民党議員は「ナショナルミニマムのことは承知しています」、他の民主党議員のところでも丁寧な対応で、政策秘書が勉強させてもらいますなど、この間のわれわれ労働組合や住民団体などの運動により、地域主権改革と生存権保障、地域主権改革の一括法案がナショナルミニマム保障と深く関わっていることが各議員に認識されてきていることが伺われる要請行動となりました。

「地域主権改革」に反対し、憲法を生かし、暮らしを守る集会アピール
 民主党政権は、昨年6月に「地域主権戦略大綱」を閣議決定し、国と地方の役割を変え、社会保障、教育などの「住民に身近な行政」に対する国の責任を放棄し、地域住民と地方自治体に丸投げする「地域主権改革」を推進するとしています。

 菅内閣は、継続審議となっている「地域主権改革関連2法案」と地方自治法一部改正案に加えて、更なる義務付け・枠付けの見直しと権限移譲を進める第2次地域主権一括法案を3月中旬にも国会に提出するとし、地域主権改革の動きを加速させています。

 昨年末には、国の出先機関廃止に向けた「アクションプラン」を閣議決定し、国の出先機関が地方自治体と一緒に担ってきた雇用、道路、河川、防災など、国民のくらしの安全・安心を支える国の責任を放棄し、関西広域連合のような広域体制への権限移譲を制度化する法案を、2012年通常国会に提出するとしています。

 「地域主権改革関連2法案」の参議院での審議で明らかになったことは、児童福祉法等に基づいて国が定めている、保育所、児童養護施設、知的障がい児施設、介護施設等の設置・運営にかかる最低基準、へき地教育振興法に基づく級地指定、公営住宅法に基づく公営住宅の整備・入居基準など、生存権や教育権にかかわる重要な国の最低基準を廃止するだけでなく、基準を引きさげ、地方自治体任せ、民間任せにかえることです。

 この間、保育、障害者、介護、医療などの福祉・社会保障の関係者、生存権に関わる団体、教育、法曹関係者などから、「地域主権改革」の問題点の指摘や批判の声が上がってきています。

 国民の生活は、長引く不況の中で自殺者が年間3万人を越え、路上生活やネットカフェ生活などの住宅難民、医療が受けられない医療難民、介護難民など依然として深刻な状況であり、貧困と格差の中で生活保護の受給者数は増加しています。今求められることは、国の責任で国民の生存権を保障し、地域経済を再生させ、国民の生活を支えることです。

 菅内閣が、「地域主権改革」を抜本的に見直し、憲法を生かし、国民のいのちと暮らしを守る政治へと根本的に転換することを強く求めるものです。

 2011年2月25日
 「地域主権改革」に反対し、憲法を生かし、暮らしを守る2・25院内集会実行委員会

 (実行委員会参加団体)
全国生活と健康を守る会連合会 新日本婦人の会 全国保育団体連絡会 障害者の生活と権利を守る全国連絡協議会 全国商工団体連合会 日本婦人団体連合会 全国保険医団体連合会 農民運動全国連合会 全国地域人権運動総連合 民主教育研究所 全日本民主医療機関連合会 自由法曹団 NPO法人建設政策研究所 全国農業協同組合労働組合連合会 全国労働組合総連合 全国福祉保育労働組合 全日本教職員組合 特殊法人等労働組合連絡協議会 日本国家公務員労働組合連合会 日本自治体労働組合総連合