日本列島 おどろき・おもしろミュージアム2014年2月号 Vol.483

千葉県鋸南町(きょなんまち) 菱川師宣(ひしかわもろのぶ)記念館

アニメにも通じる!?浮世絵の世界

 房総半島の東側、鋸南町に、菱川師宣記念館があります。「見返り美人図」と聞けば、「ああ、あの」と思い浮かぶ人も多いのでは。

 菱川師宣は、1630年ごろ、安房(あわ)国保田(ほた)(千葉県安房郡鋸南町)で縫箔刺繍(ぬいはくししゅう)業を営む家に生まれました。幼少より絵を描くのが好きだった師宣は家業を手伝いながら、狩野派、土佐派などの技法を独学で学びました。

 その後江戸に出て、版下の絵師や絵本の挿絵などで大活躍。活気にわく江戸の庶民を中心に、歌舞伎や吉原遊里などの風俗を色鮮やかに描き、「浮世」とよばれた当時の世相にあった絵画様式を確立し、のちに「浮世絵」の祖と呼ばれるようになりました。

 代表作「見返り美人図」のオリジナルは、東京国立博物館にあり、ここでは見られませんが、他の自筆画とともに、歌川豊国・国芳らの作品も展示されています。

 面白さはそれ以外にも。師宣が描いた絵本には現代のガイドブックやファッション誌の要素を持つものが数多くあります。女性との付き合い方・口説き方、着物の流行、粋な作法、吉原での遊び方などは、まるで恋愛マニュアル本。文章はほんの数行で、絵で見せる手法もビジュアル重視の現代に通じます。

 一枚一枚をじっくり見て、解説を読むと楽しさが倍増します。博物館の解説にしては珍しく、わかりやすい文章で学芸員の努力がうかがえます。今や「アニメの聖地」の日本ですが、その源流は浮世絵なのかとアニオタの心もくすぐるかも。

 来館時の特別展は「大江戸モードコレクション」。古典を現代とつなげる展示の工夫にも学芸員のセンスが光ります。浮世絵にみる江戸から明治の最先端ファッションの着物の奇抜でおどろおどろしい図柄は、現代のゴスロリ(ゴシック&ロリータ)を思わせ、あれは日本と西洋の融合かと感心。

 記念館からすぐの保田港もおすすめです。新鮮な魚貝の販売や、漁協直営の食堂「ばんや」でとれたての房総の幸がいただけます。連日満員の大にぎわいです。

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▲記念館の入口。左手には道の駅も
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▲見返り美人の銅像。かなり苦しい姿勢では、
と心配になります



ミュージアムメモ
所在地/ 〒299-1908 千葉県安房郡鋸南町吉浜516
電話/ 0470-55-4061
交通/ JR内房線保田駅または安房勝山駅徒歩20分。国道127号線沿
入館料/ 一般・大学生500円、小・中・高校生400円
開館時間/ 午前9時~午後5時(入館4時半まで)
休館日/ 毎週月曜日(祝日の場合は火曜日)、12月29日~1月3日