日本列島 おどろき・おもしろミュージアム2013年12月号 Vol.481

東京都文京区 東京都水道歴史館

「安全でおいしい水」は時代を越えた願い

まずは2階の展示から。東京の水道の歴史はなんと江戸時代まで遡ります。当時は上水と呼ばれました。1590(天正18)年、徳川家康が江戸入府の際、小石川上水が開設され、その後神田上水へと発展しました。江戸のまちの発展とともに水の需要が増え、1654(承応3)年には多摩川の水を江戸まで43キロもひくという壮大な玉川上水が建設されました。羽村(はむら)(羽村市)から四谷大木戸(千代田区)まで水路を掘り、そこから地中に埋めた木樋(もくひ)を通して上水井戸にため、各家が水瓶などに汲んで利用するという壮大な規模の水道が誕生しました。

木樋は江戸のまちに網の目のようにめぐらされ、自然の高低差のほか、サイフォンの原理など知恵と技術が駆使されました。排水が混ざらないよう下水設備もありました。実際に発掘された木樋や上水井戸、江戸のくらしの模型などで歴史を学ぶことができます。

1階では近代水道への移り変わりを解説。江戸幕府崩壊によって上水の管理は危機に陥りますが、生活基盤としての水道への期待はさらに高まり、明治維新以降、ポンプ加圧式での送水、鋳鉄管、浄水場などが設置されていきます。さらに日本の工業化、東京の都市化で水の需要が拡大し、小河内(おごうち)ダムの建設、現在では約8割を占める利根川・荒川水系からの取水など整備が進みます。

東京水道の施設能力は1日686万立方メートル、配水管の長さ2万6348キロで世界有数です。資源を守るため、地中の水道管は経験と技術のある職員によって夜間に緻密な点検をし、漏水率はわずか3.3%と世界最高水準を誇ります。災害に備えた水道管への交換や、都民1人1日3リットルで約1週間分の貯水もされているそうです。2013年10月からは利根川水系すべての浄水場で高度浄水処理されています。

安全でおいしい水が多くの人々の知恵と努力によっていまに受け継がれてきたことを伝えます。

▲東京都水道歴史館の入口
▲上水井戸は浅いので釣瓶で汲み上げ。湧水の井戸から汲みあげるのは、享保以前だそうです。時代劇を見るときの参考に



ミュージアムメモ
所在地/ 〒113-0033東京都文京区本郷2-7-1
http://www.waterworks.metro.tokyo.jp/
電話/ 03-5802-9040
交通/ JR「御茶ノ水駅」・「水道橋駅」、地下鉄丸ノ内線御茶ノ水駅・本郷三丁目駅から徒歩約8分
入館料/ 無料
開館時間/ 午前9時30分~午後5時まで(入館は午後4時30分まで)
休館日/ 毎月第4月曜日(休日の場合は翌日)、年末年始