いい旅ニッポン見聞録2019年1月号 Vol.542

猪に乗って疾走する摩利支天

智慧と勇敢さの象徴 必勝祈願に大人気

東京都台東区上野・京都市東山区

▲東京・上野のアメ横で、昔も今も変わらず人々のよりどころ

2019年は亥年。それにしてもイノシシって、「猪突猛進」「猪武士」「遼東(りょうとう)の亥(いのこ)」だなんて……。かっこいいイノシシはいないの?

いました! 仏教の守護神である摩利支天(まりしてん)様をのせて疾走する猪が。

仏教を守護する天部の神で最も霊験あらたかな守護神で、走駆する猪の背に立ち勇ましい。三面六臂(さんめんろっぴ)でお顔の一つが猪の像もあります。インドの女神マーリーチーが起源だそうですが、男神の場合も。猪は摩利支天が放つ火の矢が神格化されたもので、智慧の迅速さや勇敢さを表します。そうそう、今年の干支だもの、そうこなくっちゃ。

摩利支天は護身や蓄財、開運、勝利を導くとして中世以降、弁財天や大黒天などとならんで大人気の神様。楠木正成は兜に摩利支天の小像を入れて戦い、毛利元就は旗印に、忠臣蔵の大石内蔵助も髷(まげ)のなかに摩利支天の小像を入れて討ち入りに臨み、本懐をとげたとか。猪がかっこよく見えてきましたよ。

いまでは、開運厄除、除災得幸、家内安全、商売繁盛、さらには政治・芸能・スポーツの必勝祈願まで聞いてもらえます。東京・徳大寺摩利支天、京都市・建仁寺塔頭(たっちゅう)・禅居庵、金沢市・宝泉寺が日本三大摩利支天です。

まず東京上野の徳大寺へ。こちらの摩利支天像は、聖徳太子の御手彫りと伝えられています。残念ながら秘仏で拝見できません。

上野のアメ横で商店がひしめき合う喧噪のなか、突如現れる石段を上がるとそこが徳大寺。江戸の初期の創建で、大人気の摩利支天の周囲に商店ができ摩利支天横丁と呼ばれてにぎわったのがアメ横の始まりだとか。

次に京都・建仁寺の禅居庵へ。狛犬ならぬ狛イノシシが参道にいくつも配置され、手水が出るのも猪の口からです。本堂では熱心に祈る信者の姿もありました。こちらは7頭の猪の上に摩利支天が座しているそうですがおなじく秘仏です。

金沢の宝泉寺もめぐると、満願成就かも!? 亥年のパワースポットで何を願いますか?

▲絵馬に願い事を

▲京都・建仁寺・禅居庵のおみくじは、イノシシの焼き物に入っていて、引いた後の焼き物がイノシシ像のまわりに並べられています(左)、狛イノシシも(右)

見聞録メモ
<徳大寺>
所在地:東京都台東区上野4丁目6-2
交通:JR山手線「御徒町」駅より徒歩2分
参拝:午前6時半~午後6時半
問合せ:03-3831-7926
<建仁寺・禅居庵>
京都市東山区大和大路通四条下る4丁目小松町146
交通:京阪本線「祇園四条駅」より徒歩7分、阪急京都線「河原町駅」より徒歩10分
参拝:午前9時~午後5時
問合せ:075-561-5556