いい旅ニッポン見聞録2018年3月号 Vol.532

山峡(さんきょう)であわびの養殖に挑む

地域振興は地域の力で地場の名産をめざして

静岡県浜松市天竜区・あわびの里山

▲旧学校給食センター内の養殖場。27個の水槽が並びます

JR浜松駅から車で北へ1時間半、距離にして60キロ。海から遠くはなれた四方を山で囲まれた旧佐久間町、天竜川のほとりに養殖場はあります。地域活性化のために浜松市が中心となり旧学校給食センターをあわびの養殖場にして、地元のNPO法人「がんばらまいか佐久間」に事業を委託しています。事務局長の河村秀昭さんにお話をお聞きしました。

海水は駿河湾の深層水

事業が始まったのは2015年5月。10月には岩手県三陸から体長2センチほどの幼貝が運ばれ養殖が始まりました。養殖に欠かせない海水は駿河湾の深海300メートルからくみ上げた深層水です。これはNPO会員が焼津市までトラックで往復してもって来ます。

また、地元の湧き水に専用の塩を溶かした人工海水も使用し、生育の違いを検証しています。人工海水の方は汚れが早いそうです。

エサは市販のわかめ

貝のエサは市販されている生わかめ。ついている塩を湧き水で洗って与えています。毎日あげていると、排泄物や残食などで、水の汚れが早くなることがわかりました。水槽の浄化が大きな課題で、試行錯誤を繰返しています。

10人のスタッフが日替わりで1~2時間、管理しているため、わずかなあわびの変化に気づかないこともあります。常勤のスタッフが確保できればと思いますが、予算も限られていて、人件費確保が難しい状況です。

地域全体でとりくみたい

2019年4月からの商品化をめざしています。

「今、スタッフには自宅で、水槽での養殖をお願いしています。将来は、地域の各家庭で養殖してもらい、数の確保と副職として収入が上がるようなシステムも考えています」

現在、2000匹が養殖されていますが、地域の各世帯の協力で1万匹を養殖できれば地場の名産として料理店などに安定して卸すことができます。

3年間の養殖で出荷できる大きさ8センチに。10センチなら一等品だそうです。地域の未来を考え、話す河村さんの瞳に、力強さを感じました。

アワビカレーはいかが

養殖を知っていただくために、現在、養殖中のアワビを使ったアワビカレーを「がんばらまいか佐久間」が運営する食堂「いどばた」で毎月第1、3の日曜日に予約販売しています。

▲山に囲まれたこの地で海の幸がすくすく育っています

▲養殖中のあわび。「毎日の水温管理が重要」と話す河村事務局長

見聞録メモ
【お問い合せ】
NPO「がんばらまいか佐久間」
053-965-1100
食堂「いどばた」
053-965-0141