第133館 『鞍馬天狗』作家は大の猫好きだった 2013年5月号 Vol.474 神奈川県横浜市 大佛(おさらぎ)次郎記念館 『鞍馬天狗』作家は大の猫好きだった 大佛(おさらぎ)次郎といえば、時代劇の国民的ヒーローとして人気を博した『鞍馬天狗』シリーズの作者として有名です。 大佛次郎は1897(明治30)年、横浜市生まれ。東京帝国大学卒業後、1924(大正13)年、27歳で初めて「大佛次郎」のペンネームを使い、鞍馬天狗シリーズの第1作『鬼面の老女』を発表、映画化もされました。1948(昭和23)年に発表した『帰郷』は日本芸術院賞を受賞、64(昭和39)年には文化勲章を授章しました。67(昭和42)年から朝日新聞に連載を始めたノンフィクション『天皇の世紀』は、73(昭和48)年4月に75歳で亡くなるまで続きました。 「大佛次郎記念館」は、その5年後の78年、横浜市に開館。JR石川町駅を降り、山手の坂を登った「港の見える丘公園」の一角にあります。このあたりはフェリス女学院や西洋館、外国人墓地などが並び、一昨年に公開されたアニメ映画『コクリコ坂から』の舞台にもなるなど、散策にはもってこいです。記念館はアーチ型の屋根と赤レンガの外観が美しく、大佛次郎が残した図書3万6000冊、雑誌2万1000冊のほか、自筆原稿、創作ノート、書簡、愛用品などを収蔵しています。今年は大佛次郎の没後40年にあたるため、さまざまな記念事業が行われているのでご注目を。 また、大佛次郎は大変な猫好きとしても知られ、生涯で500匹以上の猫を飼ったと言われています。あまりに増えすぎて「猫が15匹以上になったら俺はこの家を猫に譲って別居する」と宣言。しかしある時、16匹いたので「おい、1匹多いぞ。俺は家を出るぞ」と言うと、夫人が「それはお客様です。ご飯を食べたら帰ります」と答えたという有名なエピソードがあります。大佛次郎の猫コレクションは、入口や照明など館内のさまざまな場所で見られ、どこに隠れているかを見つけるのも楽しみのひとつです。 ▲アーチ型の屋根が目立つ大佛次郎記念館。 敷地内の花や緑が美しい ▲「港の見える丘公園」展望台からは横浜港や横浜ベイブリッジが一望できます ミュージアムメモ 所在地/ 〒231−0862 横浜市中区山手町113番地 電話/ 045−622−5002 交通/ JR「石川町」駅下車徒歩20分、 みなとみらい線「元町・中華街」駅下車徒歩8分 観覧料/ 大人200円、小・中学生100円、未就学児無料 観覧時間/ 午前10時〜午後5時30分(4月〜9月)、 午前10時〜午後5時(10月〜3月) 休館日/ 毎週月曜(祝休日の場合は翌平日)、 12月29日〜1月3日