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第98録 おいでませ山口へ 西の京で感じる大内文化

いい旅ニッポン見聞録 2026年3月号 Vol.628

薩長・密談の舞台など幕末好きも必見

おいでませ山口へ 西の京で感じる大内文化

山口市・国宝瑠璃光寺五重塔

▲雪化粧したレアな瑠璃光寺五重塔(2月10日撮影)

国宝を中心に広がる歴史

現在、日本には五重塔が約60基あります。山口市にある国宝・瑠璃光寺五重塔は室町時代に建設され、全国で10番目に古く、日本三名塔の一つに数えられています。異論もあるでしょうが、山口県民は子どもの頃から、あの五重塔こそが一番美しいと教えられ、それを信じています。

五重塔がある香山公園は1時間半ほどで散策でき、桜や梅、紅葉の名所としても知られています。中でもレアなのが、年に一度見られるかどうかという雪化粧の姿です。夜にはライトアップされ、おだやかなときを過ごせる空間です。

手を叩いたり足踏みしたりすると反響し、うぐいすの鳴き声のような美しい音が返ってくる「うぐいす張りの石畳」や、薩長同盟に向けて木戸孝允、西郷隆盛、大久保利通らが密談を重ねた「枕流(ちんりゅう)亭」も移築され、当時の雰囲気がそのまま残されています。

また、室町時代に大内義隆が京都文化を取り入れた「大内文化」の影響から、「西の小京都」とも呼ばれ、市内には京都の鴨川を模した一の坂川が流れます。伝統工芸の大内塗によるアクセサリーづくりや、名物の外郎(ういろう)づくりなどの体験もおすすめです。

伝統を支える人々の力

瑠璃光寺五重塔は、70年ぶりの大改修が昨年末に終わったばかりです。

ヒノキの皮を成型した材料を竹釘で打ち止める日本古来の工法で、檜皮葺(ひわだぶ)きの屋根を全面的にふき替えました。現在の工法は平安時代に確立し、千年にもおよびますが、それを担う職人は山口県内には現在一人のみ。ヒノキ皮の確保も困難な状況です。伝統建築物を維持するためには、職人や林業など地場産業の保護は欠かせません。

五重塔を訪れた際には、そのことにも思いを寄せてみてください。

▲山口の伝統工芸・大内塗が山口駅でお出迎え

▲一の坂川の両岸には約200本のソメイヨシノが並んでいます(写真提供:おいでませ山口へ 山口県観光サイト)