国は間違いを改め生活保障の充実を 住民福祉の増進は自治体の役割
学ぼういかそう憲法 短期連載 第3回
▲いのちのとりで裁判の勝利判決をいかそうと実施された決起集会(10月28日・東京都内)
自治労連は、あらためて職場から憲法を学んで、私たちの仕事と住民のくらしにいかす「学ぼう、いかそう憲法運動」を呼びかけています。ぜひ、身近な話題から憲法に触れていきましょう。【最終回】
生活保護基準の大幅引き下げ改定は「健康で文化的な生活を保障した憲法25条違反である」と訴えた裁判(「いのちのとりで裁判」)で最高裁は6月27日、原告勝利の判決を言い渡しました。高市首相は11月7日に国会で「深く反省し、おわびしたい」と謝罪。厚生労働省は判決後の8月から専門委員会で対応案の議論をすすめました。
しかし、専門委員会では原告が求める補償や今後の生活保護制度の拡充とはかけ離れた内容となり、11月17日の専門委員会で基準改定前と比較して約2・5%引き下げ案と補償案(原告に特別給付での差額全額支給。ただし、原告以外の補償はなし)が了承され、厚生労働省は2・49%の減額改定を再度行う方針を固めました。こうした対応に原告や支援者らから抗議の声が大きく上がるなど、各自治体の窓口での混乱も避けられません。
憲法は生存権を保障し、地方自治法は「住民福祉の増進」を自治体の役割と定めています。生活保護制度をはじめ、医療や介護、教育などの社会保障制度をだれもが安心して享受できるようにしなければなりません。国に対して憲法にもとづく権利としての社会保障制度の拡充を求めて、自治体の職場からも声を上げることが重要です。