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コロナの教訓いかし公共を取りもどそう

「新型コロナ最前線」を出版 監修の黒田兼一さん(明治大学名誉教授)に聞く

▲黒田兼一さん
寄せられた全国の活躍と葛藤、苦悩

自治労連では2014年に東日本大震災で書籍※を出版しました。本書はコロナ禍の最前線で奮闘した自治体職員の仕事ぶりを世に問う第2弾です。2部構成で、第1部は北海道から鹿児島県まで総勢41本の証言に、職員たちの活躍と葛藤、苦悩がまざまざと書き綴られています。第2部では自治労連役員と4人の研究者が、教訓をいかすための課題と改善のための提言をまとめています。

住民のために働く仕事 もっと注目されるべき

東日本大震災直後、私の友人は「どれほど危うい基盤の上に私たちの生活と生命が営まれてきたのか、やっと腑に落ちた」と呟きました。これは直接的には原発事故についてですが、今回のコロナパンデミックにも通じます。震災時、押し寄せる津波を前に最後まで避難を呼びかけて命を落とした自治体職員、コロナ禍で自分たちを後回しにして、住民のいのちとくらしを守るため苦闘し奮闘し続けてきた職員たち。その働きぶりはもっと注目されるべきです。そこに「公共」の破壊から「公共」を取りもどすための貴重な示唆が散りばめられています。

公共を取りもどすため何が必要か考え議論を

コロナは私たちの「日常」を一変させました。その「日常」を支える基盤の地方自治体は、90年代末から、人員削減、外部委託、統廃合がすすめられ、そこにコロナが襲ったのですから、現場は大混乱で、対応不能状態に陥ってしまいました。生活の基盤となる分野のコスト削減と効率性偏重一辺倒の「改革」とは手を切るべきです。デジタル改革が進行中のいま、住民生活の基盤=「公共」を取りもどすために何が必要かを考え、議論する契機にしてほしい。

※『3・11岩手 自治体職員の証言と記録』(大月書店、2014年)

▲2023年8月下旬発刊 大月書店/定価1500円+税
 自治労連特別価格で購入できます。詳しくはお近くの組合まで

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