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主張 骨太の方針2023

労働者・国民が安心して働き、生活できる社会を

10年間で内部留保が増え、賃金は下がり、非正規労働者が急増

岸田政権は、「経済財政運営と改革の基本方針2023」(以下、「骨太の方針2023」)と、「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画2023改訂版」(以下、「新しい資本主義2023」)を6月16日に閣議決定しました。

「骨太の方針2023」では、「人への投資」を強調しています。例えば、EU諸国では雇用保障政策として実施されているリスキリング(必要なスキルを獲得する・させること)を、日本では労働者自身に行わせ、「成長分野への労働移動」をする制度をかかげています。しかし、実際には企業の雇用責任を労働者の自己責任に転嫁し、大企業のもうけ追求に役立つ労働者づくりをすすめようとしています。

また、岸田政権は「新しい資本主義2023」で「1980年代からの新自由主義と呼ばれる考え方が台頭し、経済は活力を取り戻し、成長の原動力の役割を果たした」と評価しています。しかし、この10年間で大企業の内部留保が186兆円増え、513兆円に膨れ上がるなか、労働者の実質賃金は年収で24万円も減り、派遣切りや雇い止めにあう非正規労働者が急増し、1000万人を超えるワーキングプアを生み出しました。

公務公共体制の削減許さず労働者に利益を還元させよう

新自由主義政策で公務公共体制が大幅に削減され、コロナ危機をはじめ、国民のいのちとくらしが危機にさらされたことへの反省さえなく、今度は官民連携によって「新たな市場を創る」ことをめざしています。地方自治体デジタル化によって地方自治体の個人情報を国に一元化し、そのデータを民間に提供するねらいです。マイナンバーカードをめぐって問題が噴出し、信頼性がゆらぐ現状であっても強引に取得をすすめようとしています。これらの政府方針は、経団連が出した「経労委報告2023」に応えるためのものであって、労働者・国民の声にはまったく応えていません。

物価高騰のなか、労働者・国民の生活はいっそう大変になっています。大企業だけ儲かるのではなく、労働者に利益を還元させる政治への転換が求められています。労働者・国民が安心して働き、生活できる社会をめざすために、労働組合の運動がますます重要です。

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