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第72録 はかなくもやさしい光はいのちほとばしる光

いい旅ニッポン見聞録2022年6月号 Vol.583

ずっと昔から続く夏の風物詩ホタル

はかなくもやさしい光はいのちほとばしる光

山口・下関市

▲6月に入ると木屋川にホタルが飛び交います

ふぁ~と光るゲンジボタル

ふぁ~と光り、ふぁ~と消える。どこかなつかしい、やさしい光を放つのはゲンジボタル。幻想的なその光景は、ずっと昔から続く夏の風物詩です。ホタルの成虫のいのちは約2週間と短く、水以外に食事は摂らず、交尾が終わればオスは死んでしまいます。はかなくもやさしい光は、いのちほとばしる光でもあるのです。

日本でも有数のゲンジボタルの里

ここ下関市豊田町は、日本でも有数のゲンジボタルの里です。1957年に「天然記念物木屋川(こやがわ)音信川(おとずれがわ)ゲンジボタル発生地」として指定されました。見頃は5月下旬から6月下旬まで。町の中心地が山陽・山陰の分水嶺に位置し、川の流域に沿って耕地が広がり、水系によって水温が異なることからホタルの発生にタイムラグが生じ、しばらくの期間ホタルが飛び交うのも特徴です。また、一の俣温泉、西ノ市(にしのいち)温泉、日野温泉があり、美人の湯とも呼ばれ地元の人に親しまれてきました。

1991年から「ホタル舟」も運航され、ホタルの乱舞を両岸に眺め、およそ800メートルの木屋川下りが楽しめます。町中にある道の駅「蛍街道西ノ市」駐車場からホタル舟乗船場までの無料シャトルバスが出ています。

ホタルを模ったホタルの里ミュージアム

道の駅裏には、ホタルを模った「下関市立自然史博物館豊田ホタルの里ミュージアム」が目を引きます。ホタル目線の世界を体験でき、豊田町にはゲンジボタルだけでなく9種のホタルが生息していることなど、詳しく知ることができます。また、豊田町に棲む生物や下関の淡水魚類、両生類などの生態展示、蝶やカブトムシ・クワガタムシなどさまざまな標本が展示され、下関地域の自然について学ぶことができます。エントランスホールには、下関の動植物、化石、岩石の実物標本など蓄積された手づくりの「実物図鑑」が豊富なことに驚かされます。

また、ホタル保護活動の一環として、地域の小学生が「ホタル情報員」となり、それぞれの地域のホタルの発生時期・状況の追跡調査を行い「ホタルの生息図」にまとめています。私はこの生息図を手に、マナーを守ってホタルに会いに行こうと思います。

見聞録メモ
・ホタル舟は予約制。料金/大人(高校生以上)2000円、小人(5歳~中学生)1000円
・ミュージアム入場料/大人200円、大学生等100円、高校生以下無料

▲ホタルの形をした豊田ホタルの里ミュージアム

▲ミュージアム内の様子。実物図鑑、常設展示の他、企画展・テーマ展(各年5回)もあります