感情をどのようにとらえるか。感情は私たちの生を人間らしい、豊かなものにする一方、ともすれば負の感情に捕らえられ、その付き合い方は難しいと感じます。本書は中世キリスト教神学の巨人による感情論を解説した本ですが、哲学の先生と学生との対話形式で、門外漢にもわかりやすく書かれています。

感情には明確な論理があり、構造があります。人間の心の普遍的な動きにもとづく説明は、キリスト教信者でない21世紀の日本人が読んでも自分の経験にてらしてすっと腑に落ち、自分そして世界を肯定的に受け止めるあり方を教えてくれます。

新潮社
2021年１月
四六判変型316ページ
定価：1,760円（税込）