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ナゼ?ナニ?自治体DX [8] 企業に収集される子どものデータ

保育園の事務作業に「保育業務支援システム」というクラウドサービスを利用する自治体が広がっています。タブレットなどを使い、テック企業(ITテクノロジーを活用したビジネスを行う企業)が提供するアプリを導入すると、事務作業全般をアプリに切り替えることができます。同時に、入力したデータはテック企業に収集されてしまいます。

「保育業務支援システム」は、SaaS(サース)(Software as a Service)という種類で、クラウドサーバーにあるソフトウェアをインターネット経由で利用するサービスです。

テック企業は、保護者と保育者が利用しやすいよう、無料アプリを作成しています。スマホやタブレット等にアプリをインストールすれば、その場から利用できます。

アプリの機能は、保育の事務作業全般を網羅しており、手書きで行われてきた保育日誌等の書類作業から、子どもの発育データ等の記録まで行えます。連絡帳やお便り等の紙媒体による保護者とのコミュニケーションもアプリで行えます。

SaaS導入は初期費用がかからず、コストを抑えられることから、保育園以外の職場にも広がっています。安価に利用できる理由は、ユーザーがデータを対価として提供しているからです。アプリに入力した情報は、テック企業のクラウドサーバーにビッグデータとして収集され、新たなデジタルサービスの原資にされることになります。

アプリの使用によって、テック企業が子どもと保護者、保育園のデータ収集と利活用する事実について、SaaSを導入した自治体が保護者と保育園に対して、十分な説明をしていないことは問題です。SaaSという新たなサービスの問題点に、自治体の対策が追い付いていません。

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