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第65録 高村光太郎の妻・智恵子の言う「ほんとの空」が楽しめる場所

いい旅ニッポン見聞録2021年11月号 Vol.576

岳温泉の湯守(ゆもり)文化と「ミルキーデイ」

高村光太郎の妻・智恵子の言う「ほんとの空」が楽しめる場所

福島・二本松市

▲岳温泉の看板

岳温泉(だけおんせん)が位置する安達太良山(あだたらやま)は、日本百名山に数えられる標高1700メートルの山。高山植物も多く、美しい渓流は登山者の心を和ませます。詩人・高村光太郎の詩集『智恵子抄』では、「阿多多羅山の山の上に毎日出てゐる青い空が智恵子のほんとの空だといふ」と綴られ、二本松市は高村光太郎の妻・智恵子の故郷として知られています。

引き湯を支える「湯守」たちの存在

岳温泉の源泉は、安達太良山の標高1500メートル付近にあります。そこから山肌を伝う湯樋(ゆどい)を通り、約8キロの距離を約40分かけて温泉街まで引き湯しているため、管のなかで自然に湯もみされ、酸性泉でありながら肌にやさしい柔らかなお湯になっています。

この引き湯を支えているのが「湯守」と呼ばれる人たちの存在です。湯守は、源泉と引き湯に関わることのすべての管理を行っており、標高1500メートル付近の源泉での作業をはじめ、湯樋の管のメンテナンスや登山道の整備まで、その仕事は多岐にわたります。特に、積雪の多い冬季は過酷で危険がともなうなかで作業を行っています。

岳温泉の源泉は硫黄をはじめとする温泉成分が濃く、空気に触れるとすぐに湯花となり湯管内に付着し、放っておくと管が詰まって温泉街に湯が届かなくなってしまうことから、湯管内の湯花を落とす必要があります。この作業は「湯花流し」と呼ばれ、夏季は週に一度、冬季は2週に一度の頻度で実施されます。

湯守たちが「湯花流し」を行うと、普段は透明なお湯が、温泉成分たっぷりの湯花で牛乳のように白濁します。いつもとは違う乳白色の濁り湯が楽しめる日は、「ミルキーデイ」として親しまれています。

斜面が多く練習に最適 あだたら高原スキー場

安達太良山麓に位置するあだたら高原スキー場は、雪質の良さは東北有数です。中級者向きの斜面が多く、カービングスキーの練習にも最適です。1000メートルの初級者コース、ボードパーク・コブゾーン・ポールゾーンを常設しています。キッズパークにはスノーエスカレーターを2基設置し、ソリコースやチュービングコースがあり、ファミリーでも安心・快適に楽しめるゲレンデです。

「ほんとの空」の下、思いっきり楽しめる場所です。

▲山肌を伝う、この湯樋を通り温泉街まで引き湯しています

▲練習用のさまざまなコースや設備でスキー客がいっぱい

▲あだたら高原スキー場では子どもたちも笑顔です