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第62録 現代日本人のルーツは土井ヶ浜遺跡の弥生人かも

いい旅ニッポン見聞録2021年7月号 Vol.572

砂丘に眠る弥生人 土井ヶ浜遺跡・人類学ミュージアム

現代日本人のルーツは土井ヶ浜遺跡の弥生人かも

山口・下関市
▲人類学ミュージアムとゴホウラ貝輪のモニュメント

日本人のルーツを訪ねて

大陸から本格的な水田耕作を普及させ、日本の人類史における大きな転換点となったのが弥生時代と言われます。土井ヶ浜遺跡の研究から、北部九州・山口地方に農耕と金属器の技術をもたらした弥生人だけが他の弥生人と違って、縄文人の特徴を持っていないことから、大陸から海を渡ってきた渡来系弥生人と整理されました。そして、北海道のアイヌの人たちを除く現在の日本人は、渡来系弥生人の影響を強く受けて成立したことが人類学的な研究によってわかっています。

土井ヶ浜遺跡・人類学ミュージアムは、土井ヶ浜遺跡のそばに1993年5月に開館。1時間程度で見て回れるほどこぢんまりとしています。常設展示と企画展示室があり、30分ごとに上映される「弥生シアター(約10分間)」は、日本人のルーツを追う内容で興味深いものでした。

ショックだったのは、土井ヶ浜弥生人の平均身長は150センチ、男性163センチだそうです。「えっ! 俺、2000年前の人の平均身長より低いんじゃ…」

日本を代表する埋葬遺跡

土井ヶ浜遺跡は、今から2300年以上前の弥生時代に生活していた人たちの墓跡。海に面した砂丘に埋葬されたことから、砂に混じった貝の欠片が骨の保存を助け、その結果、保存良好な人骨が300体以上、数千点におよぶ多種多様な貝製品が出土した日本を代表する埋葬遺跡です。

弥生時代の埋葬習俗や墓制、弥生人の顔かたち、社会構成などを解明するうえで、重要で貴重な手がかりを与えてくれました。

海を渡ってきた土井ヶ浜弥生人

ミュージアム隣にある土井ヶ浜ドームは一見の価値があります。レプリカとはいえ、人骨を発掘した状況を復元しています。どの頭蓋骨もある程度起こされ、みな海を眺めるかのように埋葬されています。海の彼方の大陸を見つめているのではと想像します。

何十体もの人骨を眺めていい気はしないと思いますが、どの頭蓋骨も同じ方向を向いている光景は、土井ヶ浜に住んだ弥生人たちの思いややさしさ、素朴さを考えずにはいられませんでした。

検索する時は「土井ヶ浜遺跡・人類学ミュージアム」でチェック。

▲土井ヶ浜ドームの展示(発掘調査現場にドームをかぶせ復元。人骨はレプリカ)
▲下関市内から北浦街道を走れば絶景ドライブコースの角島(つのしま)大橋
▲弥生シアターでは大画面で「よみがえる弥生人」を上映