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いのちより大切な仕事はない

第24回自治労連・職業病全国交流集会 オンライン

▲左からパネリストの寺西笑子さん(全国過労死を考える家族の会)、佐戸恵美子さん(東京過労死を考える家族の会)、大野由晴京都市職労書記長、コーディネーターの山口真美弁護士(自治労連公務災害担当弁護団)

第24回自治労連労働安全衛生・職業病全国交流集会を6月19日にオンラインで開催しました。「安心して働き続けられる職場を~若手職員の働きづらさを考える~」をテーマにしたトークセッションを行い、職場での安全衛生活動などの特別報告を受けて、いのちの大切さと労働組合の役割を学びました。

トークセッション

長時間労働是正と職場改善 期待される労働組合の役割

飲食店店長だった夫を過労死で亡くした寺西笑子さんは、真相の究明と企業からの謝罪・和解に至るまでの経験と「過労死を考える家族の会」として国を動かしたとりくみと成果を語りました。

「過労死等防止対策推進法ができて7年になるが実効性に乏しい。過労死は年々増加しており、罰則規定を含んだ新たな立法措置が必要」と指摘。

寺西さんは「過労死は人災。他人事ではない。いのちより大切な仕事はない」「安心して働き続けられる職場をつくるためには労働組合の役割が重要。労働時間やハラスメントの実態調査を積極的に行ってほしい」と労働組合への期待を寄せました。

家族を失う苦しみ あってはならない

佐戸恵美子さんは、NHK記者であった娘・未和さんを失った思いを「時間が解決することはない。時間は止まったまま」と話しました。未和さんが過労死直前まで取材をしていた状況にふれながら、「未和は記者という仕事に誇りをもっていた。生きたいという気持ちはあったが、身体は悲鳴をあげた」と語ります。

「過労死で家族を失うことは決してあってはならない。私たちと同じ苦しみを背負う人が現れないことを心から願う」と涙ながらに訴えました。

職員のやりがい・働きがい守ろう

京都市職労の大野由晴書記長は、昨年1年間で1000時間を超える時間外労働をしていた京都市職員が38人で、うち9人が1500時間超だった実態を報告。また、コロナ対応で「死ぬか辞めるか」と悩む保健師と対話した経験を紹介。その保健師は「朝3~4時まで仕事をすることは普通で、6時まで仕事をして職場で寝たこともあった。人間の生活ではなく悲しかった。身体だけではなく気持ちもつらかった」と話し、退職したことを報告しました。

大野書記長は「長時間労働を是正し、職員のやりがい・働きがいを守ることが重要だ」と職場改善の決意を語りました。

4人の特別報告

人員体制強化要求とともに労働安全衛生活動の活用を

高知・本山町職労の川村憲嗣書記長は早期退職者が退職者全体の85%を占める問題に直面し、「職場環境を見直さなければ自治体労働者としての真の力量を発揮できない」と意思統一。人員要求のため団体交渉を定例化、衛生委員会の定例開催を実現したことを報告しました。

滋賀・大津市労連の江口辰之委員長は、市役所本庁舎で職員が新型コロナウイルスに感染し、本庁舎が閉鎖となった際に、市内36の支所で市民対応を行った経験を紹介。市民のいのちと健康、くらしを守るため、人員を増やし職場の体制強化を組合で求めることが必要と話しました。

神奈川県職労連の水戸川慶太書記長からは、2016年に県職員のパワハラ・過労自死事件が発生したことに触れ、組合として裁判支援とともに、機関紙への掲載や報告集会の実施、残業実態調査などのとりくみを報告し、事件を風化させない決意を語りました。

浜松市職の良知(らち)信一委員長は、法令にもとづく安全衛生委員会の設置と開催、委員会による職場巡視を行っている実例を紹介。職員の安全と健康・職場環境改善のため、労働組合で法令に対する知識を深め、安全衛生委員会を活用する必要性を訴えました。

▲特別報告の4人。左上から時計回りに高知、滋賀、静岡、神奈川
▲集会の動画はコチラ

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