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新入職員のみなさんへ 自治体の役割を語る

―コロナの体験から― ②

▲水道事業には知識と技術の継承が重要です

昨年、新型コロナウイルス感染症が日本で確認されて以降、私たちの生活が大きく変わりました。新型コロナ対応と合わせて住民のいのちとくらしを守るために、各分野で私たちの仲間が奮闘しています。4月から新しく自治体労働者・公務公共労働者として働きはじめた仲間に向けてメッセージを送ります。今月号は公営企業評議会、社会福祉部会、現業評議会です。

仲間との交流が自覚と成長につながる

自治労連公営企業評議会 事務局次長 神谷塁さん(名古屋水道労組)

公営企業評議会は、水道や交通などの地方公営企業法に関わる仲間の部会です。私が働く水道事業は、住民のくらしに必要不可欠なものです。その視点で言えば、水道事業の労働者はコロナ危機で重要性が再認識された「エッセンシャルワーカー」です。

水道は24時間365日休みなく管理・運営が必要な事業です。日々の業務における経験、先輩からの知識や技術の継承はその上で欠かせません。

今年入職されたみなさんは、初めての職場で不安を感じていると思います。それは同期や仲間との交流で和らぎ、他の職場を知ることで自分の仕事を客観的に見つめ、やがて職員としての自覚と成長、技術・技能の習熟へとつながります。

育成のあり方を問う 労働組合の役割

多くの職場では、若手職員が新規職員をサポートする体制がとられていますが、通常業務に追われ、充分に機能しているのか疑問が残ります。過去、インフルエンザが拡大した時期に、名古屋市の上下水道局でも研修予定は軒並み中止となり、受け入れる職場もどう取り扱えば良いのか戸惑った経験がありました。

また、以前より中小規模事業体では深刻な人材不足により、職員は日々手一杯で、充分なノウハウを習得する間もなく人事異動を迎え、技術継承どころではありません。

私たち公営企業評議会は、中核事業体が人材育成職場の受け皿として中小規模事業体から職員派遣を受け入れる「公公連携構想」を提唱しています。労働組合は新人へ声をかけるのはもちろんのこと、使用者側へ職場での育成のあり方を問いかけ、両面で新人をサポートしていく役割を担う存在です。組合に加入し、私たちと一緒にがんばりましょう。

社会保障の最前線で住民のくらしを守ろう

自治労連社会福祉部会 事務局長 二見清一さん(東京・足立区職労)

▲全国から仲間が集まる社会保障集会(2019年)

コロナ危機という未曽有の状況のなか、自治体・公務公共労働者として働く決意を持って飛び込んだ新入職員のみなさん、社会福祉職場に異動された職員のみなさん、ようこそ社会保障の最前線へ。

社会福祉部会は、全国の福祉職場で働く仲間でつくる部会です。「社会福祉」という大きな看板をかかげているため、範囲はとても広いです。おもに児童福祉、障害福祉、高齢福祉と公的扶助の分野を中心に諸要求の実現と諸課題の学習・経験交流にとりくんでいます。それぞれの対象や施策は異なりますが、生活に困窮する住民、高齢者、障害者のいる世帯構成は重なるところが多く、実はとても連携が重要になってきます。

声を聞き、寄りそい住民が安心できように

それぞれに制度を定める法律(例えば児童福祉法)があり、法律の解釈を定めた通知(事務処理要領)があり、運用の基準を示すもの(運用事例集など)があります。さらに職場ごとにマニュアルがあり、積み上げられた経験と制度に則って仕事をすすめていきます。しかし、私たちの仕事は、設計図にもとづいて機械を組み立てるようにはいきません。さまざまな状況で支援を必要とする住民に相対するものなので、日々の仕事はイレギュラーの連続です。

私たちが一番大切に考えておくべきことは、カウンターを挟んで住民と対立するのではなく、声を聞き、寄りそいながら支援し、安心した住民生活を守ることです。

コロナ危機が落ち着いたら、交流集会などで仲間に会うこともできるので、自治体社会福祉労働者の使命についてじっくりお話ししましょう。

住民生活支える現業 ますます重要に

自治労連現業評議会 副議長 川口浩之さん(大阪・交野市職労)

▲学び交流しあう全国の仲間(2019年)

私たち現業職員は、住民の生活を日々支え、災害時・非常時に専門性をいかして住民のいのちとくらしを守っています。社会の維持に不可欠なエッセンシャルワークであり、コロナ危機のなかでも止めることはできません。清掃職員の仲間には、住民からの感謝の手紙が届くなど、共感と応援が寄せられています。

新型コロナ感染が拡大するなか、住民生活を守る職員の安全確保に必要な予算の拡充(安全防護具・設備改善)・特別休暇の要求や非正規職員の自宅待機による休業補償の問題など、労働組合の重要性が増しています。

学び・笑い・支え励ます労働組合の魅力

この間、組合に入った若手職員の声を紹介します。「会うたびに『最近どう? 何かあればいつでも言ってよ』と親身になってくれ、とても心強い。常に第一線で組合員を支えてくれている」「ごみ収集は、コロナ感染のリスクがつきまとう仕事。感染の危険性に葛藤を抱える1年間だったが、職場の仲間とまた新しい1年をがんばっていきたい」「今後、正規職員の退職者補充がされるのか。自分たちを守るために、組合の一員として力になりたい」「給食調理員の仕事が大好きでとてもやりがいを感じている。子どもたちの大切な食事を任される責任感と成長する姿を見守ることが魅力」と声が上がっています。

学び・笑い・支え・励ます仲間がいる労働組合の役割がより求められています。現業評議会では、全国の仲間が集まって現業労働学校、学習交流集会を開催しています。今年はWEBで6月12日に行うので、ぜひ新入職員のみなさんにも参加してもらいたいです。

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