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いま、最前線で住民生活を支える仲間へ

[新型コロナ] 自治労連 医療部会 公衆衛生部会に聞く

新型コロナウイルスの感染拡大によって、全国の医療や保健所の現場がどうなっているのか。今回のことで浮き彫りになった日本の医療や保健所の人員や体制が脆弱になった原因は何なのか。職場や組合のとりくみ、新しい職場の仲間へのメッセージを自治労連医療部会の鮫島彰議長と公衆衛生部会の石原昭彦部会長に聞きました(それぞれWEB取材)。

自然災害、感染症に強い地域医療の充実を

自治労連医療部会 議長 鮫島 彰さん(神奈川県立病院労組)

全国の医療機関では、N95マスク、眼の防護具(ゴーグルなど)や防護服、長袖ガウン、手袋や消毒薬などが不足し、最低限かつ適切な感染予防、感染拡大防止にとりくむことができず、患者と医療従事者の安全確保が困難になっています。

感染予防と万一の公務災害認定を

また、ある自治体病院では、医療従事者への新型コロナウイルス感染が判明した際に、職員全員に対するPCR検査も実施しないまま、根拠なく「院内感染の否定=公務外での感染」を決めつけるかのような無責任極まりない対応もあり、日夜奮闘する関係者に不安を与えています。

ほかの自治体でも、「新型コロナ感染での公務災害認定」の速やかな申請について、組合が申し入れた際に、当局は「コロナのケースでも公務災害基金が必ず認定するかはわからない」と発言したそうです。「感染対策は万全にして職務に従事しているはずであり、感染することはない」「インフルエンザのようにどこでも感染する危険性があるものになれば、感染経路を職場と限定できない」としました。これでは、安心して医療に専念できません。組合で要求し改善していくことが必要です。

この間、国は全国の病院を統廃合してきました。今も厚生労働省は、感染症病床を持つ病院も含め、全国の病院を名指しして、統廃合をすすめています。考え方を改め、自然災害や感染症に強い、地域医療が充実した社会に変えていくことが重要です。

私たちの役割を発揮するとき

すでに医療現場では、医療従事者が感染するケースが生じており、ますます、医療従事者は「著しく困難もしくは危険かつ精神的緊張度が高い」状態に置かれています。看護師・職員のメンタルヘルスについてもフォローが必要です。

未知のウイルスに立ち向かわざるを得ない困難な状況のなかで、4月から入職された仲間もいますが、ぜひ、「私たち医療従事者・自治体病院の役割を発揮するとき」と、自覚をさらに高め、ともに励まし合いながら、乗り越えていきましょう。

私たちは「最後の砦」 ともにがんばりましょう

自治労連公衆衛生部会 部会長 石原 昭彦さん(横浜市従/横浜市健康福祉局環境施設課)

保健所の感染症担当の部署は管理職も含めて、2月からの長期間にわたる対応で疲弊しています。保健所の統廃合で保健所が1つだけになった自治体も多く、感染症担当課に業務が集中しています。

昼夜を問わず電話や窓口対応に追われています。また、感染者や濃厚接触者等の疫学調査や、健康観察や医療機関との受診調整なども行っています。

当然、感染者数や感染疑いの対象者が増加することで、業務量も増加しています。担当職員だけでは対応しきれず、感染症担当経験者の保健師も応援に入っていましたが、これも限界で、各地域の保健センターからも保健師が交代で応援に入っている自治体もあります。

統廃合の影響 まったく足りない体制

しかし、感染症業務の経験のない保健師や職員も多く、対応に限界があります。すでに政府も保健所機能の継続のために、非常勤や全庁的な応援体制などの通知を出しましたが、まったく足りないというのが実態です。

この間、国は保健所の統廃合の政策を推しすすめ、保健所を減らし、総人件費抑制で職員数を削ってきました。すでに日常業務においても人員が不足するなかで行っていたため、自治労連も公衆衛生部会も、厚生労働省に対して、「保健所の体制強化」、「新興再興感染症の平時からの対策強化及び発生時の対応強化」を訴え続けてきました。

「最後の砦」であり続けられる体制を

いま、政府はPCR検査を増やすとしていますが、検査の依頼が増えれば、さらに衛生研究所は夜間、休日も検査に追われることになります。

また、患者の搬送や疫学調査を行う職員やPCR検査を行う職員への特殊勤務手当も微々たる金額です。いくつかの自治体では特殊勤務手当がそもそも廃止されています。改めて、労働組合の力で労働条件を変えていくことが必要です。

自治体で働く職員・労働者は、住民生活を支える「最後の砦」だからこそ、「予防」「防疫」の徹底が重要です。ともにがんばりましょう。

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