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住民のいのちをつなぐ病院 再編・統合でなく存続・充実こそ

住民との共同で公立病院を守ろう 愛媛 津島・吉田 病院局労組

▲「住民の会」主催のサマーコンサート。病院長もギターを手に出演

愛媛県南西部の水産業とみかん栽培が盛んな宇和島市吉田町にある宇和島市立吉田病院(以下、吉田病院)では、老朽化や医師不足などの困難があるなか「病院を維持し守ろう」と地域住民と病院関係者が共同を広げています。

1921(大正10)年に吉田町外5ヶ村衛生組合吉田病院として創立された吉田病院は、市町村合併などによる存続の危機を乗り越えながら、長く地域医療の拠点となってきました。

しかし、病院当局は施設の老朽化や赤字経営対応に、歯科の廃止を含む再編計画を昨年3月に決定。また、9月の厚生労働省の再編名指しに住民からも不安の声があがりました。この計画に対して、常勤医師の増員と歯科診療の継続、西日本豪雨の経験から災害に強く高齢者に優しい施設整備などを求め署名活動が広がりました。

市長に署名を提出し病院維持を強く要請

署名運動の中心となった「市立吉田病院を存続・充実させる住民の会(以下、住民の会)」の松崎勝一会長は、「歯科廃止や、厚労省から名前があがって『これはイカン』と思って署名をお願いしていった。地域のために昔からある病院で、西日本豪雨の時も助けてもらった。住民にとってなくてはならない」と病院存続を訴えます。

自治会にも協力をもらい、署名は多くの住民に広まり、目標を大きく超え3864筆が集まりました。2月4日の「住民の会」総会で岡原文彰宇和島市長へ署名を提出。市長は「みなさんに大切にされている吉田病院は必要。厚労省の発表には納得できない。今後の協議に向け、みなさんの意見に耳をかたむけていきたい」と発言しました。

住民を主人公にしてこそ共同が広がる

津島・吉田病院局労組の石村貴彦書記長は、「病院を利用して、住民の会主催で子どもや学生も参加するコンサートが毎年2回夏冬に開催されています」と病院が医療だけでなく住民にとって大事な場所であると話します。また、「職場では人員不足が深刻化し、代休取得もできず、年休の取得もしづらいなど厳しい声も上がっているが、職場要求も実現しながら病院を守っていきたい」と決意を語ります。

「住民の会」松崎会長も「看護師や職員のみなさんには、住民の会へ協力していただき、大変お世話になっている。今後とも一緒にやっていきたい」と期待の声。住民と労組との共同の活動は続いていきます。

▲「住民の会」松崎会長(左)と石村書記長(右)

▲岡原宇和島市長(右)に署名を手渡す松崎会長

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