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第14録 東海道の旅人気分で有松絞りのお土産探しも楽しい

いい旅ニッポン見聞録2017年3月号 Vol.520

愛知県・名古屋市緑区有松

東海道の旅人気分で有松絞りのお土産探しも楽しい

江戸の面影残す絞りの町有松

▲愛知県の「指定有形文化財」の服部家住宅・服部家土蔵(写真右)

名古屋の南東部に位置する、「有松絞り」で名高い有松(名古屋市緑区)は、徳川家康が江戸に幕府を開いて間もない1608(慶長13)年、尾張藩によって知多半島の阿久比から移住を募り、東海道の治安対策も兼ねて池鯉鮒(ちりゅう)(現在の知立)宿と鳴海宿の間の宿として開かれた町。丘陵地で耕地も少なく茶屋集落としての営みにも限界があったため、東海道を行き交う旅人の土産物として絞り染めが住人のひとりである竹田庄九郎によって考案されました。

北斎や広重の浮世絵にも描かれた

絞り染めは〝粋〟なものとして迎え入れられ、故郷へのお土産にと、絞りの手拭、浴衣などを買い求め、これが街道一の名産品となりました。その繁栄ぶりは、北斎や広重の浮世絵にも描かれました。広重『鳴海』は有松を描いたもので「名産有松絞り」と記してあります。以降、有松絞りとともに有松のまちは発展。昔の繁栄と、日本建築の美しさを今に伝える東海道沿いの町並みは2016年7月に、国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されました。

竹田家住宅(初代庄九郎屋敷跡で主屋は江戸期の建築)や服部家住宅など、絞商をはじめ現在も往時の面影を残す町並みが保護修繕も原状復帰など苦労もされており、建物の特徴を探しながらの緩やかにカーブする通りの散策も楽しい。

福よせ雛さんぽや絞り体験へいりゃあせ

今年は、2月25日~3月26日まで、有松東海道の町並みを構成する木格子に雛人形が飾られる「ありまつ福よせ雛さんぽ道」が開催され、毎年6月第1土・日に開催される「有松絞りまつり」や春祭り(3月第3日曜日)・秋祭り(10月第1日曜日)に曳きだされる布袋車・唐子車・神功皇后車の山車の上では「からくり人形」の演技が繰り広げられます。東海道の旅人気分で絞りのハンカチなど手ごろなお土産を物色するのも楽しみです。はずしてならないのは「有松・鳴海絞会館」。2階では絞りの実演も行われています。ベテランのお婆ちゃんとお喋りをしながらの見学が楽しいです。是非のおこしをお待ちしています。

見聞メモ
【有松・鳴海絞会館】
絞りの歴史資料や技術が実物を使い、わかりやすく展示。伝統工芸士による絞りの実演も必見。希望により絞り体験教室も開かれ、気軽に絞りの世界を満喫できます。
開館時間 9:30~16:30
入館料 300円
休館日 12月から3月は毎週水曜日、年末年始。4月~11月は無休
問合せ 052-621-0111

▲小学2年生から絞りをやっているという伝統工芸士の荒川叶江(88歳)さん。実演は日曜日担当