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第3録 加賀百万石の伝統と現代文化のコラボ

いい旅ニッポン見聞録2016年3月号 Vol.508

石川県金沢市

加賀百万石の伝統と現代文化のコラボ

堂々、きらびやかな城下町
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▲雪吊りされているのに少しも雪のない兼六園

 北陸新幹線が開業して1年の金沢のまちを訪れました。

 新幹線「かがやき」の車中は和を取り入れたシックな色づかいで落ち着いた雰囲気です。出入口付近に荷物置き場があり観光客にも配慮したつくりです。驚きはトイレ。ふたが自動開閉する温水洗浄付きや、女性専用の洗面所もあります。

 新しくなった金沢駅で目に付くのはやはり鼓をイメージした「鼓門」です。アメリカの旅行誌で「世界一美しい駅」のひとつに選ばれた駅の象徴です。

 バスで百万石通りを行き兼六園へ。兼六園シャトルバスやレトロバス城下町金沢周遊号などがありますが、とにかく観光客が多くぎゅうぎゅうづめです。

 期待した雪景色は見られず、木々に施された「雪吊り」が寂しげですが、多くの外国人観光客も庭園を楽しんでいます。最近は「爆買い」より「文化・芸術」へと関心が変わってきているそうです。

 金沢城へ向かうと、さすが加賀百万石。城の石垣が立派すぎて天守閣が見えない……と思ったら、天守閣はないとのこと。1583年前田利家が金沢城に入った後も城は広いものではなかったそうです。1602年に火災で天守閣を焼失しましたが再建されず、その後幾度かの火災で城の構造を変える中でも実用性を重視し、天守閣を再建せず、二の丸を中心にした整備が行われたそうです。伝統を守り続ける秘訣は堅実さにもありそうです。

 金沢城公園から昭和レトロな雰囲気の新竪町(たてまち)商店街へ向かいました。「骨董通り」とも呼ばれ、九谷焼をはじめ、アンティーク、美術品を扱うお店があります。若者にも人気で、洋服や雑貨などのセレクトショップも並びます。

 散策を楽しんだ後は金沢駅へ戻ってお土産選びです。駅ビルの金沢百番街には名店がずらり。和菓子、麩、お漬物、ぶりのかぶら漬け、鯖や蟹の棒寿司などなど、どれにしようか迷います。お土産を見て回るだけでも金沢の伝統と文化に触れることができます。

 せっかくなので近くの温泉まで足をのばしてはどうでしょう。湯涌(ゆわく)、片山津、山代、山中と温泉も豊富です。

 帰りは北陸新幹線を使うもよし、福井の芦原(あわら)を回り米原へ出て一筆書き乗車(同じ路線にのらない)にチャレンジしてもいいかもしれません。

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▲金沢駅の新しいシンボル「鼓門」。大きさに圧倒されます
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▲北陸新幹線「かがやき」