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主張 公立・公的病院の病床削減への圧力

国民のいのちは平等 住民自治と地域医療を守ろう

住民自治と地域医療の崩壊

厚生労働省は「医療体制の見直しを求める」として、9月26日に公立・公的病院の病床削減と再編統合の議論を促す、全国424病院を名指しで公表しました。

安倍首相は、「限られた財源を賢く活用し、国民生活の質の向上を図ることが重要。全国13万床ある過剰なベッド数の削減等を着実に進める」と発言し、同省の「分散している医療機能を集約し、病床数を減らして医療費を抑制する」狙いを露骨に示しました。名指しされた病院に対して、治療実績が乏しく、近くに実績が豊富な病院があるなど、「他の医療機関で代替可能性がある」場合は、期限を区切って統合や再編に向けた議論を要請するとしています。

診療実績の分析方法は、同省が決めた基準値以下を「診療実績が特に少ない」と断定し、また、病院までの救急搬送に要する平均時間(12分)よりも長い20分を「近接」としました。しかし、「特に診療実績が少ない」との基準は、全国的な医師・医療従事者不足によって患者に十分な診療が行えずにいる地域が多いなどの実態を無視しています。「救急車で20分以内の距離」に競合する病院というのも、一律の基準で病院を統合・縮小すれば病院はさらに遠くなります。しかも、今回の対象が54病院で最多の北海道などは、最寄りの病院が片道数時間かかる地域もあります。さらには、全国どこでも高すぎる医療費負担とあいまって、体調が悪くても受診を我慢せざるを得ないことになります。

国は調整会議の議論が難航する地域に対し、「再編・統合論議を国が重点的に支援する地域」を決める仕組みを準備しています。「区域ごとの議論に委ねる」と言いながら、地方への介入であり、住民自治と地域医療の崩壊につながります。

住民要求と共同したとりくみを

公立・公的病院は、住民生活を守るうえで欠かせない政策医療を担っています。また、多発する災害時の医療提供体制の維持はもとより、地域住民が等しく医療を受ける権利が行使できる地域医療体制の中心で住民自治機能として役割を果たしています。

自治労連は「住民の命とくらし、地域医療と公立・公的病院の充実を求める運動」をこれまでも展開してきましたが、なおいっそう、住民や関係団体との共同を広げていきましょう。

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