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【シリーズ154】弓道は自分への挑戦

My Way My Life2013年7月号 Vol.476

千葉県職労 田邉 美江さん

弓道は自分への挑戦

よく晴れた6月初旬、田邉さんが参加した弓道大会にお邪魔しました。弓道場では多くの人が見守るなか、上は白、下は黒い袴姿の競技者たちが次々と矢を射っていました。
矢をつがえ、立ち上がり大きく足を広げて体勢を整えます。弓を構え、弦を引いたままねらいを定め、機が熟すのを待ち(会)、一気に胸を大きく開いて矢を放ちます(離れ)。矢を放っても数秒間は的に向いたままの姿勢で動きません(残心)。やがてゆっくりと向き直ります。緑に囲まれた会場は静まりかえり、「パンッ」と矢が的に当たる音が響きます。
「射法八節」と言われる一連の動作は、静かにゆっくりとよどみなく進みますが、そこには弦を引く力と弓を押す力のせめぎ合い、精神の集中など「静かなドラマ」があります。そして、背筋の伸びた立ち姿には、気品と美しさを感じました。

田邉さんが弓道にハマったのは14年前。子どもが中学の部活で始めたことがきっかけでした。子どもの弓道練習の送り迎えをしていたおじいちゃんが興味を持ち、次に夫、田邉さんと家族内に広がっていきました。以来、夫婦で熱心に練習を重ね、現在は5段。全国大会では7位の成績を収めています。県庁弓道会にも所属し、団体戦では千葉県のゆるキャラ「チーバ君」のゼッケンを付けて各地の大会に参加しているそうです。
一家で弓道に魅了された田邉さん。なんと、長生村の自宅に弓道場を作ってしまいました。的まで28メートルの規定どおりの弓道場です。いつでも好きなだけ練習ができると、ますます熱が入ります。
弓道の魅力はその奥深さ。田邉さんは「当てようと思うと、当たらない。当てるのではなく、当たる」「がんばってもいけない。ただ無心で集中する」と語ります。28メートル先の36センチの的を正確に射抜くためには、集中力と平常心が欠かせません。そのための自己鍛錬が弓道なのかもしれません。
小学生から百歳まで体力にあった楽しみ方ができるのも弓道の魅力です。田邉さんは「心・技・体の合致をめざして、自分への挑戦をずっと続けたい」と微笑みます。まさに、求(弓)道者です。

▲自宅で練習する田邉さん

▲大会に参加する県庁弓道会チームのみなさん

▲きれいに整備されたご自宅の弓道場