第97録 主張もお祝いも全力 ロンドンの「伝える文化」
[特別編] 2026年新年号 Vol.626
日本から飛行機で14時間 イギリスの中心地ロンドン
主張もお祝いも全力 ロンドンの「伝える文化」
イギリス・ロンドン
▲古き良き街並みに赤いダブルデッカーバスが映えます
いとこの結婚式に招かれ、ロンドンへ。到着した日は、チューブと呼ばれる地下鉄がまさかの大規模ストライキ。主要な路線が全て止まっていました。タクシーの運転手は「チューブの職員は給料が高いのにすぐストライキするんだ」と不満をこぼしていましたが、イギリスは労組の力が強く「労働者が環境改善や自らの権利を主張する」ことが尊重されています。
チューブはあきらめ、バスでの移動に。通勤客や観光客が流れ込み、どのバスもすぐに満員です。日本とは違い、入口がいっぱいになった瞬間に容赦なく発車します。乗り損ねたバスを走って追いかけ、次の停留所で乗るという体験もしました。
大小さまざまな特色あるマーケットに出会える街
結婚式の日までロンドン観光。中世から続くマーケットはそれぞれ特徴が分かれる独自の文化へと発展しています。バラ・マーケットは食の台所。ソルトビーフサンドや各国のチーズ食べ比べなどができ、思い出すだけでお腹が鳴りそう。コヴェント・ガーデンは劇場や雑貨の文化スポットで、ロンドンで唯一ストリートパフォーマンスが許されており、クラシックの演奏が響きます。全部で9つのマーケットをめぐり、「これぞロンドン!」な空気をたっぷり味わいました。
懐の深さとあふれる刺激に心奪われた旅
ロンドンには大英博物館やV&A博物館など有名なミュージアムが数多くありますが、街中にもストリートアートがあふれています。もちろん落書きは違法ですが、合法で描ける場所があり、なかでも圧巻だったのはリークストリートトンネルです。全長300メートルの廃トンネルで、端から端まで、天井から床までアートだらけ。日々上書きされています。その日も何人もスプレーで描いていて、その匂いに「これは強烈だ…」とつい後ずさり。それでも堂々と自分の主張や思いを描ける場所があるのが、ロンドンの懐の深さだと感じました。
滞在中にトランプ米大統領が訪英中で、抗議デモに遭遇。楽器を演奏して行進する人たちもおり、政治的なメッセージだけどお祭りのようで楽しそうでした。
イギリスらしさはいとこの結婚式でも。なんと式は昼から始まり約12時間も続きました。合唱、スピーチ、ジャズバンドとみんなが全力で新郎新婦を祝福します。日本との違いに驚きつつ、思い思いに気持ちを伝える姿が印象的でした。
主張することを大切にする街や人に出会い、旅の間中が刺激の連続でした。短い滞在でしたが、大好きな街になりました。
▲デモ行進。それぞれ楽器を鳴らし、声をあげ、プラカードをかかげます
▲カムデン・マーケットでは、頭上に色とりどりの傘が並ぶアーケードを歩き、見上げるだけでわくわく
▲リークストリートトンネル。かつてバンクシーのイベントが開かれアート空間として知られるようになりました