長時間労働を美徳とする高市自民党新総裁発言の撤回を求める(談話)
長時間労働を美徳とする高市自民党新総裁発言の撤回を求める(談話)
2025年10月7日
日本自治体労働組合総連合
書記長 橋口 剛典
10月4日の自民党総裁選で新総裁に選出された高市早苗氏が、同党国会議員に向けた挨拶のなかで、「全員に働いていただきます。馬車馬のように働いていただきます。」「私自身もワーク・ライフ・バランスという言葉を捨てます。働いて働いて働いて働いて働いて参ります。」と発言したことが波紋を広げている。
これらの発言は、労働時間規制の強化で労働者のいのちと健康を守り、安心して働き続けられる職場を求める私たちの思いと相反するものである。仮に労働者にこうした働き方を求める意図がないとしても、時代錯誤かつ社会的影響への配慮がない無責任な発言であり、看過することはできない。
かつての長時間労働を良しとする社会風潮のなかで、多くの労働者のいのちが過労により失われた。悲嘆に暮れる遺族は悲劇を繰り返すまいと懸命にたたかい、規制の強化を求め、過労死防止法制定や時間外業務の上限規制を実現させてきた。
自治体職場でも、人員削減政策のもとで職員が大幅に減らされ、多くの職員が恒常的な長時間労働に苦しめられることとなった。コロナ危機のなかでは、「過労死ライン」を遥かに超える長時間労働を強いられ、「死ぬか辞めるか」の究極の選択を迫られた。自治労連は、社会にその実態を知らせ、「いのちよりも大事な仕事はない」と訴えてきた。「住民のいのちを守ること」と「職員のいのちを守ること」を車の両輪と位置付けた運動によって、不十分ながら保健師の増員などを勝ち取ってきた。
こうした経緯のなかで、今、過労死の惨禍を繰り返すことのないよう、国をあげて取り組んでいるときに、社会的影響力の極めて大きい最大の国政政党の総裁が、上記のような世論を誤った方向へ導きかねない発言を行ったことは非常に重大である。
長時間労働を前提とする働き方やワーク・ライフ・バランスを無視した働き方が仕事と生活の両立、そして、ジェンダー平等社会の実現における大きな障壁となっている。そのなかで、社会に示すべき姿勢は、ワーク・ライフ・バランスを捨てて「馬車馬のように働く」ことでは決してなく、すべての労働者が労働基準法に謳われる「人たるに値する生活」を送り、健康でいきいきと働ける社会を目指すことであり、その実現のために人員増などの抜本的対策にこそ踏む出すべきである。
自治労連は、上記の長時間労働を美徳とする高市自民党新総裁発言の撤回を求める。そして、住民のために安心して働き続けられる自治体・公務公共関係職場の実現に向けて、長時間労働から職員を守るたたかいをさらに強めていくものである。
以 上