メニュー

〈短期連載⑤〉考えよう戦後被爆80年 私たちの仕事と役割

[地方自治] 地方自治の発展こそ平和でくらしやすい地域をつくる

▲各地でとりくまれる地方自治研活動(写真は6月22日に行われた「第44回埼玉地方自治研究集会」)

戦後・被爆から80年。戦争と平和、憲法と地方自治の歴史と現状を振り返り、各地のとりくみを紹介しながら、私たちの仕事と役割についてあらためて考えます。(第5回・最終回)

戦前の日本は封建・中央集権的で、府県知事には国の官僚が任命され、市町村も内務省の強い監督下に置かれていました。自治体は政府が戦争へ突きすすむことを止めるどころか、兵事事務などを担い、戦争に反対する住民を統制・弾圧する側になることもありました。こうした歴史の反省から地方自治を憲法に定め、具体的な住民の福祉増進の施策を担い、民主主義を育てる役割を与えられました。

地方自治は、「住民自治」と「団体自治」の2つの原則から成り立っています。地域住民の意思にもとづいた自治(住民自治)と、国と対等に独立した公共団体として自主的な運営(団体自治)を両立させることでより良い地方自治の実現をめざしています。例えば東京・杉並区では、まちづくりなどで区長が率先して住民対話を徹底する方針で行政をすすめています。どの自治体でも保育園の民営化や学校・病院の統廃合、地域経済と人口流出などが課題です。さらに戦争体制に自治体を組み込む「指示権」を規定した地方自治法「改正」、国による地方自治への介入なども危惧されています。

地方自治発展には住民が自治体の政策に参加していくことが重要です。地域の住民や市民団体、研究者、中小企業経営者などさまざまな立場の人と「より良い地域をどうつくるか」を対話し、学び合い、研究する地方自治研究活動(自治研運動)が各地ですすめられています。来年10月には全国集会もあります。職場や地域で自治研活動を広げながら、公共を取りもどし、憲法と地方自治がいきる地域社会にしていきましょう。