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第94録 55年の歴史を越え輝く日本の芸術の最高傑作

いい旅ニッポン見聞録2025年6月号 Vol.619

岡本太郎がデザイン 太陽の塔

55年の歴史を越え輝く日本の芸術の最高傑作

大阪府吹田市・万博記念公園

▲多くの人が「すごい迫力」「よくぞ残してくれたね」と笑顔で記念撮影

大阪・関西万博に行くつもりが、間違えて万博記念公園に行く人が多いらしい。初めて「太陽の塔」を見て、「すごい迫力でびっくり」「当時の万博のレガシーを感じる」と思わぬ出会いに絶賛する声も聞かれます。芸術家の岡本太郎がデザインした「太陽の塔」は、1970年の大阪万博で建てられた高さ約70メートルの建造物で、閉幕後も万博記念公園が整備され、大阪万博のシンボルとして残されました。

岡本太郎の「生命の樹」 その凄さを間近で

大阪万博の開催時は「太陽の塔」内部に展示空間として、岡本太郎の「生命の樹」が展示され、原生生物から爬虫類、恐竜、人類に生命が進化する過程を見ることができました。

万博終了と同時に閉鎖し、2018年の一般公開まで約48年間、太陽の塔は外から眺めるだけでした。

当初は、他のパビリオンと同様に取り壊される予定でしたが、地元の小中学生も参加した保存を求める署名運動により、唯一当時のまま現地に残されることになりました。

その後、復元事業の寄付金が1億5000万円を超えるなど注目を集め、2016年10月から耐震化と内部復元工事が始まりました。それから「生命の樹」「地底の太陽」などが復元され、2025年5月現在では、事前予約すれば太陽の塔内部を見学できます。万博記念公園の「エキスポ70パビリオン」では、大阪万博の開催時に「太陽の塔」頂部に設置された初代の「黄金の顔」など、大阪万博を楽しく体感できます。

「太陽の塔」の魅力 若い世代につなげて

今も1970年に大阪万博へ行った思い出を「一生忘れられない」と語る人は多くいます。当時を体験していない世代も「太陽の塔」に強く惹きつけられるなど、万博記念公園で「大阪・関西万博」に負けない勢いを感じました。

ぜひ機会があれば、「太陽の塔」内部で異空間を感じてみてください。

▲岡本太郎が描いた太陽の塔のデッサンがいっぱい展示されています

▲「地底の太陽」があった「いのり」という呪術空間。当時の記録を元に復元