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第59録 過去、現在、そして未来へ 夢をつなぐ新しいまちづくり

いい旅ニッポン見聞録2021年4月号 Vol.569

旅の起点は駅前観光案内所

過去、現在、そして未来へ 夢をつなぐ新しいまちづくり

滋賀・近江八幡(おうみはちまん)市

▲安土駅舎ラッピング(安土駅北口の観光案内所)

激動の歴史を伝える城跡と堀、活気あふれる碁盤目の街づくり。今なお20軒余りのヴォーリズ建築(注)が残存し、くらしに溶け込む懐かしい景観。日本遺産にも認定され、何世紀にもわたり人々の営みと文化を紡いできたびわ湖に浮かぶ沖島。風光明媚な西の湖の水郷文化と安土桃山時代のロマンをめぐる旅へ。

滋賀県中部に位置する近江八幡市は豊かな観光資源に恵まれ、年間およそ500万人以上が訪れます。旅の起点は、JR近江八幡駅北口または安土駅北口の観光案内所が便利です。

ロープウェイで山頂へ びわ湖も街も歴史も一望

織田信長亡き後、豊臣秀吉の甥であった秀次が、安土城下の人々を移して城下町を開いたのが近江八幡市の原形です。楽市楽座を施行し、城の防御である八幡堀をびわ湖とつないで船を寄港させるなど自由商業都市としての基盤を築きました。新町付近には、当時の近江商人屋敷跡などが多数残っており、ロープウェイでも徒歩でも登れる八幡山の山頂(本丸跡)からも、こうした古い町並みが一望できます。名物の「赤こんにゃく」や、菓子店たねやの「つぶら餅」の食べ歩きも人気です。

山頂には、非業の死を遂げた秀次の菩提のために創建された瑞龍寺(ずいりゅうじ)という門跡寺院があり、びわ湖や比叡山、比良山系(ひらさんけい)を眺望できます。また、麓の日牟禮八幡宮(ひむれはちまんぐう)は古くから近江商人の信仰を集め、二大火祭の「左義長(さぎちょう)まつり」と「八幡まつり」は国の選択無形民俗文化財としても有名です。

地域住民の運動で守られた八幡堀

映画や時代劇の撮影場所としても有名な八幡堀ですが、かつてはヘドロやゴミなど環境問題から埋め立てられようとしていました。それでも「町の歴史がつまった八幡堀を守ろう」と地域住民の粘り強い運動が埋め立て推進派たちの心や行政を動かし、八幡堀を甦らせました。

アフターコロナの新しい時代のまちづくりでは、幅広い市民の思いや熱意を結集し、心の豊かさや優しさを育む視点も求められています。その一例として、「安土駅舎のラッピング」や、11月からの「八幡堀ライトアップ」など夢のある計画も議論されています。2018年に市長が変わり、過去と現在が調和・共存し、未来に向けた新しいまちづくりがすすめられている近江八幡市へ、ぜひお越しください。

(注)アメリカの建築家ウィリアム・メレル・ヴォーリズが手懸けた西洋と日本の様式が巧みに取り入れられた建築

▲日牟禮八幡宮。関ヶ原の合戦後に徳川家康も武運長久を祈願した由来から正門には葵の家紋

▲店内でも食べ歩きでも手軽さが人気のつぶら餅。3個240円で小豆茶が付きます

▲11月からのライトアップに期待が寄せられる八幡堀