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どうする!?「会計年度任用職員」制度

このページは2019年3月4日に更新しました。

 2017年の地方公務員法「改正」を受け、2020年4月から、地方自治体で働く職員に大きな影響をもたらす「会計年度任用職員」制度が施行されます。
 この法「改正」について、当初は、非常勤職員に「一時金が出せるようになる」といった「改善」面が強調されていました。ところが、未だ政府としての財源措置は約束されず、労働条件が改善されるどころか、「会計年度」に限った任用(雇用)が法定化されることから、低賃金・低処遇の上に、いつでも首切り自由の無権利職員がさらに増大することが危惧されます。非正規職員を民間企業・団体に移籍し、労務管理は民間任せで、仕事だけは委託や派遣でしてもらおうという自治体まで現れています。
 それだけではありません。
 「会計年度任用職員」の増大や事業の民間委託・非常勤職員の派遣職員化によって、これまでも減らされ続けてきた正規職員がさらに減らされ、住民の皆さんへ充分な行政サービスの提供が困難になることも予想されます。
 自治労連は、本来正規職員がすべき仕事は正規職員が行うことを基本にしながらも、全国の自治体が、本来の法「改正」の趣旨に沿い、非常勤職員などの非正規職員の賃金・労働条件を大幅に改善することを強く求めています。そのために、正規職員と非正規職員が一体となって「正規・非正規つなぐアクション」という運動を展開中です。

 制度がどう変わるのか?不安を持たれている非正規職員の皆さんが多くいらっしゃると思います。私たちが作成したチラシ等の資料をご覧ください。

お問い合わせやご相談は、自治労連本部(賃金権利局)までご連絡ください。
電 話 03-5978-3580
メール info@jichiroren.jp

+制度の概要~採用や給料はどうなる…改善が必要

1 すべての臨時職員・非常勤職員が対象

 臨時職員は「常勤職員の欠員補充」に限定され、また特別職非常勤職員を学校医、学校歯科医など「学識経験のある専門職」に限定し、勤務時間・場所が指定され、上司の指示のもとで勤務する職員は特別職非常勤職員ではなくなります。したがって、現状のほとんどの臨時職員、非常勤職員は、「職」(=業務)の検証が行われたうえで「会計年度任用職員」として新たに任用されることになります。
 正規職員の代替となっている業務については、正規化を求めることが必要です。

2 採用方法は「選考」によることができる

 会計年度任用職員の採用方法については、その従事する業務の性質などをふまえ、競争試験によることを原則とする任期の定めのない常勤職員とは異なり、競争試験又は選考により採用する特例が設けられました。したがって、競争試験によらず、選考によることとし、その方法として面接や書類選考等による適宜の能力実証によることができることになります。

 なお、会計年度任用職員は、その任期を1会計年度とされていますが、仕事が継続しているにもかかわらず雇用が1年限り、という不合理な制度そのものを変えさせることが必要です。

3 会計年度任用職員の給料

 政府は、「会計年度任用職員には新地公法第24条(職務給原則、均等の原則等)が適用されるので、給与決定にあたっては、常勤職員の初任給決定基準や昇給の制度との権衡を考慮する必要がある」と説明しています。
 ただし、この決定にあたっても自治体の判断次第となるため、国会附帯決議・政府答弁に基づいて、仕事の内容や役割、専門性を給与決定に反映させるよう、働きかけが必要です。

4 2020年4月から勤務条件が変更

 制度上では、期末手当が支給可能になり、フルタイム勤務なら退職手当など諸手当の支給や地方公務員共済、地方公務員災害補償制度が適用になりますが、すべては各自治体の判断になります。
 なお、正規職員と同じ週38時間45分が「フルタイムの会計年度任用職員」、正規職員より1分でも短い勤務時間だと「パートタイムの会計年度任用職員」になります。

+制度の問題点~当局まかせにしていると… 何も運動をしないと… こんな不安が

任期・雇用の継続
毎年同じスタートライン

 いま働いている臨時・非常勤職員がどう移行されるのか─政府は公募を原則に制度を開始するよう説明しています。そうなれば、まったく経験のない人と同じスタートラインに立たされ、競争試験・選考を受けなければならないのか?雇用不安が広がっています。
 自治体や国が制度を正しく運用していなかったから法律を変えたのだから、いま働いている臨時・非常勤職員の雇用保障を求めることが当然です。
 また、「再度任用」することは可能だけれども、国の非常勤職員制度にならって、最低3年毎に公募を行うよう国は求めています。それまでの経験や実績に一切関係なく公開公募の対象となってしまいます。

賃金・手当は?
賃金は何年働いても正規職員の初任給 1分でも短ければ大幅な格差

 会計年度任用職員の給与決定は、正規職員の「初任給決定基準や昇給の制度との権衡を考慮する」と政府が説明していますが、正規職員と同じように毎年給料が上がることになるのでしょうか。たしかに、政府も「再度任用」されれば数年間は上がる仕組みをつくるべきだとしていますが、同時に正規職員の初任給を基準に上限を定めるよう求めています。これでは、何年働いても正規職員との格差は残されたままです。
 同時に、同じ会計年度任用職員でも勤務時間によって支給される手当が異なります。(右上表参照)1分でも短ければ、期末手当以外の手当は支給対象とならない、また社会保険や災害補償でも制度が異なることになります。

雇い止め
民営化で職場が消える?

 を自治体にどういうカタチで取り入れていくか、自治体に任せられ、自治体ごとに検討されています。
 一部の自治体では、国が期末手当や仕事の内容・勤務経験に基づいた給与(報酬)を支給するように説明しているが、そのための財源を国がいっこうに示さないので、新たな財政負担が増えるのではないか?非正規職員の人事管理が複雑になるのではないか?などの理由で、一部の業務を除いて民間委託してしまおうという提案がされています。

民間企業の提案

  • 非正規職員の労務管理に追われる人事係・総務係
  • 1年毎の入替による事務の煩雑さと業務遂行能力の分断・熟練度の低下
  • 雇用形態が多様となり(常勤、短時間、3/4等)期日管理が煩雑
  • 同一労働、同一賃金の基本から外れる運用の為、職員の不満等が内在している
  • 個人情報管理を含む各業務毎の技術向上の為の研修制度が確立されていない。

果たしてこの提案どおりになるでしょうか?
★社員として雇用されるから安心というけれど、自治体が委託替え・取りやめすればポイ捨て?!
★会社だから利益を出すためには、人件費・住民サービスが削られる!
★これまでの業務の経験・ノウハウ、専門性が失なわれ、安定・継続的に住民サービスを提供できなくなる!

+各地の取り組み・成果~職場の声をあつめて仲間を増やして要求実現を

賃金・休暇制度の改善へ

 A市では、現行の嘱託員の賃金水準から大きく後退する内容の第一次提案に対し、職場の声を背景にねばり強く交渉を繰り返し、「最終回答」では、年収ベースで現行水準をほぼ確保し、病気休暇(有給)制度でも改善を勝ち取りました。
 非正規組合員のみなさんが中心になって、組合員を増やしながら取り組みを続けてきたことが、最終回答でのさらなる改善につながりました。

同職への任用は公募しない賃金の現行水準確保

 B市では、制度移行に乗じた不当な職の廃止を許さないために、「正規も非正規もみんなで!嘱託員の雇用に関わる法『改正』みんなの要求署名」に取り組み、制度移行時の同じ職への任用について公募を実施しないこと、一時金増額と賃金の現行水準確保などの到達を勝ち取りました。
 「不安定雇用、低賃金あかん!絶対あきらめない!」と、嘱託員と正規職員180人が駆けつけた怒りの集会(写真)など、嘱託員の思いを人事当局にぶつけてきた成果です。

パート職員も含め「期末手当」正規職員と同じ支給基準に

 期末手当支給について、東京特別区では1週間に3日以上働くパートタイム職員を含め、正規職員と同月数を支給することになりました。組合は「15時間30分未満であっても、朝夕に働く保育士は週5日勤務がほとんど。保育園業務や子育て支援施策への貢献度が高く、不支給は認められない」と追及。結果、「週15時間30分未満、かつ週当たりの勤務日数が2日以下の者」を除くこととし、週3日以上働くパート職員を支給対象にできました。

+自治労連は制度改善への取り組みをすすめてきました

正規・非正規が力を合わせて

 自治労連は、非正規雇用の固定化・拡大とともに、正規職員のさらなる人員削減と長時間過密労働、公共サービスの外部委託化が強まる危険性があることを訴えてきました。
 そして、臨時・非常勤職員の問題にとどまらず、住民の人権を憲法に基づき保障するための業務を誰が担うべきなのか、自治体職場のあり方が問われる問題ととらえ、正規・非正規一体の取り組みをすすめることを呼びかけてきました。 あわせて、劣悪な賃金労働条件であっても、住民サービスを担い支えている「誇り」と、非正規雇用労働者をモノのように扱い、「雇い止め」で住民サービスの質の低下や職場に混乱をもたらしている自治体当局への「怒り」を共有する取り組みを全国ですすめています。
 こうした運動によって、政府が法にそっていない雇用や、労働基準法に違反するような労働条件があることを認めざるを得ない状況をつくりだしてきました。

「いつまでも非正規、いつでも雇い止め」NO

参議院総務委員会質疑で意見表明
 参議院総務委員会質疑で、自治労連を代表して小川さんが参考人として出席し、意見表明を行いました。小川さんは、非常勤職員が安上がりな労働力として扱われている実態を述べ、「会計年度任用職員」は、「いつまでも非正規、いつでも雇い止め」の仕組みづくりになることなどを指摘、大幅な修正を求めました。
 また、多くの組合員が国会議員や地方議会への要請、請願署名などを取り組むことによって、前向きな附帯決議や国会での答弁を引き出しました。

自治労連評幹事
(学童指導員)
小川裕子さん

まだ間に合います!
多くの自治体は今年の3~9月議会で条例改正を予定しています。

◎制度変更の中身を知り、職場からの要求をもとに自治体と交渉しましょう
  会計年度任用職員学習資料   力あわせて働きやすい職場を

 

◎一時金支給など賃金・労働条件改善の財源保障を国に求めましょう
  <自治労連が呼びかける総務大臣あての署名にご協力ください>
   協力いただいた署名は、自治労連まで送ってください。
   〒112-0012 東京都文京区大塚4-10-7 自治労連会館内

自治労連_総務省宛署名

自治体へは、こうした要求を出しましょう
〇「会計年度任用職員制度」についての条例や規則の改正は、職員(労働組合)と誠実に協議・交渉を行い、合意をもとに進めてください。
〇「会計年度任用職員制度」の整備にあたり、雇止めや賃金・労働条件の引き下げなどの不利益変更を行わず、法改正の趣旨に沿い改善してください。
〇賃金(手当)・労働条件(休暇)は、正規職員との均等待遇を基本に改善してください。
〇正規職員と同様の業務を行っている非正規雇用職員を正規化してください。
〇「財政上の制約」を理由とした短時間勤務の設定は行わず、業務に必要な勤務時間を確保するためにフルタイム勤務が必要な「職」については引き続きフルタイムで任用(雇用)してください。

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