自治体と住民の共同で地域医療をまもり、拡充していこう 

地域医療と公立病院の充実を求める 

1.26「いのちと地域を守る学習・意志統一集会」 

1.27要請行動

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 第7回目となる「いのちと地域を守る学習・意志統一集会」が1月26日、16地方組織、2県事務所から57名が参加し、自治労連会館で開催されました。翌27日には総務省、厚労省をはじめ、医療関係諸団体への要請行動も展開しました。

 地域医療をとりまく状況は、総務省の「公立病院改革ガイドライン」により、病床数の削減や公立病院の診療所化、独立行政法人化と指定管理者制度導入など経営形態の見直しによる地域医療の後退が深刻化する一方、震災を起点に地域における公的医療制度を要求する声が大きく広がり、自治体と住民が共同し公立病院を存続、拡充する運動が各地で進んでいます。

 

 このような状況のもと開催された「意志統一集会」には、基調講演に京都社保協事務局長である京都市職労副委員長の南博之さんが「丹後地域医療と介護の実態調査~調査活動における労働組合の役割~」をテーマに講演し、医師、看護師不足など医療供給体制の危機が深刻化するなか、効率優先の「ガイドライン」により京都府立「与謝の海病院」の独立行政法人化によって発生している地域住民への影響を実態調査し、このなかで明らかとなった住民要求のとりまとめと、具体化された要求、課題を解決するために自治体労働組合が果たすべき役割について詳細報告されました。

 調査は丹後地域の医療、介護関係者・団体、研究者、自治労連や医労連など労働組合が実行委員会をつくり、住民、患者への事前アンケートをもとに訪問ヒアリングする形態で実施され、ヒアリングにあたっては生活実態や地域医療への要望をリアルに聞き取ることを念頭としたことが強調されました。当初、400を目標とした回答が最終的には訪問、郵送による回答が約2000件にものぼり、地域実態がより浮き彫りとなる結果になりました。受診を控える理由として「受診したいが診療科がない」「交通手段の6割が自家用車、運転者がいないと通院できない」「入院施設がない」「病院や医師の変更で困っている」など、ガイドラインによる地域医療の後退が地域住民を苦しめている実態が鮮明化したこと、介護については「施設整備、サービスの改善」と併せて「介護職員の増員と処遇改善」を求める声が多数となったこと、また「保険料の抑制、天引き廃止」などの要望が強いことが明らかとなりました。

 今回の実態調査の結果を政策提言していくと同時に地域民主団体、労働組合が共同で「相談活動」を持続して行っていく重要性が報告されました。

 基調報告を國貞中央執行委員、自治体病院闘争委員会事務局長が行い、「社会保障制度改革推進法」、「プログラム法」廃止に向けた運動、震災復興と全国での地域医療の再生と拡充に向け、「安全安心のまちづくり」「公的医療制度充実」に向けて関係諸団体、住民と共同した運動をすすめ、医療分野における「こんな地域、こんな日本をつくりたい」の提言運動の前進をと提案しました。

 特別報告では浜松医療センター労働組合委員長が独立行政法人化阻止の闘いを、島根県事務所の石田忍所長が大田市立病院労組における組織拡大、強化のとりくみが報告されました。浜松医療センター労働組合委員長は独法化の提案に当たり病院当局に対し①市民に安心安全の医療の提供②納得いく労働条件の締結③希望する組合員を希望する職種で雇用、これら3条件を迫り、また不安に悩む組合員には「組合があなたを守る」と声かけを続け、交渉では毎回150人以上の組合員を結集し臨んだ結果、ついに独法化の中止を勝ち取った経験が報告されました。

 島根県事務所の石田所長は大田市立病院の地方公営企業法の全部適用にあたり、賃金、労働条件が組合と病院事業管理者との直接交渉となることを病院職員一人一人に「お手紙作戦」で周知し、昇格基準の改善や夜勤看護体制の改善、院内保育所の設置など、これまでの組合の実績とあわせ、働き続けられる職場、様々な要求実現に向け、組合加入を訴えてきた取り組みが報告されました。

 運動交流では、堺市立病院における組織拡大のとりくみ、大阪府職労からは橋下都構想での医療戦略会議に対し、住民のための府立病院を組合員、職員、住民がともに手を取り合って守っていく取り組み、三重からは志摩市民病院の指定管理者移行に対し、地域を守る観点から戦略的に「医療実態調査」を行ない、医療ニーズを把握したうえで自治体病院の役割を発信していく重要性、東京からは石原、猪瀬都政により病院削減が強行されるなか、小児医療病院を守るため、6時間にもおよぶロングラン駅頭宣伝を粘り強く続け、このなかで、若い看護師も結集してきているなど、運動が組織拡大に結実している報告がされました。

 集会のまとめを福島自治労連本部副委員長、自治体病院闘争委員会委員長が行い、「07年に出された公立病院改革ガイドライン以降、各都道府県でプランの策定がすすみ、公立病院の経営形態の変更をはじめとした攻撃が加えられている。この攻撃の中身は採算だけであり、憲法25条との対抗軸として闘っていく。いま、地域医療がどうなっているのか丹後の実態調査などを活かすことが重要。本日の意志統一を力に明日の要請行動を奮闘してほしい」とまとめました。

 

【総務省、厚労省、医療関係諸団体要請行動】

 「いのちと地域を守る学習・意志統一集会」に続き1月27日には総務省、厚労省、全国自治体病院協議会、日本看護協会への要請行動を実施しました。

 

総務省

 総務省要請には、自治労連から橋口紀塩副委員長、増田勝医療部会副議長をはじめ14名が参加しました。

 「病院事業への交付税を増額し、病院運営に反映すること」という要請に、省側は「公立病院は民間でできない不採算医療を担っている。地域における医療を行うために今年度約7300億円を確保した」と回答がありました。「公立病院改革ガイドラインによる自治体病院の統廃合、移譲、効率優先の再編ネットワーク化、経営形態の変更など医療サービスの切り捨てを止めること」についての要請に対しては、「公立病院改革については厚生労働省と連携していくことが不可欠である。厚生労働省では、地域医療ビジョンを作成するよう各都道府県に求めているので、総務省として一体的総合的に新たなガイドラインを平成26年度中を目途に作成する予定である。新たなガイドラインにおいても公立、民間を合わせて必要な医療提供を確立するもので、医療サービス低下を意図したものではない」との回答でした。

 地域医療に関する医療従事者の確保対策についての要請には、「医師確保の為に医学部の地域枠、小児科・産科医を確保するための奨学金制度と看護師確保のための病院内保育所補助金を地方交付税で補っている」と回答。

 この他、愛知からの参加者は「愛知では指定管理制度に基づく病院で単年度黒字になって、指定管理費をもらわず市に黒字を寄付している。しかし労働条件は非常に低く抑えられている」と指摘。鳥取からは、ガイドラインの病床利用率3年70%の問題点を指摘。静岡からは、独法化提案に伴う市の対応が悪く、市民・職員に不安が生じていると訴えました。また、国立病院が独法となり人事院勧告が関係なくなり、情報が各県に入りにくくなっている現状も指摘しました。

 

厚生労働省

 厚生労働省要請には、自治労連から福島功副委員長、池尾正医療部会議長をはじめ13名が参加しました。要請は、「安全・安心の医療の実現を求める要請書」を省担当者に手渡し要請に入りました。

 冒頭、福島副委員長が医療、看護の実情と要請概要を説明。厚労省側は「雇用の質に関してからも現状がおいつかない」と述べました。要請団は「外来や手術室、助産師の配置基準が示されておらず、現状を把握したうえで診療報酬にリンクした基準のとりきめを早急に検討すること」を求めました。

 

 全国自治体病院協議会

 全国自治体病院協議会との懇談には、自治労連から松繁美和副委員長、國貞亮一中央執行委員、矢吹義則医療部会事務局長をはじめ6名が参加しました。

 全国自治体病院協議会からは、事務局長、経営調査部長の2名が対応しました。昨年に引き続いての懇談でしたが、「ぜひ現場の声を聞かせていただきたい」ということで、前日の意思統一集会の内容を報告し、全国で起きている看護師不足問題や公立病院改革ガイドラインによる、再編・統合による経営形態変更にともなっておきている実態を報告しました。現場の声として、奈良からは、「産科が不足してお産ができない状況にあり、病院再編の影響により、地域の人が近くの病院に通えない状況になっている」と発言しました。

 全国自治体病院協議会からは、「病院合併について、どのようなお考えか聞かせていただきたい」と質問があり、「県が主導し、医師会ときちんとした連携が求められるのでは」と指摘しました。

 愛知からは、名古屋市立病院の現状が報告され、救急医療体制で「断らない医療」を看板に掲げているが体制が整っていない状況で見切り発車で進めていることや、ER病棟開設に向けての勤務体制問題や休日・祭日などは住民が受診できない状況が報告されました。大阪からは、府立病院機構の定款を変えて、非公務員型となり、将来的には府・市の病院統合が計画されている状況、看護師の離職がトップになっている問題が報告されました。

 協会からは、住吉病院の合併について、「地図上は近くにあるので反論しにくいのではないか」と聞かれましたが、「地域や病院ごとの特性があり、近いから廃止とはならないのが現状」と回答しました。

 協会として、「国に対して、5月、11月と二回要望書をあげているなかで、看護師の確保の問題も取り上げてきている。研修制度や、認定看護師なども取り上げているので、一緒にこれからも取り上げていきたい」と発言されました。「7:1看護についても、病院単位ではなく、病棟単位でできるようにするとかの工夫が必要ではないか」との問題意識が語られ、診療報酬改定についても、「会長が直々に厚生労働省に足を運び要望書を出している。今後も自治体病院からの意見を反映させるために国へ働きかけていく」と発言されました。改革プランについては、「今後、国が総括するだろうが、赤字を抱えたまま終わりとはならないのではないか」、「経済財政諮問会議でも公立病院が取り上げられているなかで、引き続きおこなわれるのではないか」、「今後の国の動向、判断を注視していきたい」と発言されました。消費税増税問題では、「一昨年に調査した内容を公表したが、反響が大きくあった。マスコミもとりあげるなど、注目された。8%の段階は間に合わないが10%の引上げ時には制度的におかしいので、国や政党へ働きかけをしていきたい」と発言されました。

 最後に、地域医療の充実のためにともに努力していくことが表明され、懇談は終了しました。 

 

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 日本看護協会

 日本看護協会との懇談には自治労連から福島功副中央執行委員長、池尾正医療部会議長をはじめ17名が参加しました。

 日本看護協会からは会長、副会長、常任理事(労働条件担当)をはじめ多くの方が対応されました。

 日本看護協会からは「潜在看護職員の就業に関する報告」「2012年病院勤務の看護職の賃金に関する調査」の結果として、年齢に伴う賃金上昇が低いこと、離職を考えている理由に賃金への不満が高いことや求職者の半数以上は非常勤や臨時雇用を希望しているなどについて説明がありました。また、年金問題による60歳以上の就業内容についての質問には「夜勤は55才でやめていき、60才からは短時間にするなど、今後は高齢者の仕事のしかたのメッセージを送らないといけないと思っている。」と発言されました。

 最後に日本看護協会・会長から「看護協会と自治労連とは、労働条件などの考えは同じ方向を向いている。一緒にがんばっていきたい」と激励がありました。