静岡自治労連、浜岡再稼働、再生可能エネルギーなどで懇談

 「憲法をくらしと地方自治にいかす」という、自治労連の大きなとりくみの一環として、自治体首長などと懇談する憲法キャラバンが全国でとりくまれています。静岡自治労連の憲法キャラバンも3年前から始まり、3回目となる今年は5月10日の御前崎市、牧之原市をスタートに、県内の22市との懇談が予定されています。昨年の東日本大震災と福島第一原発の事故、浜岡原発の稼働停止、そして、今年5月5日に日本国内のすべての原子炉が停止するという情勢のなか、「浜岡原発の再稼働」「再生可能エネルギーの取り組み」「地域防災計画の改定」を主眼において、各市での懇談を続けています。

「浜岡原発の再稼働の是非を決める時期ではない」御前崎市

 5月10日、最初に訪れたのは、浜岡原発が立地する御前崎市。御前崎市を訪問するのは今回が初めてです。御前崎市から企画財政課長、総務課長が、静岡自治労連からは林委員長、菊池書記長が出席しました。
 御前崎市は、「これまで国や事業者が言ってきた『原子力発電の安全性』や『万が一事故があっても10キロ圏外に被害は及ばないこと』を信じてきた。今回の福島の原発事故に衝撃を受け、国や事業者に裏切られたと感じた」と話し、国策に翻弄されてきた自治体の苦しみをにじませました。現在の状況についても「学者が発表し、数値が変化する被害想定に対しても、国の対策・体制が整備されていない」ことや「国はきちんと説明するべきなのに、人によって説明の内容が異なる。国会審議も消費税問題にすり替わってしまっているので、原発関連の議論がされていない」などと述べ、自治労連と問題意識を共有することができました。
 再生エネルギーについて自治労連から、先進自治体や海外の取り組みを紹介しながら「地域の雇用確保につながり、地域経済の循環もよくなる。ただ、多額の初期費用が必要となるため、自治体がイニシアチブを発揮しなければならない」と切り出すと、市は「原子力対策室を原子力政策室に変更し、総合的にエネルギー政策を推進しているが、それ以前からも新エネルギー関係予算を確保して、太陽光や風力を利用した発電に取り組んでいる」と説明しました。
 地域防災計画の改訂については、「国や県の防災計画改訂をにらみながら、事業としてやれるものは積極的に取り組んでいく。2月に原子力災害を想定した防災訓練を行なったが、より実効性がある計画を作らないといけない」と話し、自治労連から、今後の懇談の継続をお願いして、初めての懇談を和やかに終えました。

「浜岡原発は永久停止に。市が何をすべきか考えていく」牧之原市

 同じ5月10日には、御前崎市に続いて牧之原市も訪れました。牧之原市から総務部長、企画課長、防災課主幹兼係長、人事研修課総務主幹が、静岡自治労連からは引き続いて林委員長、菊池書記長が出席しました。
 総務部長は「これまで原子力の安全性を住民に周知してきたが、3・11の原発事故でけして安全なものではないことがわかり、市長の考えは変わった」と述べ、浜岡原発永久停止を市議会で決議するに至った経緯を話しました。また「国はエネルギー政策を明確にすべき」とも語りました。市は「住民一人ひとりが自分の考えを言えるように、冊子を使った学習会や講演会を行っている」とも述べました。
 自治労連からは、住民アンケートで意見を聴取していることなど、市の姿勢を評価し、「国が原子力エネルギーの代替案を出せない状況の中、自治体がイニシアチブをとることができないか」と問いかけました。これに対し市は「再生可能エネルギーへの転換については時間が必要だが、市内の民間企業で取り組みの意向を持っているところがあり、企画課、商工課が連携し、駿河湾での潮力発電をも視野に入れた学習を行っていきたい。市は何をすべきか全庁あげて考えていきたい」と答えました。また「浜岡原発を廃炉にしても40年以上もの長期に亘って管理が必要で、雇用もなくならない。その間に再生可能エネルギーを軌道に乗せていけば、いまより雇用も拡大する」との考え方を示しました。
 浜岡原発で事故があれば、UPZ圏内に含まれる東名高速道路や東海道新幹線の運行にも影響し、被害は甚大です。日本経済全体にもマイナス影響が及ぶことは確実で、被害を未然に防ぎ住民の命と財産を守ることを最優先にすることを共通の認識にして、懇談を終えました。

「静岡市では太陽光が有力。市民発電所で再生可能エネルギーを」静岡市

 5月15日、静岡市との憲法キャラバンの懇談が行われました。静岡自治労連からは林委員長、小泉書記次長、静岡市労連の松川中央執行委員長、青池特別執行委員が参加しました。静岡市からは部長、危機管理部防災対策課長、環境創造部環境総務課長など5名が出席。
 林委員長は「憲法13条の幸福追求権や25条の健康で文化的な最低限度の生活を営む権利から考えても、3・11の大震災、とりわけ福島原発の事故は大きなインパクトがあった」と述べ、「原発に頼らない」「地域振興」「防災対策」など、憲法に基づく自治体の役割が大きく発揮されるべきだと述べ、懇談の趣旨を伝えました。
 行政管理部長は「市長は『浜岡原発の再稼働は極めて難しい』と言っている。それはどんなに津波・地震対策をしても十分ではなく、住民には数値でははかれない懸念が残っているからだ」と答えました。再生可能エネルギーについて、環境創造部環境総務課長は「中長期的には(「廃止」ではなく)脱原発に向かう」と述べ、その代替として、静岡市では太陽光発電が有効だと判断していると述べました。そのうえで「市ではこれまでも太陽光発電の補助事業を行ってきたが、今年度も補助を増やしていて、2015年には2万枚まで増やしていきたい」とも答えました。また、国のFIT(Feed-in Tariffs:電力の固定価格買取制度)が今年7月から本格的に開始されるのを前に「市民発電所のスキーム(枠組みを伴った計画)をつくっている。特定目的会社等をつくって中部電力に売電する」と市の再生可能エネルギーに対するとりくみを紹介しました。そして「3・11はもう一度ライフスタイルを見直すチャンス。行政の立場として『環境』というものに対して住民が参加していけるよう啓発も必要だ」と述べました。
 防災計画について、危機管理部防災対策課長は「中部5市2町の災害時防災協定を結び直すなど、見直しを進めている」と述べましたが、いっぽうで「県との情報交換もしているが、国の対応もハッキリしておらず、防災計画の骨格が根本的に変わっていない」とも語り、根本的な防災計画の見直しはまだ先になるという見解を示しました。
 林委員長は「静岡市は広大な山間部をかかえており、風力や太陽光発電が有効だと考えている。FITの買取価格では大企業にとってもうまみのある事業となるが、再生可能エネルギーは、環境と同時に市民の所得と雇用を保障する地域振興の観点でも重要。自治体のイニシアチブをぜひお願いしたい」とうったえて懇談を終わりました。