被災地の地域医療確保、「社会保障・税一体改革」反対の運動をひろげ、地域医療と公立病院の拡充を
1.29 いのちと地域を守る学習・意志統一集会

 自治労連は1月29日、東京・日本教育会館において、地域医療と公立病院の充実を求める「いのちと地域を守る学習・意志統一集会」を開催。病院職場の仲間や地方組織・単組担当者など、57人が参加し、医療を取り巻く情勢を共有し、全国の運動の教訓に学び意志統一をはかりました。そして翌1月30日に実施する、関係省庁への要請、関係団体との懇談に対しての意志統一をおこないました。
 地域医療をとりまく情勢は、政府の社会保障費削減を中心にした医療費抑制政策のもとで出された総務省の「公立病院改革ガイドライン」による「経営形態見直し」で独立行政法人化・指定管理者制度導入、規模縮小や病院統廃合がすすめられ、それによる病床数削減、診療所化、診療科削減など、地域医療の後退が深刻化しています。東日本大震災被災地をはじめ、全国で医療体制の確保・拡充が求められているにもかかわらず、「社会保障・税の一体改革」における医療・介護分野の制度改悪と消費税増税路線は、被災地を巻き込んで、現在の危機的状況を悪化させるもので、政府がすすめるTPP参加と共に、さらなる医療制度破壊につながるものとして阻止しなければならない重要課題です。一方で、震災以降、地域における公的医療制度の必要性について認識が広がり、また看護師の労働環境について厚労省が「看護の質の向上のためのとりくみ」通知で一定の指摘がおこなわれ、TPP参加反対の運動は日本医師会の反対声明や「いのちまもる10・20国民集会」での共同など医療分野での広がりがすすんでいます。公的医療拡充の運動は、対米従属・財界優遇のもとですすめられる社会保障制度解体・憲法改悪の動きに立ち向かい、憲法25条をまもりくらしに生かすたたかいの柱として重要となっています。

記念講演「いのちの平等を求めて」
 全日本民医連・長瀬文雄事務局長を招いて「いのちの平等を求めて」と題しての記念講演がおこなわれました。長瀬氏は東日本大震災と津波で甚大な被害を受けた岩手県が、被災以前から「平成の大合併」と「公立病院ガイドライン」によって危機的な医療体制のもとに置かれており、被災後の医療体制確保において甚大な遅れを生じさせた実態や、OECD加盟国など海外諸国との福祉制度比較から、日本が突出して国民負担を強いられ、我慢させられている状況を、資料をもとに明らかにしました。その上で、今後の高齢化社会のもとで社会保障のさらなる負担増・制度破壊がすすめられていることを告発し、福祉を食い物にするアメリカと財界の狙いに抗し、憲法25条を柱とした「自己責任でなく、権利としての社会保障を」もとめ、岩手県旧沢内村で高齢者と乳児の医療費無料化を実現したように、「いのちの平等」を実現しようと語りました。

基調報告で「社会保障・税一体改革」阻止の闘い、組織拡大を提起
 松繁憲法政策局長が基調報告をおこない、深刻な医師・看護師不足のもと、看護師の2交代16時間夜勤が広がり健康破壊がすすみ、さらに経営形態見直しで雇用不安が広がり、看護の現場が危機的状況にあることを指摘。震災地域の医療体制や原発問題、TPP参加問題、「公立病院改革プラン」進捗状況、2012予算案と診療報酬改定など地域医療分野における情勢と課題について述べ、現局面においてとりわけ「社会保障・税一体改革」阻止のたたかいが重要としました。この間のとりくみの到達点を踏まえつつ、行動提起として、おもに①被災地医療体制確保のとりくみ強化、②「社会保障・税一体改革」阻止めざす社会保障制度拡充署名を看護師増員署名と2本柱で全力でとりくむ、③ガイドライン「改革プラン」に基づく経営形態見直しの影響を現場の視点で調査し、自治体・病院キャラバンなどを市民との共同で展開する、④自治労連未加盟の自治体病院への働きかけの強化、自治労連加盟組合での100%組合員化の追求や自治労連共済加入者拡大など組織拡大をすすめる―などが提起されました。

特別報告・フロア発言で全国の運動の教訓と課題を交流
 特別報告で堺市職労・池尾書記次長(病院支部書記長)/自治労連医療部会議長より「市立堺病院の地方独立行政法人(非公務員型)化」の動きにたいする、約1年2カ月のたたかいが報告されました。2010年11月に市と病院当局が「柔軟な人員確保、効率的物品交流、新病院建設費用軽減」などを理由に独法化を提示。その後、4回の本部交渉・11回の支部交渉を重ねた結果、独法化に際し、「今後もこれまで通り自治体としての公的な役割を果たし、市民に必要な医療を提供する」ことを確認し、①人員増をおこない4週8休制を構築する、②法人職員に移行する際、退職手当は通算する、③非正規職員の処遇について労使検討委員会を設置する(具体の条件整備が進んでいる)、④年金・雇用保険等移行前と同条件(雇用保険への新規加入は必要)、⑤給与表を単純化し、移行時に減額とならないよう直近上位に切り替える。夜間看護手当は増額し、休日出勤にも手当新設。年末年始手当も新設。そのほか各手当新設・拡充など、賃金労働条件についてこれまで組合が要求してきた項目について前進がはかられました。そのもとで昨年11月に独法堺市立病院機構への移行を大綱合意。「地域における中核病院として救急医療等政策医療などを安定的に提供し、市民の健康増進に寄与するため労使一体となって取り組む」ことを確認。こうした粘り強いたたかいが、独法化のもとでも地域医療を守り、働く仲間の待遇改善に結び付けられたことが報告され、「しかし、周辺自治体含め全国的に経営形態見直しでの弊害が多く、住民の命を守る公立病院こそ大事」と語りました。
 続いて、みえ自治労連・新家委員長が、三重県内の自治体病院懇談から、「いのち・子育て・TPP」の幅広い共同に向けたとりくみを報告。地方組織としてとりくむ憲法キャラバンの一環として、事前アンケートをもとに、県内全自治体病院を訪問して懇談を実施。地方交付税一般財源の各病院への繰出状況を示しながら、経営難に苦慮する病院にたいし増額を自治体当局に要望するよう促すなど、地域医療拡充のとりくみをすすめていること。こうしたとりくみをもとに三重県医師会長、看護協会長と懇談し、「明日の三重を考えるつどい」で医師会長に講演を依頼するなど共同がはかられ、みえ自治労連機関紙での医師会長インタビュー「いのち・子育て・TPP」につながった。春闘期の運動として、さらにウィングを広げ、TPP「24項目」に該当する団体との懇談をすすめることなどが報告されました。
 フロア発言では東京から石原都政のもとで進む公立病院統廃合と独法化とのたたかいや夜勤時間調査について、大阪から独法府立病院の公務員型から非公務員型への移行が狙われるもと、さらに橋下市長による府市病院合併の動きと憲法違反の「2条例」とのたたかい、北海道からは2次医療圏の見直し問題、静岡から病院の広域合併の課題、高知から四万十市民病院を住民共同でまもる運動や非正規職員の組織化、千葉から船橋医療センターの地公企法全適でも単組強化をすすめた教訓と「社会保障・税一体改革」反対のとりくみを地方組織レベルでとりくむ決意が語られ、愛知から河村名古屋市政のもとで進められる病棟閉鎖や指定管理者制度導入とのたたかい、京都から市長選挙のたたかいなど、各地のとりくみや課題について交流がはかられました。
 柴田副委員長が集会のまとめをおこない、「消費税が社会保障の基幹税にされ、社会保障の質的転換が狙われる『社会保障・税一体改革』に反対する運動を当面、運動の中心に据えて奮闘しよう。地域医療を守るたたかいを全国で広げ、9月の自治研集会に成果をもちよろう」と呼びかけました。