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衆議院総務委員会で福島副委員長が参考人として意見陳述

 地方独立行政法人法『改正』案は窓口業務の行政サービス水準を著しく低下させるものだ

 5月17日(水)、衆議院総務委員会において「地方自治法等の一部を改正する法律案」についての参考人陳述が行われ、自治労連本部から福島副中央執行委員長が参考人として出席しました。 

 意見陳述に立った福島副委員長は、「地方独立行政法人法の一部『改正』について、地方独立行政法人の業務に『申請等関係事務』を追加することは、窓口業務の行政サービス水準を著しく低下させ、地方自治体の業務の集約、統廃合を推進して地方自治体を空洞化させることに繋がる。窓口業務を地方独立行政法人に委託することによって、①窓口業務を地方自治体の業務から切り離すことにより、住民の基本的人権を守る自治体の機能が損なわれる、②住民の個人情報の管理や、不正な請求などに対して、適正な対応ができなくなるおそれがある、③複数の市町村の窓口業務を一括して地方独立行政法人に委託できるようにすることで、地方自治体の業務の集約、統廃合を加速させることに繋がるなど、3つの重大な問題点がある。自治体の窓口業務は、住民の基本的人権に関わる重要な業務を担っており、地方自治体が自ら主体となり、正規の自治体職員が直接担うことが必要であると考え、今回の法『改正』に反対であることをあらためて表明する」と述べました。  

次々とアウトソーシングしていけば自治体業務そのものが空洞化し、市町村合併に繋がっていく
 参考人には福島副委員長のほか、岡山県真庭市の太田昇市長、中央大学の今村都南雄名誉教授が出席し意見陳述を行いました。太田市長からは「自治体では業務が増えているが、職員を増やせない。機械的、定型的な業務について委託をすることで、コストダウンにつながるなど、地方公共団体に選択の余地を広げることにはなる」と述べつつ、「安易なアウトソーシングには危惧を感じている」と述べました。
 今村名誉教授からは、「窓口業務のアウトソーシングと言われるが、第31次地方制度調査会での答申の用語でも『外部資源の活用』というのが本来の使い方である。しかし、今の実態は業務を外部に委ねて安く済ませる『安上がり行政』である。窓口業務で住民からの様々な事情を察知して各部署の協力を得ながら対処しなければならないことは少なくない。定型的な申請事務処理であってもアウトリーチの必要性を察知するアンテナ機能が重要となっている」と述べました。

≪日本共産党の田村貴昭衆議院議員の福島副委員長に対する質疑≫
(田村議員)窓口業務が委託化されれば、申請に訪れた住民の状況を直接に把握することができず、関連する行政部門との連携にも支障が生じる。自治体職員の専門性やノウハウが失われていくのではないか。
(福島副委員長)地方独立行政法人を設立しても「定型的」とはいえ「公権力の行使」を含む業務であり、設立当初は市町村で窓口業務に就いている職員を移行、派遣してこれまで自治体で積み重ねてきたノウハウを教えることになる。移行させた段階で、自治体にはノウハウを持った職員がいなくなる。派遣でも引き上げた職員が異動すればその窓口職場にはノウハウを持った職員がいなくなる。そのようにして自治体職員の専門性やノウハウは薄れていくことになる。
(田村議員)政府は、地方独立法人に「公権力の行使を含めた包括的な業務」を担わせようとしている。自治体が強く関与するから大丈夫であるとしているが釈然としない。
(福島副委員長)地方独立行政法人の職員がしている業務がわからない中で、『どんな時に、どんな関与が必要なのか』という判断を的確にできるとは思えない。自治体が強く関与しようにも、関与できない状況がつくられてくるのではないかと危惧している。
(田村議員)意見陳述で「複数の市町村の窓口業務を一括して地方独立法人に委託すれば、地方自治体の業務の集約、統廃合を加速させかねない」とのご意見だったが、どういうことか。
(福島副委員長)政府により『連携中枢都市圏構想』が進められている。中枢都市に対して業務をしてもらうことや、地方独立法人に窓口業務を委託するなど、次々と業務をアウトソーシングしていけば自治体業務そのものが空洞化し、強いては市町村合併に繋がっていくのではないかと考える。
(田村議員)窓口業務の一部を委託している自治体で、住民が民間業者の業務報告を情報公開請求したら、一部が黒く塗りつぶされている文書だった。今回の地方独立行政法人については、情報を積極的に公開するのかが懸念される。
(福島副委員長)国の独立行政法人については「独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律」があるが、地方独立行政法人にはそのような法律は存在しない。地方独立行政法人法では、25条の中期目標、26条の中期計画、27条の年度計画、28条の業務の実績に関する評価、48条・56条の給与支給基準などについては公表を義務付けられているが、業務状況等を積極的に公開する規定はない。ご指摘の事情は足立区の事例と思われるが、民間委託されなければ公の業務として開示される情報が、民間委託されたことで開示されなかったということではないか。地方独立行政法人も積極的に情報を公開することにはならないと考える。結果、住民の代表である議員のチェックが入らないことになり、問題である。

(他の参考人の意見や、詳しい質問内容については、衆議院総務委員会・下記HPを参照下さい。)

  http://www.shugiintv.go.jp/jp/index.php?ex=VL&deli_id=47201&media_type=fp

 福島副委員長の陳述などで、法案の問題点が明らかにされ総務委員会は閉会しました。今後、18日の総務委員会を経て、与党は法案を可決し参議院に送ろうとしています。5月25日(木)の中央行動では、地方独立行政法人法一部「改正」法案に関わる議員要請も行ないます。引き続き、自治労連は法案の廃案に向けた取り組みを強化していきます。

 

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