自治労連公営企業評議会(以下、公企評)は2月10日、公益社団法人 日本水道協会、公益社団法人 日本下水道協会、全国簡易水道協議会、公営電気事業経営者会議(訪問順)との懇談を行いました。 
 水道法改正が予定され、上下水道事業のコンセッションや電気事業の原発回帰が進むなか、公企評では住民本位の公営企業の発展を目指す立場から、今年も各省庁に対して要望書を提出しており、今回は1月13日に行われた省庁要請行動の際に国に提出した要望書、国からの回答などを説明し懇談を行いました。
 各団体とも理事長、事務局長を始めとした要職の方々に丁寧に対応していただき、各関係団体が国に対して要望している情報などを意見交換し共通課題についての理解を深めました。 

公益社団法人 日本水道協会
コンセッション・人材育成・災害支援などで意見交換
  日本水道協会では、吉田理事長及び事務局の方々と懇談を行いました。
水道事業が直面している課題は「技術の継承(ヒト)、施設更新の早期推進・維持管理の適正化(モノ)、給水収益の低下に伴う経営悪化(カネ)」との現状認識は一致しており、こうした現状を踏まえて意見交換を行いました。特に、水道法改正の論点のうち、広域連携、コンセッション方式導入の動向を中心に懇談を行いました。
 日水協としては「水道事業の安定的な経営の確保には、まず水道事業体の経営努力が必要であることは言うまでもないが、財政支援も含めて国が責任を持ってサポートすることが不可欠である。また、基盤強化の方策としての広域連携やコンセッション方式は、いくつかある選択枝の1つであり、採用する方策は事業体自らが判断するべきである」とのことですが、公企評からは、「国が進めるコンセッション方式による水道民営化という手法は水道の公共性を失わせるものと危惧している」と問題意識を伝えました。
 公企評からの「小規模事業体では人材不足が深刻だが、中核的事業体が中心となり人材育成の場をつくる必要があるのでは」との問いかけには、「人材育成については、本協会は様々なコースの研修を実施している。また、会員からのニーズに応えるべく、カリキュラムの充実に努めている」との回答をいただきました。また、委託や請負工事のモニタリング能力を持った技術者の育成が課題であることについて、意見交換を行いました。
 さらに、災害支援の面から「コンセッション方式を採用する中核的事業体ができたときの災害支援体制が保たれるのか」「公営事業であれば人道的立場から応援はするが、(営利企業である)民間企業・コンセッションに対して行った場合、公平性が保たれるのか危惧している」ことを伝え、意見交換を行いました。

公益社団法人 日本下水道協会
下水道は一度動いたら止められない社会インフラ
 日本下水道協会では曽小川理事長をはじめ事務局の方々と懇談を行いました。
公企評からは、下水のコンセッションや広域化は問題が多く、特に財政状況が脆弱な事業体においては、下水が「第二のJR北海道化」するのではないかと危惧していることを先日の省庁要請で国に訴えたことを伝えました。
 曽小川理事長は、「1970年の公害国会・水質汚濁防止法・流域下水道総合計画の歴史から現在の下水の普及に至った経過にも触れながら、下水道は一度動いたら止められないモノ、協会としては『いかに下水道事業を持続させるか』という方向性を出していかなければ、社会インフラという使命を果たせない。現在、下水の普及率は78%まで進んだなかで、管理運営をどう持続させるか、色々な見解があるがコンセッションも含めた手法が『研究』されているのではと思っている」と話されました。
 公企評からは、「高い直営技術を守ってきた名古屋市でも、職員が不補充の中、中核都市として今後の技術継承や他都市への支援に不安が生じている。民間委託業者といえども人材が育っているとは言えない。協会とは中小の事業体の人材不足が深刻であるとの認識は一致しており、公企評としては中核となる都市に直営を残し、人材の『広域化』も選択肢として国がバックアップする必要性を感じている」と伝えると、「協会としては下水道事業団もそのような存在になり得るのではとの話もあり、今後とも下水道事業の持続発展のため相互に理解を深めていきます。

全国簡易水道協議会
いまだに残る水道未普及地域を忘れてはならない
 国簡易水道協議会は若松事務局長に対応していただきました。
 事務局長からは、「簡易水道は現在、国が進める統合事業計画により平成28年度を目途に統合が進められているが、当初計画実施の期限から3年が延長された。しかし、それでも期限内での統合が困難で簡易水道として残らざるを得ない所もあり、その後の問題をどうするかがいまの課題である。そのような地域について、国にも存続のための財政的支援などの対応をお願いしていきたい」「統合や広域化は必要と考えているが、特に財政規模が小さく、職員が少ないところは統合が進んでいるとはいえない。そのような事業体の今後が心配だ」と話されていました。
 公企評からは、「簡易水道はもちろんだが、水道を普及させる必要性は憲法25条の生存権の精神があるからだと思っている」と話をしたところ、事務局長からは「日本全国の水道普及率は98%となっているが、いまだ未普及地域が多くあることを忘れてはならない。簡易水道は特に福祉的な面が強い」との話がありました。
 「統合が進んでも中山間部や島部の簡易水道ではそのまま残るところがあり、その地域の声を国に伝えるために頑張りたい」と話す事務局長の言葉に、地方の水道普及を担ってきた簡易水道協会の誇りを感じました。
 また、水道法改正やコンセッション問題などについても話しがはずみ、今後もそれぞれの立場で、国民のための水道事業を守るため運動していくことを確認して懇談を終えました。

公営電気事業経営者会議
環境にやさしい公営電気事業の拡充を!
 公営電気事業経営者会議(以下 経営者会議)では、倉重専務理事を始め事務局の方と懇談を行いました。
経営者会議においても、経済産業省に対して毎年要請をされており、私たちが1月に経済産業省に要請行動を行った際の要請項目とその回答等を伝え、その動向についてお互いに意見交換を行いました。
 経営者会議が国に対して行っている要請内容も、私たちが要請している内容と趣旨は概ね一致できる点が多く、国に対して水力発電の必要性に対する理解を改めて求め、持続性可能な再生エネルギーを確立していきたいという思いは共通するものでした。
 固定価格買取制度(FIT)についても、経済産業省は「制度的には未来永劫続けるものではないので最終的には国民負担をなくす」と言っていますが、水力発電に対するFITはまだまだ普及が進んでいないので、さらに制度の拡充をお願いしたいと国には陳情しているということでした。
 細かな点での違いはありますが、今ある水力発電を維持し、さらに中小水力を増やしていきたいという方向性は一致しており、「今後ともこの問題については労使の立場を超えて力を合わせて国に働きかけていくことを確認し合いました