安保法制強行、TPP合意では国民の利益は守られない

アメリカ、財界の利益を優先する安倍暴走内閣との対抗軸について学習討論 

image004 安保法制の強行採決に国民の怒りが集中する中で、国民に内容も知らされないまま秘密裏に進められていたTPP交渉が合意に向けヤマ場となっていた10月3日、4日、自治労連公営企業評議会、「第33回全国公企研究交流集会」が、兵庫県姫路市のホテルクラウンヒルズ姫路で開催され、上下水道、公営電力、公営交通など自治体の公営企業などに働く全国の仲間が参加しました。

 記念講演では、WTO(世界貿易機関)などが目指す貿易・投資の自由化について、調査・研究し、経済のグローバリゼーションの影の部分に目を向け、政策提言活動を続けるNPO法人AMネット理事 神田 浩史さんが「世界の潮流は脱・水道民営化 ~安倍政権が進める遅れた政策~」をテーマに講演しました。近藤公営企業評議会事務局長による基調報告、各地の特別報告の後、翌日の分科会に分かれて熱い討論と交流を行いました。

 NPO法人と労働組合の共同の力で暴走政治に対抗を

image006 記念講演で神田氏は、2010年7月28日に国連が「水と公衆衛生は基本的人権」と宣言し、水は経済財ではなく公共財であるという世界共通の認識ができていることを強調したうえで、水道の「私営化」について、発展途上国の債務を救済する名目で、IMFが融資を行う条件のうちの1つとして押し付けてきたが、その失敗例が多数発生している問題をあげ、「私営化」の先駆国フランスでも水道事業が再び公営化している例などを挙げました。安倍政権が進めようとしている水道民営化は、世界的にはすでに破綻し、遅れた政策であると痛烈に批判しました。

 また、TPPの投資協定のもとでは、自由化を逆転させる政策を行えば外国資本から賠償請求される可能性があることも問題提起されました。さらに、政府はTiSA(新サービス協定)についても進めようとしており、これは一度、自由化したものを戻せない条項(ラチェット条項)という大きな問題を抱えており、様々な協定により、一度、私営化した水道事業は公営に戻すことが困難になると警鐘を鳴らしました。

 また、NPO法人と労働組合の共同についての問題提起があり、海外ではNPO法人と労働組合の親和性が高い、様々な分野の団体・人が共に学び、一致する要求で行動することがより大きな世論形成につながるとの提起に、今後の運動の可能性を示された思いがする講演となりました。

 基調提起「ライフライン民間化の対抗軸としての地方公営企業」

 情勢報告ではコンセッション方式による仙台空港の民間化に向け、管制官を民間企業に派遣できるようにするための国家公務員法が改正されたことが報告され、すでに、公務員の頭脳(ノウハウ)が私企業のために売り渡される状況となっていること、これらをマスコミが事実報道しないもとで、労働組合が地域住民に情報発信する重要性が必要と提起しました。

 特別報告 「大阪市の水道民営化案について」、「原発再稼働を受けた今後の脱原発運動」

 大阪自治労連公営企業評議会の北野事務局長からは、大阪市における水道民営化案の中で、老朽管更新費捻出のための大幅な人員削減計画があること、退職金算定に在職中の貢献度に応じたポイント制を導入することなど、労務管理を強め自由にものが言えない職場環境つくりが盛り込まれているなどの報告がありました。

 宮崎県公営企業労働組合の釘本特別執行委員からは、電気自由化に係る問題点と原発再稼働を受けた今後の脱原発運動の報告と問題提起がありました。

 公営交通労組の職場実態が報告される

 この間、相次いで結成され自治労連に加盟した公営交通バスの4単組(八戸市、横浜市、北九州市、長崎県)からは、それぞれの劣悪な職場実態の報告と闘う決意が表明されました。

 分科会で熱い討論 「住民のための技術力の継承とは」

 2日目は「事務系・検針員労組」、「公営交通労組」、など4つの分科会が開催されました。

image008 「プラント部門・技術系」の分科会では、小泉時代の「民でやれることは民で」の政策から水ビジネスを背景に上下水道事業運営を民間企業がパッケージ化して国外に輸出、そのために、運営能力を公務から剥ぎ取り民間企業に移転、委託だけでなく今や大都市大阪の水道がまるごと民営化される事態になった経過を改めて確認しました。しかし、住民のためには、技術の継承や迅速な事故対応、災害対策や支援にも公務としての直営能力が欠かせないこと。モニタリング能力を失った自治体においては、コンサル丸投げ、その計画や費用の是非さえも判断できず、結局は住民がそのツケを払わされる事態となっています。

 委託先が寡占化する中で、委託化のメリットとされた競争原理が機能せず委託が決して安いものではなくなっている状況も報告されました。そのような状況の中で住民本位の公営企業を確立していくためにどうすればいいのか?これらの弊害に対して、組合員みずから一部の作業でも直営を行い、委託先に対する「モニタリング能力が向上した」、「費用が安くなり設備の信頼性も増した」などの実践を住民と共通認識にすることが必要ではないか、各地の経験を聞き流すのではなく、経験に学び目標を立てた実践が求められるなどの意見が出されました。

 競争入札で犠牲にされる非正規労働者

  「営業部門・事務系・検針員労組」の分科会では、検針業務委託の契約が競争入札となり、そのたびに会社も私たち検針員も不安をかかえる状態が続いている。競争入札による叩き合いで契約額が下がり、そのアオリは私たちの検針単価の値下げ、労働条件の悪化となる。水道局の職員も異動などで入れ替わりが激しく、検針業務に精通していないため委託会社を十分に指導できない状況がある。委託会社自身も人員が極端に少なく、職員の入れ替わりが激しくなかなかスキルが上がらない。偽装請負の実態もあるが、仕事が回らないので黙認せざるを得ない現状があるなどの実態が報告されました。 

住民のための公営企業はどうあるべきか

 最後に、総括集会の中で、世界の流れが上下水道など公営企業を再公営化に戻すことが主流となっている中で、日本では大阪の水道民営化などで象徴される公営企業の私企業への切り売り、水を商品とする流れが止まっていない。公営企業評議会に結集する仲間が住民と共に、「住民のための公営企業はどうあるべきか」を問い、水ビジネスの動きに歯止めをかけていく。また、相次いで自治労連に加入した公営交通労組のバス労働者の闘いに触れ、厳しくも明るく闘う仲間を支え、労働条件改善、住民の足を守る交通政策確立に向けた闘いを呼びかけました。

 この集会の成功を力に、当面する、省庁要請行動を各職場から、地域住民からの要求を持ち寄り成功させようなどの提起を確認して閉会しました。