再生可能エネルギー普及のカギは、地域住民と自治体にある

-自治労連「原発ゼロ、再生可能エネルギー社会をめざす」学習会

 自治労連は4月4日、日本環境学会会長の和田武さんを講師に招き、学習会「原発ゼロ、再生可能エネルギー社会をめざして~市民や自治体の役割を考える」を開催し、9地方組織、本部から33人が参加しました。

 学習会に先立ち、山口祐二副委員長が開会のあいさつをおこない、「福島原発事故は言葉で語りつくせない被害を及ぼした。にもかかわらず政府は関西電力大飯原発の再稼働に前のめりになっている。全国民の力を結集して原発ゼロをめざそう。自治労連は原発ゼロで自然・再生可能エネルギーを中心とした社会をめざす運動を進める。そのために、地域にあるあらゆる資源を生かし、地域の知恵と力を集めて、地域産業として自治体を基礎に自然エネルギーの活用を築く政策づくりをめざしている。8月の定期大会をめどに政策化し、9月の自治研集会でさらに豊かにしたい。その出発点として、きょうの学習会を企画した。大いに学習しましょう」とよびかけました。

 学習会でパワーポイントを使って講演された和田先生は、次のように語りました。

・21世紀の最重要課題は、地球温暖化防止である。温暖化によりグリーンランドやシベリアなど凍土の融解は、大量のメタンを発生させる。メタンはCО2の20倍の温暖化効果をもつガスである。CО2が水に融解し、海水がアルカリ性から酸性に傾いている。酸性になるとプランクトンが生きていけなくなり、食物連鎖に影響し、海洋の生態系に危機的な影響を与える。こうした地球規模の破滅的環境破壊を回避するためには、産業革命以降の気温上昇を2℃以下に抑制しなければならない。そのため、世界では太陽光や風力等の再生可能エネルギーが急増している。

・また、世界では原発は減らすか増やしていないのに対し、日本だけは原発を増炉し続けてきた。原発事故は一度起これば、広範かつ長期に人類に破滅的影響を与える。100万キロワットの原発を1日運転すれば、広島型原発3発分の放射性物質が放出される。チェルノブイリ原発事故では甲状線がん患者が5年後から急増した。地震国の日本にはいたるところに活断層がある。活断層の上に原発を設置しているのは日本だけ。原発を柱にするエネルギー政策はとるべきではない。

・再生可能エネルギーを普及し地域社会が発展しているデンマークやドイツの事例を紹介。ドイツでは農村地域を中心に再生可能エネルギー普及に積極的に取り組む地域が国土の半分以上を占めている。疲弊し人口も減り続けていたある村では、市民参加で風力発電による売電収入が農業収益に匹敵。また430人の村では70人の雇用を生み出すなど、地域社会が発展している。

・日本では、これまでの貧困なエネルギー政策の下でも、地球温暖化防止・原子力に頼らないエネルギー利用のため、市民・自治体等の地域主体が再生可能エネルギーの普及を推進してきた。7月に再生可能エネルギーの全量買取制度が導入されるいま、大企業もメガソーラーをつくるなど儲けのために乗り出している。再生可能エネルギーを飛躍的に普及させるためには、大企業中心ではなく、自治体とNPO、地域住民が協力してつくるしくみづくりが必要。再生可能エネルギーの普及を通じて、地方の活性化が可能だ。

 以上の内容で講演をされ、最後に「今がチャンス。これを逃せば、原発が大企業中心の再生可能エネルギーに変わっただけになりかねない。カギは地域住民と自治体にある」と力説されました。講演後、参加者から「ドイツやデンマークでは市民参加が法的に担保されているのか?」「市民が風力発電所を建てる場合、いくらぐらいかかるのか?」など、再生可能エネルギーを推進していく上での、具体的な質問が多く寄せられ、和田先生は一つひとつに丁寧に答えました。

 参加者からは「和田先生の話は体系的に整理されたもので大変参考になりました。原発ゼロ、再生可能エネルギーへの転換が今までいろいろな情報が断片的に入ってきて、漠然としていましたが、理論的な整理がつき、霧が晴れたようなすっきりとした気分になりました。千葉県本部では5月3日から岩手県葛巻町に再生可能エネルギーの現地視察にいきます。住民参加、自治体の取り組みとして運動で普及したい」などの感想が寄せられました。

 学習会の最後に、松繁憲法政策局長から、「原発ゼロ、自然・再生エネルギー政策推進」プロジェクトチームを立ち上げた経過と目的、スケジュールなどの報告と、プロジェクトメンバーの紹介を行いました。また、「再生可能エネルギー普及のカギは地域と自治体にあること」を憲法キャラバンでも話題にしていこうと呼びかけました。