経験年数3年未満が6割、増員・専門職化が喫緊の課題
-社会福祉部会が児童相談所実施体制の実態調査を実施-
 児童虐待問題が深刻な社会問題になっています。総務省は2010年、はじめて全国規模で児童虐待問題の意識調査を実施。その結果、児童相談所の人手不足を背景に、9割以上が業務に負担を感じていることが明らかになっています。さらに今年1月には、児童虐待の防止等に関する政策評価を初めて実施し、「児童虐待の防止政策の効果は不十分」として、文科省、厚労省に対し、児童虐待の発生予防、早期発見に係る取り組みの推進など改善措置を勧告しています。
 こうしたもとで、自治労連社会福祉部会は、昨年の5月~7月にかけて、児童相談所の実施体制問題に焦点を絞った「全国児童相談所相談実施体制実態調査」を実施しました。労働組合の児童相談所にかかる全国調査としては、初めてのものです。
 205児童相談所に調査票を送付したところ86児童相談所から回答がありました。
 回答率は42%で、過半数には達していないものの、47都道府県中、37都道府県(79%)から、22政令指定都市、中核市及び児童相談所設置市中、12政令指定都市等(55%)から回答があり、児童相談所をめぐる全国的な状況を知るに十分な資料を得ることができました。
 国民の意識も高まり、児童虐待通報は増加の一途をたどっています。児童福祉司の数は、2011年4月1日現在、2,606人で、この10年間で2倍に増えていますが、2010年度の児童虐待相談対応件数は、過去最多の55,152件に達し、10年間で3.1倍に増えています。
 今回、回答のあった児童相談所の児童福祉司の経験年数は3年未満が58%、平均経験年数が2.9年であり、児童福祉司スーパーバイザーは児童相談所運営指針によれば10年程度の経験を有するものでなくてはならないとありますが、約半数が5年未満となっています。まったく経験のないスーパーバイザーを配置している自治体もあります。

 また、自由記載で回答のあった項目には、児童相談所、市区町村の相談実施体制の課題として、「児童福祉司・児童心理司の増員」、一時保護所の改善課題として、「年齢、相談種別に対応できる職員体制の充実」といった、いずれも職員体制の充実を求める声が多くありました。
これらは、短期間の人事異動や慢性的な職員不足の実態を浮き彫りにしています。
 総務省は来年度、児童虐待防止に向けた体制強化に取り組む自治体の財政需要に対応するため、普通交付税措置を拡充し人口170万人(都道県標準団体)当たりの児童福祉司の配置人数について、新たに2人(32人→34人)上乗せすることを決めました。これは、自治労連が毎年実施している府省交渉の一定の成果でもあります。
 厳しい経済・雇用状況の中で、相対的貧困線(等価可処分所得の中央値の半分)低下のもとでの相対的貧困率(可処分所得が貧困線に満たない人の割合)が上昇し、2000年代半ばのOECDの相対的貧困率の比較によれば30カ国中27位という高い水準であり、母子家庭等の大人が一人世帯では最も高くなっています。児童虐待を予防し、緊急時に子どもを虐待から守るためには、雇用や社会保障の充実と児童相談所、市区町村の児童相談実施体制の抜本的充実が大きな課題となっています。
 自治労連は、今回の実態調査を踏まえ、引き続き、国・自治体に児童相談実施体制の充実を求めて奮闘する決意です。