「第22回自治体保育労働者の全国集会inおおさか」

延べ1100人の全国の仲間が学び・交流

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 2015年4月から本格施行となる「子ども・子育て支援新制度(以下、「新制度」)」が1年後に迫り、各自治体での準備が急ピッチで行われている中、「第22回自治体保育労働者の全国集会inおおさか」が2月19日~20日に大阪市内で開催されました。財源確保をはじめとする多くの課題が未定なまま実施される「新制度」について知りたい、最新の情勢や各地方の取り組みなどを交流したいと全国から延べ1100人が参加しました。

 

 1日目:全体集会

 オープニングは大阪府下の保育士のダンスと歌で開幕。昨年11月に日本のうたごえ祭典が大阪で開催された際に、全国の保育士たちで歌って踊った「この手でつかみたい」曲から始まり、そして大阪らしい楽しい寸劇で次の踊り「よっちょれ」につなげ、若手保育士を中心に練習を重ねた軽快な踊りで全国のみなさんを歓迎しました。

 松崎薫全国集会実行委員長は、「これからの日本を担っていく子ども達に豊かな乳幼児期を保障したい、保護者が安心して預けられる保育所を守りたいという想いは、「子ども・子育て支援新制度」が成立しても簡単に消えるものではない。全国から集まった仲間と共に情勢を学び、運動を交流しあい、更なる運動の強化を図れるよう有意義な集会にしていこう」とあいさつをしました。

 歓迎のあいさつで、藤浪悦子現地実行委員長は、「今回の集会は保育制度が大きく変わろうとしている中での開催となった。『新制度』を先んじて実施していく方向性が出されている小規模保育は、必ずしもすべての保育士が資格を有していなくてもよいとしています。現状でも無資格者の混在する無認可施設で死亡を含む事故が多発しています。大阪自治労連では子どもの命を守るために、また、子どもの発達を保障するために議論をすすめ、大阪府や各自治体へ要望を上げています。今回の集会で学習・交流を深めていこう」と述べました。

image007 来賓あいさつで、福島功自治労連保育闘争委員長(副中央執行委員長)は、「この間、自治労連は『子ども・子育て支援新制度』をめぐって、厚労省や文科省、総務省との懇談など、様々な運動をすすめてきた。現場で子どもたちや保護者、住民といちばん近くにいる自治体労働者だからこそできることを大切に、これからも取り組みをすすめていこう」と呼びかけました。

 また、全国福祉保育労働組合、全国保育団体連合会からも連帯のメッセージが寄せられました。

憲法を変えるということは平和主義そのものを脅かすこと

大きな問題(改憲の動き、原発問題など)の克服を考え、国民的な運動に発展させよう

 記念講演は立命館大学国際平和ミュージアム名誉館長でもある安斎育郎氏が「平和な世の中を子どもたちに手渡すために 私たちがしなければならないこと」と題して話されました。

 冒頭、参加者に「戦争がなければ平和ですか?」問いかけました。平和学的には平和とは暴力のない状態を指します。暴力のない状態とは、人間の能力の全面開花を阻むものがないということ。                  

 安斎さんは「暴力と一口に言っても実は3種類ある。〈直接的暴力〉戦争・いじめ・殺人など、〈構造的暴力〉貧困・飢餓など社会的構造が原因となるもの、〈文化的暴力〉直接的暴力や構造的暴力を助長したり正当化したりする社会の文化によるもの。その3つの暴力を取り除くことが平和な社会をつくること」「日本は決して平和ではない。今の日本の現状を知り、理解しただけでは平和な社会はつくれない。『どうしたら克服できるか』『自分に何が出来るか』を考え、実践的行動を起こさなくてはならない。そして、知識を与えるだけの平和教育から知識を得た上で実践できる素養をつけるための教育が必要」「日本国憲法の3本柱、『平和主義』『基本的人権』『主権在民』が機能しているか?『憲法を変えようとする人々』がいるが、憲法を変えるということは平和主義そのものを脅かすことになる」と話されました。

また、原発問題も「暴力」の1つという認識が大事だとして、「正しい理解がされていないために風評被害・偏見・批判に苦しんでおられる方もいる。まずは現状・実態を知ることが大切。重大な問題(原発の実態・被爆労働者・汚染水・子どもの健康・避難生活者)の克服を考え、『放射線被害根絶・脱原発社会・被災者援護・連帯』を国民的な運動に発展させていく必要がある」と話されました。 

 この春が正念場!仲間を増やし、繋がりあって、「新制度」に立ち向かおう!

 全国実行委員会事務局長・高橋光幸さんが基調報告を行いました。

 「『新制度』の本格施行まで1年1ヶ月あまりとなった。先日、新制度本格施行には、当初予算を大幅に上回る約1兆1000億円の新たな財源の確保が必要と政府が発表した。そのため『質の拡大』のための予算が削られようとしている。私たちは、充分な財源が確保されないまま進められようとする新制度を受け入れてはならない。財源が確保できないならば先延ばしにするということを訴えていこう。今後、『新制度』実施にむけて新たな条例の制定や改正が各地方議会(6月議会)に出されてくる。保育の中身や基準などが決まる4・5月が勝負!各地域・単組の総力をあげて、運動をすすめよう!」と訴えました。

 

 特別報告1 「保護者と共に・・・平和問題に取り組む」

 高知自治労連・本山町職員労働組合の仲間は、「20数年前から米軍機の低空飛行訓練が確認され、墜落事故もあった。また2013年よりオスプレイが何の前ぶれもなく本山町唯一の保育所上空を通過し、何度体験しても慣れることはない。大人達でさえも『怖くてたまらない』と感じる毎日を過ごしている。そんな状況を仕方ないと泣き寝入りするのではなく、たとえ『小さな声』と扱われても保護者と共に立ち上がり抗議ハガキを出し、その成果は少しずつ現れてきている。これからも『地域のお宝』である子どもたちに安心・安全な青空、平和な未来を手渡せるよう仲間と共に『嶺北平和委員会』の活動を粘り強く続けていきたい」と報告しました。

 特別報告2

 東京公務公共一般労働組合の仲間は、「政策の策定にあたり、東京自治労連と公務公共一般で自治体アンケート、非正規保育労働者アンケートに取り組んだ。アンケートの回答から、多くの非正規労働者が収入の低さや雇用の不安定さに不安を抱えながら働いている現状が見えてきた。そんな中でも、保育士としての使命を自覚し、誇りを持って働いている人も多く、さらなるスキルアップも求めている。組合活動の周知と拡大を進め『全国の保育を守りたい!』との思いを胸に、まず東京から、よりよい保育のために処遇改善、保育の質の向上をめざし運動に取り組んでいく」と。

 

 特別報告3

 大阪自治労連・大阪市労組の仲間は、「橋下・維新の会の暴挙を許さず、住民と手をつなぎ自治体労働者の誇りをかけた闘いを報告。大阪市労組は組合事務所問題・思想調査アンケート、2つの裁判を行ないながら公立保育所・幼稚園の民営化に対しても元気に闘っている!住民の声に耳を傾けて仕事をしたくても、市長は処分や分限免職で職員を脅し思う通りに動く職員を作ろうとしたが、不安と葛藤の中、『公立は市民の財産!』『今、やめたら市長の思うツボや!!』と組合員一人ひとりの思いを出しあい、OBや保護者と共に全園に門前ビラと署名を撒いた。色んな切手が貼られた返信封筒の中に思いがこもった署名が入っていて胸が熱くなった。『処分』という言葉に負けず仲間たちと闘ったことを思い出すと今も涙が出る。私たちが頑張れてきたのは地域や全国からの仲間がいるからです!」と話しました。壇上に並んだ顔が強いきずなを感じさせてくれました。

 

 文化企画として、門真市を中心に地域に根ざした活動している太鼓サークル「どっこい」が、全国各地に伝わる和太鼓の曲を胸にグッとくる熱い演奏で会場を盛り上げました。

 全体集会の最後は、来年の全国集会の開催地である埼玉の仲間が、次回の全国集会への参加も呼びかけました。

 

 2日目:分科会・講座

 2日目は、6つの分科会、2つの講座に分かれて学び合いました。

 <分科会1>「子ども子育て支援新制度」に反対する運動

 千葉県、東京都の地道な学習やキャラバン・保護者との連携について、名古屋からは、若い人達が署名活動を引き継ぎ、明るく元気に新たな運動が展開されている事などが報告されました。

 <分科会2> 待機児童の解消・保育の質の向上を求める運動

 世田谷と西宮の提案があり、たくさんの自治体から現状や質問が出ました。市民・保護者と一緒に運動するにはどうすればということに焦点を置き、取り組んできた過程を具体的に知る事ができました。

 <分科会3>公立保育所の廃止・民営化に反対する運動

 愛知から青年保育士の廃止民営化反対運動のパワフルな活動、広島から保護者地域と手をつないでの反対運動の経過、大阪から市長の横暴で不当なやり方に公立幼稚園・保育所・地域が手をつないで反対運動している経過が力強く報告されていました。

 <分科会4>地域の保育施設の向上をめざす「対話と提言」の運動

 安芸市の地域一体となっての運動、埼玉の自治体キャラバンでの取り組みなど、参加者は深く頷き共感しました。

 <分科会5>給食の質の向上と現業職を守る運動

 倉敷・北九州・吹田・上田からレポート提案があり、民間委託の提案もある中反対運動をしながらも、正職として地域や保護者を巻き込みながら頑張っている熱い報告がされました。

 <分科会6>非正規・関連労働者の労働条件改善と組織化の運動

 不平等はみんなで怒らなければいけない!正職員と非正規のお互いがパートナーだと思って声を聴くことが大切。4つの大事なこと、①怒ってほしい、②仲間を増やしてほしい、③助けてほしい、④闘ってほしい、を学びました。

 <講座1>「保育は『福祉』?それとも『サービス』?」

 保育は福祉?それともサービス?企業は悪なのか?必ずしもそうではなく、やり方がどうなのか、ということ。過去の企業参入がひきおこした内容を“え~?”とびっくりしながら真剣に先生の話に耳を傾けていました。

 <講座2>「新制度と保育の専門性」

 保育は発達保障であると同時に、共感、共生労働であって、大人のあれこれを押しつけるのではなく理解していく事が保育士としての仕事。保育現場での子どもの姿を紹介したり、参加者も笑顔がこぼれる講座となりました。