「第21回自治体保育労働者の全国集会inちば」に、延べ1200人超える参加

 国は、昨年8月、子ども・子育て支援法など子ども・子育て三法を参議院において可決・成立させ、2015年4月から新制度本格施行をめざしています。
 新制度は、国と市町村が責任を負う現行保育制度を解体し、子育てを市場原理にゆだねるものです。
 2013年4月に「子ども・子育て会議」を設置し、基本指針・事業計画、要保育認定基準、施設認可基準、公定価格を検討し、これに基づき政省令で定めます。市町村も、地方版子ども・子育て会議を設置し、来年度から事業計画を検討しニーズ調査を踏まえ、2014年度前半までに必要な条例と体制整備する計画が示されています。

 このような新たな情勢のもと、「第21回自治体保育労働者の全国集会inちば」が2月16日~17日に浦安市内で開催され、最新の情勢や各地方の取り組みなどを学習・交流するために全国から延べ1200人以上が参加しました。

1日目:全体集会

 オープニングは浦安市・松戸市・八千代市・船橋市の保育士と「つながり楽集会・ちば」の仲間たちが色とりどりのスカーフを片手に踊り『さあ、でかけよう!』を披露し、さらに「保育のうたごえの仲間たち」が加わって『希望保育園』の歌で元気いっぱいに全国のみなさんを歓迎しました。

3.11東日本大震災での教訓を胸に・・・浦安市長も熱い連帯のあいさつ

 松崎薫全国集会実行委員長は、「復権した自民党は政権公約に(私たちも主張を同じくする)『児童福祉法24条の維持・拡充』を掲げている。ピンチをチャンスと捉え、憲法と子どもの権利条約・児童福祉法の立場にたって公的保育制度の重要性を訴え、すべての子どもが行き届いた保育を受けられるよう、運動をさらに強めていきましょう」とあいさつをしました。

 歓迎のあいさつで、長平弘自治労連千葉県本部委員長は、3.11東日本大震災被災後の計画停電の中、君津市の保育園では園長、栄養士、調理師が協力して、停電時はガスを使い、朝6時出勤など勤務時間のスライド、料理内容も工夫、協力し合い、一日も休まず手作り給食を出し続け、保護者から大変感謝されたとの教訓を語りました。

 続けて、来賓あいさつに立った松崎秀樹浦安市長も「浦安市は、3.11の東日本大震災の際に世界最大級の液状化被害を受け、保育園でも園庭から土砂が噴き出しました。その中で、保育士の皆さんは夜中や翌日まで子どもたちを預かり、親から何通もお礼の手紙をいただきました」と、非常事態の中、労苦を惜しまず奮闘した自治体労働者をねぎらい、集会参加者を歓迎しました。

 山口祐二自治労連副中央執行委員長は、子ども・子育て支援新制度をとりまく情勢にふれ、「私たちの運動で児童福祉法第24条1項を最大限生かし、公立保育所で公的保育制度が保障される自治体への運動を強めよう。憲法を守りいかし、憲法に基づいて子どもの発達保障と親の就労の権利を守るために、国と自治体が責任を負う保育制度の発展と予算の増額、保育所増設を求めて大運動を展開しましょう!」と呼びかけました。佐々木和子福祉保育労事務局長、実方伸子全保連事務局長からも連帯のあいさつがありました。

保育園が地域社会のHUBになって、子ども達ためにがんばる住民方々を掘り起こす努力を!

 記念講演は作家・翻訳家の池田香代子さんが「平和・未来・保育者に期待すること」と題して以下、話されました。

・新自由主義を唱えたフリードマンでさえ、「子育て・教育と医療は規制緩和してはならない」と言っている。保育は、社会全体で子ども達を育てる公共の仕事です。

・OECD比較でも日本の子育て・教育と医療の予算は最下位でお金をかけていませんが、公立保育所や国民皆保険制度があることによって、一定の水準を保っています。日本の子ども達の学力は高く、犯罪も犯さないとても良い子なのに、大人が「近頃の子は、ダメだ」と言っているから、子ども達は自分に自信が持てなくなっています。保育園では子どもをほめてあげますが、大人も子ども達の自己評価が高まるように、もっと子ども達をほめてあげなくてはなりません。

・子どもの笑顔のあるところの周りには、大人の笑顔があるでしょう。子ども達の幸せなしに世界の未来はありません。皆さんは、難しい行政課題を抱えていて大変かと思いますが、保育園が地域社会のHUBになって、子ども達の役に立ちたいと思っている住民方々を掘り起こす努力をしてほしいと思います。
 ※HUB(ハブ)とは・・・市民が繋がり、その声が市政に届く拠点

公立保育所が必要とされていることに自信を持って、保育の中身で勝負

 全国実行委員会事務局長・高橋光幸さんが基調報告を行いました。

・自民党政権公約の保育政策では公立保育所に全く触れていないなど問題点もあるが、「現行保育制度の改善・拡充、民間保育所民運営費については児童福祉法24条に基づき市町村の保育の実施義務を堅持する」などを謳ったこの公約を使って実現させる運動が必要。だが、保育に関わることでは、5歳児教育を義務化する、保育と教育がごちゃまぜ、などの大きな問題点がある。

・子ども・子育て支援新制度(新システム)は、国の説明では、市町村の裁量を大きくする。枠組みは国が作るので、市町村が判断する。消費税を活用して市町村の負担を軽減するという制度。だが、消費税を財源にするが、公立保育所は一般財源化されてお金が来ない。公立保育所を公私連携保育所にすれば市町村の財源は1/4になるため、民営化に誘導するものである。

・その影響が自治体にもでており、自治体をブロックごとに分け、1か所程度だけ公立保育園を残すという手法や待機児童対策として小規模保育所の設置など、新制度の先取りも出てきている。

 以上のように新システム支援新制度(新システム)の問題点を指摘して、最後に昨年12月の厚労省の「21世紀出生児縦断調査」でも、利用したい保育サービス(複数回答可)で「認可保育所(公立)」と答えた人が約74.6%と圧倒的になっている結果でも、公立保育所が必要とされていることに確信を持って、私たちは、保育の中身で勝負することが必要。正規職員と非正規職員との共同を前進させ、笑って楽しい運動をして、新システムの中身を変えていくためにがんばろうと訴えました。

各地のとりくみを学んで地域でいかそう

 3つの特別報告がありました。

◆岩手自治労連保育部会
・高齢化率40%の少子高齢化・過疎の町で、新システム導入反対・公的保育を守る取り組みとして行う署名活動は、普段から地域の交流が深く、保護者の皆さんや地域の方々に保育所の活動が認められているため快く応じてくれます。

◆東京公務公共一般保育ユニオン支部
・東京ドームがある文京区で働く非常勤保育士は約300名で正規保育士とほぼ同数。組合主催で組合未加入の非常勤保育士の「学習したい」という意欲に応える学習懇談会を日曜日に連続講座で行い、講義と手遊びやわらべ歌など6回で100名程の参加者。その中で組合が自分たちの役に立つと実感し、加入したり能動的に動き始めています。正規・非正規の枠を外し、対話を重ね共に分かり合う努力をしながら保育制度を守り保育の質を高めることが必要です。

◆大阪市労組
・大阪市長による思想調査は憲法違反であり、人間の尊厳をかけたたたかいでもあります。悩みながらも裁判闘争への決意を後押ししたのは、家族と職場の応援があったからです。憲法を守り、公立保育所を守る事をこれからも全力で頑張ります。私たちの裁判へのご支援をお願いするとともにこども達の命を守るためにみなさんと共に頑張る決意です。

 文化企画では、歌詞を手話で表しそれに簡単なステップをつけて踊る手話ダンスを、ろう者・中途難聴失聴者のみなさんと一緒に活動されている「手話ダンスあびこ」の皆さんが「世界は2人のために」「四季のうた」「もしも明日が」「小さな世界」などみんなが知っている曲に合わせて披露しました。

 全体会の最後は次回開催地の大阪の仲間が舞台に登場し、「大阪府といえば、日本一有名な市長のいる大阪市のある所。何とか大阪で食い止めたいと思っていましたが、ついに全国区へ進出して…。しかし、美味しい物もいっぱい!♪♪たこやき・ぎょうざ・おこのみやき・ぶたまん♪♪そして、道行く人みんな(?)がノリつっこみできるお笑いの街でもあります。来年はぜひ大阪へ美味しいもん食べに、おなかの底から大笑いしに、みんなで来てや~!!」と来年の全国集会への参加を元気にアピールしました。

2日目:分科会・講座

 2日目は、①「子ども子育て関連法(新システム) 」に反対する運動、②待機児童の解消、認可保育所の新設を求める運動、③最低基準の地方条例化に対する運動、④公立保育園の廃止・民営化に反対する運動、⑤地域の保育施策の向上を目指す共同の運動、⑥給食の質の向上と現業職を守る運動、⑦非正規・公務公共労働者の労働条件改善と組織化の運動、の7つのテーマでレポートを中心としたと分科会と、講座①子どもが健やかに育つ環境を考える、講座②いい関係をつくる大人の関係づくり、の2つの講座に分かれて学びあいました。