自治労連第18回社会保障集会

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 自治労連第18回社会保障集会が、10月12日、17地方組織、1県事務所から88名が参加して、福島県郡山市で開催されました。

 10月1日に安倍首相が2014年4月からの消費税増税を表明し、あらたに8兆円もの負担を国民に押しつけながら、大企業には大型公共事業や復興特別法人税の前倒し廃止により増税額の7割以上を充てるとしました。目前に迫った臨時国会で、生活保護の切り捨てなど、「社会保障制度改革推進法」のもと、社会保障全面改悪にむけた「プログラム法案」を強行しようとする情勢のなかの開催となりました。

 開会に当たり、福島県本部の笠原委員長は「原発汚染水問題を政府は責任を持つと言いながら、いまだに東電まかせ。東電も発覚してから報告という隠ぺい体質は変わっていない。一方、私たちの運動で大臣でさえ県内全原発の廃炉を口にするまで追い込んだ。15万人にも及ぶ避難者が通常の生活を取り戻せるよう、全国の支援をお願いしたい」と挨拶しました。

 記念講演は、いわき市議会の渡辺博之議員、浪江町議会の馬場いさお議員がリレーで行い、大震災と原発事故があぶりだした問題点、国や自治体の在り方について講演されました。渡辺議員は、遅々として進まない事故収束の一因に「東電まかせの工事行程、人員管理問題がある。国の責任により系統的かつ現場、周辺に対し『安全』を前提とした対策が必須であるにもかかわらず、国はまったく手を打っていない。現場労働者は自然被ばく量の万倍にものぼる環境下におかれ、限界点に達すると人の『すげ替え』で対応し、そのたび、孫請けどころか、6次、7次の多重下請労働者を現場に投入している。それまで工事どころか、工具さえ握ったことのない労働者を現場に配置し、介在する派遣業者間は9割にも上るピンハネが横行している」と報告しました。被爆した労働者のなかには、工事監督から配電盤工事を指示され、何も伝えられずにたまった炉心水にはまり200ミリシーベルト(通常の200年分)もの被爆を受けた事例など、あまりに杜撰、人を人として扱わない実態も報告されました。これに対し、現場労働者を外から励ますポスターの掲示や、相談活動などを行い、同時に「現場からの告発」を進める活動を継続的に行い、東電、国の責任を露わにし、労働者を守る活動と一刻も早い収束に向けた活動を行っていく決意が述べられました。馬場議員からは、浪江町における震災関連死が既に291名となり、震災直接死の182名を大きく上回っており、メンタルを含めた国の被災者フォローがなされていないことを第1の原因としました。国は2013年中に除染を行うと約束したものの、今現在、町内49エリアのうち、完了したのは1カ所。復興住宅にいたっては3700戸建設予定がいまだゼロ。東電賠償も遅々として進まず、生活復興どころか、被災者は困窮を極める実態であり、公共の福祉や生存権を規定した憲法のもと、国の責任が問われていると講演しました。

 基調報告を自治労連・國貞中央執行委員が行い、「原発事故であらためて明らかとなったように、地域から憲法をいかし住民生活を守ることを、自治労連運動として職場、仕事の中で深刻な職場実態と住民生活の実態をつかみ、その原因と打開の方策を明らかにし、自治体・公務公共関係労働者と住民が一緒につくりあげていく。『仕事と住民の安全安心運動』、『地域調査・政策づくり運動』など、社会保障における運動の実践を進めていくことが求められていると呼びかけました。

 シンポジウムでは、自治労連各部会、各分野から社会保障をめぐる情勢と運動の方向性について報告、討論されました。保育部会事務局次長は「産廃集積場の横や、鉄道高架下への保育所の設置を認め、株式会社による人件費率は社会福祉法人の7~8割に比べ4割未満。保育有資格者は1/2で可、など問題だらけ。現に、死亡事故が相次いでいる。子どもの最善の利益を守るため自治体キャラバン、統一署名など共同の輪を広げていく」と報告。医療部会議長は「医療には消費税をかけないことが原則であるが、相応分を診療報酬を対象に上積みする傾向が存在する。来年4月から8%になったら、受診抑制に拍車がかかることは自明の理。あわせて医療労働者の賃金削減は離職を加速させる。部会として、これからも、命・地域を守る大運動を看護協会などと共同し進める」と報告。社会福祉部会事務局長は「税・社会保障一体改革のどさくさで昨年成立した社会保障制度改革推進法、それに基づく社会保障制度改革国民会議における検討と報告、そしていわゆる改革プログラム法案によって、社会保障制度の変質・破壊、憲法第25条の形骸化が進められようとしている。喫緊の課題として介護保険制度改悪に取り組まなければならない。この間の運動で障がい者自立支援法を総合支援法に変えさせた教訓をいかし、たたかう」、介護対策委員会の委員は、「誰もが住み慣れた地域で最期を向かえたいが、地方では地域に医療機関が不足していることや賃金水準が低い為、介護費用の負担割合も高く在宅生活は困難。施設入所の費用は年金だけでは足りない。介護疲れによる事件が増える危惧がある。自治労連介護対策委員会を軸に厚労省交渉も配置しながら運動を展開していく」とそれぞれ問題提起しました。会場発言では全国で初めて公衆衛生研究所を直営から独法化しようとする大阪府に対し、府民の健康と安全を守るための議会議長への署名要請活動の取り組み(大阪府職)、震災以降、福島の保育、子ども守ってきたとりくみ(郡山市職労)、共済年金、健康保険事業が「社会保障・税の一体化」のもと、従来水準から後退。自治体職員の福利厚生事業を守り拡充していく。(自治労連共済組合議員団)などが次々に報告されました。

 まとめを、コーディネータの田川憲法政策局長がおこない、「人を人として扱わない国の在り方、貧困だから原発で働く、貧しいからブラック企業で働かざるを得ない。生活保護の引き下げは、就学援助をはじめ広範な影響を及ぼす。もう黙ってはいられないと不服審査請求は1万を超えた。大阪府警による全生連等への不当捜査のように権力は弾圧をかける。しかし共同し闘っていくこと、目に見える運動を進めることが重要。安倍自公政権は改憲し国民を縛ろうとしている。基本的人権を奪おうとしている。地域、職場で論議し、運動を大きく広げていくことが真に求められている。」とまとめました。

[社会保障対策委員会主催・原発事故被災地バス視察]

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 翌13日には、社会保障集会に続き、自治労連社会保障対策委員会主催で「原発事故被災地バス視察」が30人の参加で実施されました。

  前日、記念講演を行った浪江町議会の馬場議員の案内で、川俣町、飯館村、南相馬市、浪江町を視察。川俣町では0.1μシーベルトだったのが、東電福島第1原発に近づくにつれ、線量計の針が大きく振れ出し、浪江町では2.4μシーベルトまではねあがりました。線量と比例するように「居住制限区域」、「帰還困難区域」となり、自宅に戻ることがいまだ許されない浪江町では、震災で家屋倒壊したままで時間が止まり、人の声のない町は、原発、放射線被害の現実をまざまざと参加者に見せつけました。馬場議員は「放射線被害さえなければ住民も帰宅できるし、復興も進む。しかし、この街は今後も取り残されたままとなる」という言葉に、参加者一同、東電、政府への怒りを新たにしました。

[社会福祉部会主催学習交流集会・生活保護制度改悪をめぐる課題と運動]

 社会保障集会にあわせ翌13日に開催された、自治労連社会福祉部会主催の学習交流集会「生活保護制度改悪をめぐる課題と運動」には、8地方組織から11名が参加しました。現職の生活保護ケースワーカー2名、ケースワーカー経験者5名から、全国の生活保護職場の状況が交流されました。先の国会で廃案となった生活保護法「改正」法案と生活困窮者自立支援法案は、すでに閣議決定を経て今臨時国会に提出されており、目の離せない状況となっています。肝心の自治体生活保護職場は慢性的な人員不足と事務量増で、とてもケースワークができる状態ではなく、また、経験年数の少ない職員構成で、生活保護制度が社会保障の根幹であるという意識が薄れてきており、制度改悪に肯定的な若い職員も少なくないのが現状。社会保障制度全体への攻撃の本質を学習することはもちろん必要ですが、法に縛られるのではなく、担当世帯の生活実態から法や制度を見るようにすることが、私たち自治体労働者に求められていると再確認しました。