image007 10月25日(土)全労連の主催で「道州制を許さず、憲法にもとづく国と自治体のあり方を考えるシンポジウム~安倍内閣の『地方創生』はくらしと地域に何をもたらすか」が開催され、公務関係労組、市民団体、研究者など75人が参加しました。

 はじめに全労連の根本隆副議長から「構造改革が生み出した地域破壊をくい止め、地域経済の活性化に向けて力を合わせましょう」と主催者あいさつがありました。

 続いて岡田知弘京都大学教授が「『地方消滅』ショックドクトリンと新たな道州制導入論~『自治体消滅』論に基づく安倍流『地方創生』に対抗する道」と題して基調講演をしました。岡田氏は「増田レポートは、3.11以降の都市から地方への『田園回帰』や、小さな自治体でも定住政策に力を入れて人口を増やしている動きを全く見ていない」と、同レポートに根拠がないことを指摘。「消滅可能性自治体として危機感をあおり、『地方中枢拠点都市』へ人口を集中させて道州制への地ならしとする政府、財界の戦略を許さず、地域内再投資の強化と、都市と農村の連携の強化を図り、人間らしい暮らしを再生・維持する持続可能な地域づくりをすすめることが重要だ」とのべました。

シンポジウムは永山利和元日本大学教授の進行で各シンポジストから発言がありました。

 はじめに高橋彦芳前長野県栄村村長から「1988年の村長就任時に『実践的住民自治』を村政の基本方針にすることを提唱した。地方分権一括法が1989年に制定、2000年に施行され行政上は国と地方は対等になったが、同時に施行された改正合併特例法は知事に町村に対して合併勧告権を付与した。合併町村に対しては財政優遇措置をおこない、合併に応じない小規模町村に対しては行政権を縮小すると脅かした。これに対抗したのが『小さくとも輝く自治体フォーラム』に結集した町村である。政府・財界が進めようとしている道州制は小規模自治体を解体して行財政の合理化を図るものだ。地方創生も地方再生ではなく特区の創設や規制緩和で農業への企業参入を後押しし、農地政策を破壊するもので問題だ」と語りました。

 続いて、自由法曹団の尾林芳匡弁護士が、「自民党が今国会での道州制推進基本法案の提出を断念したと報道されている。この間の私たちの運動が追い込んだものであり確信にしたい。新自由主義が広がり各地域の財政力にしたがって格差が生じている。地方創生などと言っているが結局は来年のいっせい地方選挙を見越したバラマキのようなもの。『まち・ひと・しごと創生法案』の中身についても様々な問題点、矛盾点がある。安倍政権の危険性と矛盾の両面を議論し、地域での運動を広げて、半年後の地方選挙で厳しい審判を下そう」と訴えました。

  フロアからの発言で、全国食健連の坂口正明事務局長は「安倍首相は『世界で一番企業が活躍できる国づくり』、と『戦後レジュームからの脱却』を一気にやろうとしている。農業は日本の食を支えることだけでなく地域の環境を守る役割も担っている。安倍政権、財界がねらう『農業・農政改革』は農業を企業の金儲けに利用することが目的であって、日本の食や地域の雇用を破壊するものでしかない」と訴えかけました。

  国公労連・国土交通労組の依田書記次長は、「公共インフラや自然災害など住民の安心・安全をどう守っていくのかが問題となっている。建設から40年、50年と経ったトンネルや橋などのインフラは老朽化しており、点検・修繕が急務になっている。危ない箇所を調査し住民に周知するのも市町村が実施することになっているが点検する体制がない。全国には70万もの橋脚があるが、建設から50年を経過するものが10年後には43%に達する。安倍政権が進めようとしていることでは住民や地域の安心・安全は守れない。地域に住む人々と議論を進めながら安倍政権に対抗していかなくてはならない」と話しました。

  自治労連からは久保中央執行委員が発言。「政府は6月に地方分権改革の中間総括をまとめたシンポジウムを開催した。その際、安倍首相は『地方分権改革がうまくいった象徴的な事例』として『未熟児の家庭訪問指導の市町村への権限移譲』をあげていた。しかし内閣府が集約した自治体アンケートでは『保健師など専門職員を採用する財源がない』『人員が足りず、緊急時の対応が不安』など問題点を指摘する声が多く上がっている。最近の地方分権改革の議論では、農地転用の規制緩和や戸籍や住民票など窓口業務を民間に委託する提案が出されている。住民に身近な市町村の行政を充実させるのではなく、公務の役割を縮小して、市場化・民営化が進められようとしている問題を重要して取り組んでいきたい」と発言しました。全教の田倉書記次長は「いま学校を核にした統廃合プランが進められようとしている。学校のランニングコスト、新築・改築の補助、通学圏の基準見直し、遠隔授業など学校の統廃合に向けた様々な動きがある。学校の基本を守る取り組みを進めていきたい」と述べました。

 最後に、公務部会の猿橋均代表委員(自治労連中央執行委員長代行)から「アベノミクス、新自由主義に様々な矛盾が浮き彫りになってきている。古い自民党の政治の在り方自体が限界にきている。各単産でも公務の役割を発揮する取り組みを進め、住民共同を広げて、いっせい地方選挙で安倍政権に審判をくだそう」と閉会のあいさつを述べ、シンポジウムを締めくくりました。