今村伸治 滋賀自治労連委員長

時の過ごし方

あれこれ

自由人十色写真

 かれこれ18年ほど前に当時の『月刊自治労連』に地方組織書記長が登場する本企画と同じようなコーナーがあり、原稿を書いたことを思い出す。当時は非専従の県本部書記長であったので、自身で企画して学童保育指導員の仕事をしていたことを書いた。

 その後、専従者になり、さまざまな任務に就いたが、何度か「一度、入院でもしてゆっくりしたいな」という願望があった。ストレス解消は好きなアルコールでカバーし、元気な体を取り柄にがんばってきたつもりだった。

 ところが、昨年秋から「願望」であった入院生活を初めて体験した。入院期間は今年の3月初めまで三度の64日間であった。休職中は仲間に支えられ、自治労連共済のお世話にもなった。

 病院ではほとんど点滴針をつけたままの生活であったが、入院患者にはそういう方々が多く、見た目だけでも日常生活とは別世界であった。医療に従事する組合員も多いわけだが、親身な看護とともに過酷な現場を知った。患者が抱える不安や悩み、高額な医療費に驚き、決してこの国が安心して医療を受けられる国でないことも思い知らされた。

 入院中に困って学んだ一番は時間の過ごし方である。じっとしていられない性格は簡単に治るものではないが、のんびりした過ごし方を知ることができた。

 4月に復帰してからは、昼休み時間を利用して、滋賀自治労連の事務所の周りを散策するようになった。事務所はJR大津駅から徒歩3分、県庁も徒歩3分のところにある。桜の花に誘われて大津駅の西側を歩いた。駅から西方面に行くと町なかの狭い道があり、すぐに京都市内に通じる国道161号線と京阪京津線に出る。これらを横切ると大津駅から400mもないところに京都市と境の小高い逢坂山がある。逢坂の地名は山城国と近江国を結んだ逢坂関でも知られる。山の入口は多いが、住宅地から続く階段入口には長安寺西國三十三所の石碑があり、そこを上がると高木の下に高さ3.3mの鎌倉時代初期の最古の石造宝塔がある。山道を進むと桜並木があり、心地よい風によって桜の花びらが流れるように舞った。この山道からは、随所で琵琶湖の景色がきれいに見えるのであるが、桜の花が彩を添え、ひと時、心を奪われた。事務所に通い出して17年になる今の新発見であり、時間の使い方を変えて得られたものである。現在は、駅周辺の町屋の通りも歴史や文化、風情を楽しみながら歩くようになった。

 今年9月27日~28日、「第12回地方自治研究全国集会in滋賀」が大津市を中心に開催される。

 ぜひ、歴史と文化も感じてほしい。