2月18~19日、長野県上田市内で「第25回自治体保育労働者の全国集会inながの」を開催し、全国(岩手から沖縄まで)から、組織の違いを超えて、のべ900人以上が参加し、2日間にわたり公的保育制度の現状や全国のとりくみを学び合い、今後の運動の方向性と、保育所保育指針改正に向けたとりくみについて意思統一しました。

「『保育所保育指針改正案』に対するパブリックコメントに意見を集中し、公的保育の砦である公立保育所を守り拡充させる」アピールを全体で確認
全体集会
 現地、長野実行委員会のみなさんによる、ダンス「信濃の国 上田」、寸劇「保育ってなんだ!?」で全国からの参加者を歓迎。若手保育士「ヤングろくもんず」によるダンスや、保育の大切さと規制緩和がすすむことの危うさを誰にでも分かりやすく、おもしろく伝える寸劇に参加者は引き寄せられ、感動し涙を流すなど会場全体が一体感を持ったオープニングとなりました。
全国実行委員会を代表して高橋光幸実行委員長、現地実行委員会を代表して山下昌津長野県自治労連委員長、開催自治体より神代芳樹上田市健康こども未来部長、自治労連本部から高柳京子副委員長があいさつを行ないました。

 記念講演では、「私と『無言館』」と題して、窪島誠一郎さん(戦没画学生慰霊美術館「無言館」館主)が講演しました。窪島さんは、「無言館」を設立するまでの経緯や展示されている遺作や遺品に託された思いなどを話されました。「無言館に並ぶ画学生さんたちは、反戦平和のために絵を描いていたわけではない。いわばその愛の証って言うか、自分の身近で自分を思っていてくれた人を描いて、その描いたものをいわば自分の遺品、自分の形見として置いていったのです。展示されている作品も反戦平和を描いたものではないが、見る人に多くを語りかけてくるので、それぞれに感じてもらえればいい。その中に反戦や平和を願う気持ちが芽生えれば」と語りました。

 基調報告で  武藤貴子事務局長は、「安倍政権は企業主導型保育事業の推進など、設置基準や保育士資格の規制緩和をすすめ、子どもの権利を無視し、保育を企業の儲けの場にしている」と指摘。また、保育所保育指針改定案で、今回初めて3歳以上児を対象に国旗国歌に「親しむ」ことが明記されたことを紹介し、「保育所の行事の際にも強制される可能性が極めて高くなる。指針が施行される前に現場から声をあげることが必要。保育の質を守り子どもたちの健やかな発達を守るために、私たち保育労働者ひとりひとりのとりくみが大事だ」と訴え、以下の通り行動提起しました。

 特別報告では、東京・世田谷区職労保育園分会の代表が「地域とつながり、保育の質を守る ~公的保育・福祉を守る世田谷実行委員会の運動~」を報告し、「世田谷区では、過去に区立保育園民営化に反対した保護者や保育関係者、福祉団体、区民の運動の中から、民営化に際しても質を下げない『保育の質のガイドライン』が作成された」「私たちは区の保育理念に信頼をおきながら、2010年に区内の保育施設職員と保護者とで『公的保育・福祉を守る世田谷実行委員会』を結成し、メディアが伝えない政府の待機児童対策の本質を明らかにする宣伝行動や区議会会派回りを行い、子どもの命の問題である『保育の質』を求める区民の声を届ける運動をしている。今後は待機児童を持つ保護者や企業立の保育士とのつながりも作っていきたい」と発言しました。
 大阪市役所労働組合福祉保育支部の代表が「大阪市の公立保育士の給与削減に反対し、賃金引き上げと労働条件改善を求めるたたかいについて」を報告し、「大阪市では、保育園の民営化とともに、民間保育士との格差が大きいという理由で、給料を民間並みに引き下げる橋下前市長の方針が条例化され、最大で22%月額7万円もの大幅引き下げが2015年4月から実施されている。こうした状況から若手の転職やベテランの退職で保育士不足が加速し、定数削減という待機児童解消の住民要望とは正反対の保育行政になっている」「職場の圧倒的多数の自治労組合員からも協力を得て、民間保育士の処遇改善には公務の保育士の賃金を取り戻すことが欠かせないと一緒に市役所前宣伝にとりくんでいる。これからも引き続きがんばりたい」と発言しました。

 文化企画では、『新沢としひこさん トーク&ライブ』では、「世界じゅうのこどもたちが」から始まってあっという間の1時間でした。参加型コーナーもあり、会場全体で歌と踊りを楽しみました。

 次期開催地アピールで、次期開催地の岩手県の仲間は、「来年は盛岡でお引き受けすることなりました。2010年に保育合研をやって県内では『手と心』のつながりが強められ、これは大震災によってさらに強くなったと思っています。県内の仲間の協力で是非とも成功させたいと思っています。岩手にはいっぱい魅力があります。『みんなで命を守った村』の旧沢内村は盛岡から1時間ちょっと。被災地には2時間半もあれば行くこともできます」と岩手の魅力を紹介しながら、「おでんせいわて」と呼びかけました。

分科会・講座 2日目は、6分科会と2つの講座に分かれてそれぞれ課題を学び合いました。
分科会1「公的保育を守る 国や自治体に対する運動」
分科会2「公立保育所の廃止・民営化に対する運動」
分科会3「公立保育所の認定こども園化に対する運動」
分科会4「保育の質の向上と労働条件を守る運動」
分科会5「非正規・関連労働者の労働条件の改善と組織化の運動」
分科会6「ブレインストーミングで新時代の幕開け ~保育実践・保育運動でつながる青年の輪~」
講 座1「子どもと楽しむ簡単な表現あそび(多田純也さん)」
講 座2「いい保育をつくる大人の関係づくり(中西新太郎先生)」

第25回自治体保育労働者の全国集会アピール

 2月18日、19日の両日、私たちはここ長野県上田市に集い、第25回自治体保育労働者の全国集会を開催しました。その中で、情勢を学び、各地の運動を交流し合い、公立保育所の存在意義とこれからの運動の方向を確認しました。

 日本は、かつての悲惨の体験から、「基本的人権を尊重する」「二度と戦争はしない」などを決意して、世界に誇る日本国憲法を制定しました。しかし、安倍政権は、圧倒的多数を占める巨大与党の力を背景に、基本的人権を踏みにじり戦争を容認する自民党憲法改正草案をもとに改憲をもくろんでいます。また、この間、TPP法案、年金改悪法案、カジノ法案などを強行採決し、今国会ではテロ等準備罪(共謀罪)の創設をめざすなど、この国に再び暗い影を落とそうとしています。

 保育においては、「多様な保育サービスの充実」を謳いながら、企業主導型保育事業が象徴する規制緩和、保育の自由化=営利化を推し進めています。それでも、待機児童は増え続け、深刻な保育士不足も解消されず、保育の施設間格差と自治体間格差が広がっています。すべての子どもが平等な保育を受けられるには程遠い状況です。

 2月14日、厚生労働省は2018年度から改定・施行する予定の保育所保育指針案を公表しました。今回初めて3歳以上児を対象に国旗国歌に「親しむ」ことが明記されました。日の丸・君が代については、国旗国歌法制定の際の政府答弁でも「強制は望ましくない」とする見解が出されていますが、実際には、学校教育の現場で強制の動きが進んでいます。保育所でも行事の際などに強制される可能性が極めて高くなったと言わざるを得ません。安倍政権は保育の市場化だけでなく偏った「愛国教育」も押し付けようとしているのです。

 まずは、厚生労働省が3月15日まで募集しているパブリックコメント(意見募集)に反対の声を集中させましょう。そして、今集会で学び合い、語り合ったことを力に、待機児童の解消、保育士の処遇の改善など、全国の運動、地域の運動を進めましょう。そのために、たたかう自治体保育労働者、保育を学ぶ保育労働者を増やし、広範な民間保育労働者や保護者と手をつなぎましょう。さらに、平和を希求する人々、憲法を守るために奮闘する人々、社会保障制度の拡充を求める人々などとも連帯し、「安倍政権NO!」の声を広げましょう。そして、公的保育の砦である公立保育所を守り拡充させましょう。

      2017年2月19日 第25回自治体保育労働者の全国集