一般財団法人である消防試験研究センターに、非常勤として働く笠原榮子さんは1年契約の更新を3回重ねてきました。
 労働契約法は、非正規労働者が同じ企業で5年を超えて働いた場合、本人が申し込めば無期雇用に切り替えることを企業に義務づけていますが、センターは去年7月になって、非常勤職員の雇用を4年以内で終了するよう、通知していました。そして、無期雇用職員をつくりたくないので「雇止めする」とセンターは笠原さんに説明しました。さらに、笠原さんは、「1年雇用だが、長期に努めてくれる人を求めている。定年まで勤められる」と言われ就職を決意しました。前任者も同僚も10年以上勤務しています。
 こんな無法は許せないと、笠原さんは神奈川自治労連に加入して、団体交渉などを行ってきました。センターがまったく要求をとりあわないため、1月20日、神奈川県労働委員会に不当労働行為救済と実行確保の措置勧告を求めて申し立てを行い、東京労働局にも申し立てを行っていました。
 申し立てを受けた東京労働局は、「合理的な理由がなく、違法の可能性を否定できない」として、先月文書で指導し、センターは3月8日、雇止めを撤回しました。
 会見した井上啓弁護士は「同じように悩んでいる労働者もいるので、今回の撤回は、非常に大きな力になるのではないか」と話しています。

(声明)

労働契約法を悪用した「雇止め」の撤回、雇用継続を勝ち取る

 3月8日、神奈川労働委員会で笠原榮子さんに対する「雇止め」について撤回し、雇用継続することで勝利和解が成立しました。

1.(財)消防試験研究センターで非常勤で働く笠原榮子さんは、「1年雇用は形式で定年まで勤められる」と言われセンターに就職し3回の更新を重ねてきました。センターは、今年3月末をもって笠原さんを「雇用止め」する予告・通告を行いました。無期雇用職員をつくりたくないので更新は3回まで、という理由です。

 笠原さんは、神奈川労連相談センターに相談し、神奈川自治労連公務公共一般労働組合に入って闘う決意をしました。

2.団体交渉では、①無期雇用を回避するための雇用回数制限導入は違法である、②笠原さんは、労働契約法19条に該当し「雇止め」はできない、従って「雇止め」を撤回することを求めました。

 センター側は雇用回数制限を導入することに対し、「就業規則又は労働契約に更新に関する定めはない。雇止めについて就業規則又は労働条件の変更を要しない。労働条件の変更の手続きを踏む必要がない」と強弁。19条該当については「笠原氏の更新はいまだ3回、雇用通知書に1年間の雇用と明示されている」から期待権は生じないと繰り返しました。有期雇用労働者の雇用通知書には雇用期限が明示されていなければならず、センター側の理由が合理的だとすれば労働契約法19条に該当する有期雇用労働者は存在しないことになる、19条に該当しないかどうか「社会通念上相当であると認められる客観的合理的な理由」を個別に検証する責任が使用者にあるとの指摘に対しても、「見解の相違」だと繰り返すのみで、法を無視し、不誠実な対応に終始しました。そのため、本年1月に、不当労働行為救済、実行確保措置勧告を求めて、神奈川県労働委員会に申し立て、闘いを継続しました。

3.労働契約法を管轄する厚生労働省の労働関係法課の担当官は、笠原さんは19条2号に該当すると明確に述べ、東京労働局は、2月27日に労働局長名で文書指導を行いました。①本件雇止めは、客観的に合理的理由を欠き、社会通念上相当であると認められない、②無期転換ルールを免れるために更新回数制限やクーリングオフを導入することは法の濫用であり厳に慎むべき、と厳しく指導しています。

4.この1年間で「雇止め」問題が多発する可能性があります。今回の勝利は、泣き寝入りせず労働組合に入って闘うこと、それを包んで闘う労働組合の存在の重要性を改めて実感するものとなりました。

 有期雇用労働者と闘う労働組合に対し、大きな激励と、強力な武器を提供したと確信し、引き続き労働契約法を巡る闘いに全力を挙げることを表明するとともに、支援していただいた皆様への感謝を申し上げ声明とします。

       2017年3月9日

 神奈川自治労連公務公共一般労働組合