11月30日(日)に都内において、第5回地域医療を守る運動全国交流集会が開催されました。全国から100名を超える(自治労連関係者44名)参加者が集まり、全国各地の地域医療崩壊の現状が明らかにされ、安全・安心の地域づくりと地域医療の再生に向けた取り組みの交流、東日本大震災からの復旧・復興の取り組み状況の共有、そして国の責任を投げ出し、社会保障の在り方を「自助・自立」による自己責任へのすりかえではなく、本来あるべき社会保障についての意見交換などが活発に行われました。

   記念講演では日野秀逸(東北大学教授)氏が「地域医療の計画と役割~地域がいのちと暮らしをめぐる対抗の主戦場~」と題して、安倍政権はアベノミクスで日本経済が再生しつつあることを最大の売り物にしているが、「アベノミクスを実感できない」「アベノミクスが地方に回っていない」という声が噴出しており、国民を欺くために持ち出されたのが「ローカル・アベノミクス」による地方創生・地方重視だが、大企業の「稼ぐ力」強化のために、その犠牲を家計と地方に押し付けた「アベノミクス」とは、そもそも相容れない矛盾だらけのものである。今回の選挙で問われるのは「平和、社会保障、まちづくり」だと強調され、地域住民が安心して定住できる条件として「医・衣・職・食・住・介・絆」を挙げ、地域密着型の事業所や自治体や人々の絆・協同をつくりだすことが大切だと語られました。

  午後は3分散会に分かれて、地域のおかれている状況と共同のとりくみについて、分散会ごとにそれぞれの団体からのレポート報告を受けて、積極的な意見交流、情報交換がおこなわれました。自治労連関係参加者からの発言を報告します。

  分散会A:高知の篠田知佐さんからは、東日本大震災で学び、自分の病院での災害対策を住民とともに訓練し、実践していくうえで問題点をみつけ、より災害に対応できる自治体病院となることの取り組みが報告されました。

  分散会B:大阪の山本桃代さんからは、2014年の非公務員化反対の運動では地域に入っていけなかった。今回、地域の方がどんな病院であってほしいのかを知りたいとアンケート活動を行った。病院利用者や地域住民にとっては病院が身近な存在であること。いのち・暮らしを守っていく砦であることを確認した。住民が病院をつくり、守っていくという気持ちになるように、病院を身近な存在にできるよう運動をしていく。定期的に意見交換ができる場をつくり、住民の声に耳を傾けていくことが大切。現在の社会情勢や病院の実態を知らせることも大切と報告されました。

  千葉の香取春美さんからは、「公立病院改革プラン」を先取りして、千葉県が2004年に「県立病院将来構想」を策定し、県の地域医療からの撤退と、周辺自治体病院の機能再編・統廃合の具体化を図ろうとしてきた。小児医療の統廃合に対しては、地域の母親達から署名活動があった。今年の5月に自治体病院訪問キャラバンに取り組んだ。いくつかの病院からは一度断られたが、再度要請して受け入れてもらい、事務局長や看護部長が対応してくれた。病院によっては非常勤医師が多く、常勤医師より5倍近くいる病院があることなどが報告されました。

  分散会C:京都の高士健二さんからは、独法化4年目となる京都市立病院機構の現状と2期目となる中期計画策定状況が報告された。独法化時の中期計画では「運営負担金制度のもとで政策医療を確実に提供する」ことが明記され京都市と同じ賃金および職員処遇で移行したが、次の中期計画案では市の運営負担責任が削除され、自治体の財政負担軽減が目的の独法化であったことがあきらかになり、組合として市の責任を後退させないよう運動を引き続き展開していく必要性が報告されました。

   image003静岡の志田剛さんからは、静岡市は合併により市立静岡病院と市立清水病院の2病院があるが、2010年の経営形態最適化検討員会で「地方公営企業法適用」が望ましいとの報告がなされたが、2013年末市長と助役だけの重要政策検討会議で「独立行政法人化」を突然決め、今年9月の市議会で市立清水病院を先行して2016年4月に独法化する定款が可決された。市立静岡病院の独法化に反対する「地域医療を守る会」を今年6月に立ち上げたが期間が短く参加市民に独法化による地域医療への悪影響を十分説明できず運動が十分盛り上がらなかったのが反省点で、今後清水市立病院の独法化に向け、「効率化・利益優先による不採算医療の縮小や削減で医療サービスを低下させない」「公的役割もそれを担う職員の処遇もかわらない」ことを、市医師会や看護協会など団体との懇談や個人署名を徹底して取り組む方針であることが報告されました。