職場の劣悪な労働環境と労働条件改善にむけた取り組みを交流し、総合事業にどう立ち向かうかを学習!

 5月21日、都内にて「介護労働者の労働条件改善及び、新総合事業等への対応など介護保障の拡充を求める学習交流会」を開催し、学習・交流を深めあいました。

image003 開会にあたり、高柳京子副委員長は「熊本県を中心に発生した地震災害では、いまだ多くの方が避難生活を余儀なくされ日常生活を取り戻せない状況にある。高齢者や障害者などの災害弱者と言われる方は、より困難な状況に追い込まれている。各施設では普段でも大変な人手不足にもかかわらず、職員が被災者に懸命に寄り添っている。安倍政権が、社会保障を自助・共助に矮小化し、自己責任論を押し付け、社会保障まで儲けの手段とし社会保障費を抑制し続けてきたことが、いかに住民のいのちと生活をおびやかすかを鮮明にしたのではないか。企業の稼ぎを最優先する政策が、格差と貧困を増大させ、国民生活への様々な深刻な実態が世論となり安倍政権を追い詰めており、介護労働者の低賃金や劣悪な労働条件についても社会問題化し始めている。夏の参議院選挙で安倍政権を退陣に追い込み、誰もが安心して住み続けられる社会をつくるため力を尽くそう。」と挨拶しました。

第1部「介護労働者の人材確保、労働条件の改善」

 「介護職員の『処遇改善』と介護保障拡充の運動をすすめるために」と題して介護対策委員会からの報告を前田中執が行ない、続いて3名から職場の労働条件改善などの取り組みを実践報告していただきました。①「介護施設の現場から」と題して東京公務公共一般の代表が、度重なる法人役員によるパワハラ行為、ボーナス不当カット等で職員が次々に退職し業務に支障が出るも何の対策も講じられず状態が悪化する中、全部署の有志によって組合結成に至り、現在全職員の過半数以上が組合員となり、組合の分会長が労働者代表として90%以上の職員の支持を受けている状況に至るこの間の経過。慢性的な人員不足の問題や国家資格を有する専門職であるにもかかわらず責務は求められるが賃金には反映されないといった問題などが報告されました。

②「鳥取厚生事業団の賃金・労働条件改善のとりくみ」では、2005年に県から指定一括譲渡を受けて社会福祉法人に移行してからの取り組みについて、組合ニュースを参照しながら、正職員と準職員との格差是正の取り組み、パート職員の処遇改善(調理パートの早番手当の支給や、全職種パートの通勤手当の支給条件を月平均16日以上から月平均10日以上へ引き下げなど)の取り組み、正職員公募試験の上限年齢(40歳までから44歳まで)の引き上げなどの取り組みの成果と、欠員状態で4月スタートを切っている人員不足問題、正職員と準職員の賞与支給率、学歴・前歴換算の格差などの課題があることが報告されました。

③「東日本大震災津波から5年…三陸福祉会職員労働組合の歩み」では、3.11大震災当時の様子について入浴介助の最中に震度7の地震が3分以上続き停電になった。いったん中庭に避難したものの、大きな津波がやってくると感じ震える利用者を近くの避難所の公民館に避難させたが、津波は近くの小学校を飲み込む状態で、利用者をさらに高台の国道に移動させたが4~5回しか戻れず、利用者全員を助けられず無念に思う。その後も地獄のような日々が1週間ほど続き、市内の施設に移ったものの広間の床や廊下に雑魚寝状態。他の職員とも連絡が取れず、残った職員で24時間体制での仕事を強いられた。1週間後に内陸の施設に利用者を受け入れてもらいやっと自宅に戻ったが、その時には職員はみな行方不明者の欄に名前が載っていた。その後職員が集められ、今後について話し合い、デイサービスを始めたい、ヘルパーをしていくといった直ぐに行動に起こせることを確認し、出向の形で近隣で仕事を継続。しかし労働条件は劣悪で、組合立ち上げの話しが進み10月6日に正規職員24名で組合結成。その後臨時職員も加わり加盟できる職員の98%の48名まで大きくなった。職場があっての組合であり、職場をつぶすための組合活動を行なっているわけではない。同じ仕事をするなら労働者が法の下で権利を主張し、当たり前のことを当たり前のようにする。だから当局の歩み寄りが大切であり、考え方に共感したり、間違っているところは意見を述べて理解し合うことが一番大切。私たち介護労働者の一番大切なところは、利用者と利用者家族の幸せはもとより、地域住民の幸せも任されている仕事だ。福祉に携わる仕事をしている人は、人の幸せをつかさどる仕事をしている人だと思う。お互いに声をかけあって共にがんばりましょうと発言しました。

 群馬県自治体一般からは、町立の施設の為ほかに比べれば処遇は恵まれている方だが、残業代は支払われたことがなく、上司のパワハラ問題から組合結成に至った。休日の削減が横行し、月に3日削減されたことや、理事者からの事務職員に対する使用の言いつけを拒否したことに端を発した給料の削減攻撃や配置転換問題や、吸引・胃ろうの資格問題、パートから正規になる基準が曖昧だったり、人間として扱ってもらえない職場環境の改善など課題が山積していることを告発しました。

第2部「介護保障、新総合事業を考える」

image011 「介護改悪の動向と地域での課題 新総合事業にどう立ち向かうか」と題して、日下部雅喜さん(大阪社会保障推進協議会・介護保険対策委員長)に講演いただきました。日下部さんは、2015年4月から大きく変わり始めた介護保険制度について、要支援1・2のヘルパー・デイサービスの介護保険外し、市町村事業化。特養新規入所は原則要介護3以上。一定以上の所得者への2割負担。非課税者の施設食事・部屋代軽減に預貯金・配偶者要件が課されることなどの介護改悪の内容を解説。また政府の骨太方針2015や財政制度等審議会の資料を示しながら今後の法改正・法改悪の方向性を示し、地域支援事業も2015年4月の法施行時にはわずか78自治体しか移行がなく、多くの自治体は移行期限ぎりぎりの2017年度まで様子見をしていること。先行自治体にもさまざまなタイプがあり①国モデル率先実行型の「卒業」促進型や基準緩和A中心型、②形式的移行(現行サービス中心)型などがあり、卒業促進型として三重県桑名市のケースを、また卒業の名によるサービス打ち切りの例として埼玉県和光市のケースを、基準緩和A中心の例として新潟県上越市のケース、現行相当サービスのみで移行の例として岡山県倉敷市のケースを紹介しました。また隣接する市でありながらまったく逆の方針をだしている大阪市と堺市のケースや、隣接した政令都市でありながら、それぞれに独自にサービス類型案を示している横浜市と川崎市のケースを紹介しました。最後に現行サービスの維持・確保を基本として対市町村への運動強化を求めていくための要求のポイントと要求項目例を示していただき、闘いなくして老後の安心はない。とまとめられました。

 続いて、3名から各地の報告が行なわれました。①「横浜市の新事業の概要と課題」と題して横浜市従業員労働組合が、横浜市の総合事業実施の基本的な考え方について総合事業の構成や対象者、利用手続きや28年1月の移行当初のサービス、市内の事業所へのアンケート結果や今後の取り組みについて報告を行ないました。

②「三重県内の状況と地域の運動」と題してみえ自治労連が、労働組合としての運動面から三重県における介護問題の取り組みについて報告しました。みえ自治労連とみえ労連が15春闘の中で取り組んだ全労連の総かがり行動について、労働組合として綿密な計画のもと組織化を視野に取り組み、全県での学習会の開催や介護事業所の総訪問、アンケート回収に304人の調査員が参加した実践を報告。なぜ総かがり行動ができたのかについては、2010年に実施した松阪市での事業所全数訪問の経験が力になったこと等が語られました。いま、第2ステージとして地域医療構想・国保の都道府県化と介護提供制度の変更についてたたかいをすすめており、2月に開催した「第4回あすの三重を考える集い」での発言を紹介し、国保の「内部策定会議」の動向を注視する必要性を指摘。最後に今年の新たな運動の展開について、「社会福祉法人」への調査運動を考えていると展望を語りました。

③「介護予防・日常生活支援総合事業が始まって 介護保険の現状について」と題して広島介護福祉労働組合は、広島県東部の福山市の介護保険の現状と、西部の広島市の介護保険の現状について比較表を示しながら、それぞれの総合事業の訪問介護・通所介護の現状を報告しました。福山市では多くの自治体が様子見をしている中、先陣を切って総合事業を始め、65歳以上で基本チェックリストを利用して総合事業に該当するかの判定を行っている。明らかになった問題点としては基準が緩和され次々と介護サービスから卒業させられていく不安がある。今後の課題としては、現行よりさらに低い単価でやらされ事業所が生き残りにかかってくる問題がある。広島市についてはまだ決まっておらず、モデル事業の実施が予定されているが、検討会の資料には、緩和型なども触れられているので、現行サービスを維持させる取り組みが必要だと発言しました。

 その後の自由討論では、京都、大阪、東京、鳥取、青森の参加者から発言がありました。青森・わっしょい労組は、サービスの質の低下や劣悪な労働環境・労働条件に声をあげ組合結成に至った経過を報告。学習交流会の中で総合事業の中で介護を必要とする人が利用できないことが勉強できた。ケアマネ部会では和光市の例は素晴らしいと絶賛されていたが、話を聞いて卒業証書を渡しサービス打ち切りだと本当の事が勉強できたと発言しました。