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辺野古が問う日本の地方自治のあり方 緊急シンポジウムに210名が参加

image003 5月24日、衆議院第1議員会館で、緊急シンポジウム「辺野古新基地建設と沖縄の自治-辺野古が問う日本の地方自治のあり方」が開催され、210人が参加しました。このシンポジウムは、辺野古基金を基に、裁判を支援するために結成された行政法学者で構成される「辺野古訴訟支援研究会」が主催しました。同研究会は自治労連・地方自治問題研究機構の研究者が中心を担っています。

 はじめに主催者を代表して辺野古訴訟支援研究会事務局長である龍谷大学の本多滝夫教授が「沖縄で20歳の女性が米軍軍属の男性に暴行殺害される痛ましい事件が起こった。辺野古の新基地建設をめぐる裁判で何が争われているのかを学びあい、この問題が沖縄だけの問題ではなく日本全国の問題としてとらえ、みなさんと共に考えていきたい」とあいさつしました。続いて、シンポジウムを共催した沖縄等米軍基地問題議員懇談会代表の近藤昭一衆議院議員が「沖縄に米軍基地が押しつけられ、集中させられていることは差別的状況だ。この現状を1日も早く変えていかなくてはいけない」とあいさつしました。

 シンポジウムでは、辺野古訴訟弁護団代表の竹下勇夫弁護士が辺野古裁判の経過・意義と国地方係争処理委員会の争点について報告。「昨年、国土交通相は、翁長知事に対して『埋め立て承認取り消しは違法だ』として代執行訴訟を起こした。しかし代執行訴訟の前にやるべき手続きはたくさんあったはず。地方自治法に定めている事前の手続きを踏むこともなく、いきなり代執行訴訟を起こした国のやり方は強引であり、明らかにおかしい」と報告しました。

続いて、成蹊大学の武田真一郎教授が「沖縄から国地方係争処理委員会の役割を考える~和解を受けて」と題して報告。「地方自治法は地域の自己決定を重視しており、裁判所も和解勧告によって、これまでの国の強引な手法を否定した。埋立の承認およびその取消は、国交大臣でなく知事の権限である。翁長知事は適法に権限を行使して、前知事の埋立承認を取消しており、沖縄県民もその判断を支持している。国地方係争処理委員会は、国に対して是正の指示の取消、または申請のやり直しを勧告し、再申請の手続き等において国が辺野古埋立の必要性について沖縄県民に説明責任を果たすことを促すべき。国の説明に対して沖縄県民が納得できないのであれば、辺野古の埋立は行うべきではない」と述べました。

image008 続いて、翁長知事からシンポジウムに寄せられたメッセージを沖縄県知事公室の謝花喜一室長が代読しました。メッセージで翁長知事は「辺野古の問題は地方自治、民主主義の根幹に関わる問題です。国は代執行まで起こし、強権的に埋め立て工事を強行しようとしています。しかし、裁判所も和解勧告で国の不当性を認めています。今後、国が工事を強行しようとしても、あらゆる手段で辺野古新基地建設を阻止する覚悟です。今の沖縄の現実をすべての国民に見てもらい、知っていただきたい」と訴えました。

 続いて、早稲田大学の岡田正則教授が「辺野古埋立問題と日本の地方自治―今後の展望」と題して報告。「裁判で問われているキーワードは“自治”と“平和”だ。沖縄県民の自治と生活環境に関わることの判断は県民と知事にまかせるべき。沖縄の平和を脅かし、県民を国の政治の道具に使うことは許されない。辺野古新基地建設問題は100年後まで見据えた沖縄と日本のあり方が問われている問題だ。基地をいつまでも存続させるのでなく、東アジア諸国との平和外交を進め、沖縄をその中心に据えるようにすべき」とのべました。

 シンポジウムの最後に、南山大学の榊原秀訓教授が、「今、戦争法では立憲主義が、辺野古の問題では法治主義が重要なキーワードになっている。辺野古新基地建設をめぐる問題について、日本の立憲主義、法治主義を国民全体で考える機会としていきたい。国の暴挙を許さず、立憲主義、地方自治を守っていく国をつくることが必要である」と、閉会のあいさつを行い、シンポジウムは締めくくられました。

 

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